美しさとおいしさを生み出す水のふるさと/北アルプスの水の恵みを巡る旅・後編

美しさとおいしさを生み出す水のふるさと/北アルプスの水の恵みを巡る旅・後編

更新日:2022/05/13

北アルプスのふもとに位置する長野県大町市。ウィンタースポーツや湖でのレジャー、温泉が楽しめる観光スポットでもありますが、名水の里としても知られています。この天然水を利用して、オーガニック化粧品を作ったり、お酒やコーヒーを作ったり、また水そのものを商品にしたり。北アルプスの水に魅せられた人々が作る、水にまつわるスポットを編集部が巡ってきました。

道路を挟んで水源が違う「男清水・女清水」の伝説
写真提供/大町市観光協会

道路を挟んで水源が違う「男清水・女清水」の伝説

「蛇口から出る水もおいしい」と絶賛される大町市の水道水は、主に3カ所の水源から取水されています。原水はすべて3000m級の北アルプスの山々から自然にろ過された湧水だというから、うらやましい話。

そんな豊かな水脈を実感できるのが、男清水・女清水(おとこみず・おんなみず)。信濃大町駅からすぐの大町商店街周辺10カ所に水飲み場が設けられていて、自由に飲むことができます。道路を挟んで西側は男清水、東側は女清水。ひとつは北アルプスのふもとにある上白沢の湧水、もうひとつは里山の居谷里という池の湧水という、違う水源の水が楽しめるユニークなスポットです。

こちらの水を合わせて飲むと、縁結びや夫婦円満のご利益があるとの言い伝えも。かつては、西側の水を飲んでいた地域は男ばかりが生まれ、東側の水を飲んでいた地域では女ばかりが生まれたという都市伝説めいた話もあるのだとか。

※冬期は凍結防止のため水を止めているので、飲み比べはできません

自然の水が作り上げた、美と癒しのガーデン

自然の水が作り上げた、美と癒しのガーデン

「ラ・カスタ」は1996年に誕生した国産のナチュラル化粧品ブランド。ヘアサロンやオーガニック商品のセレクトショップでも人気のアイテムが、自然豊かな環境に囲まれた「緑の中の工場」で作られています。

商品の質を左右する大切な原料のひとつが、北アルプスの天然水。身体や化粧品をつくるベースとして理想的な水を求めてたどり着いたのが、北アルプス山麓の地下100mを流れる軟水。ミネラルバランスがよく、傷みやすい髪や敏感な肌にもなじむ納得の水質だったそう。

こちらの工場の隣にあるガーデンは予約制で一般公開されていて、ラ・カスタのブランドコンセプト「植物の生命力と癒し」が感じられる美しい庭園になっています。

ガーデン内はテーマごとに草木や花が生き生きとした顔を見せてくれて、訪れるたびに季節の移ろいが楽しめます。滝が流れる池や眺めのいい小山もあり、お散歩するのにぴったり。
ラズベリー&レモンのハーブコーディアルソーダ(400円)や自社農場産のハーブを使ったローズマリーレモンクッキー(270円)など、カフェメニューも楽しめます。

ショップではラ・カスタのヘアケアアイテムやガーデン限定商品も購入可能。スタッフのカウンセリングにより、自分に合ったケアも提案してくれます。その他、定期的に美髪セミナーが開催されたり、ルームスプレーやバスオイルなどを作る体験も。

こちらの庭園はとても気持ちよく手入れがされていて、ガーデニング雑誌や園芸番組でも多く取り上げられているそう。
アロマガーデンには、ラ・カスタの商品の原料にもなっているハーブもたくさん植えられていて、実際に手に触れたり香りを嗅いだりして、自由に触れることができます。

テラスで水のせせらぎを聞きながら、色とりどりの草花を眺め、ハーブの香りを楽しんで・・・心身ともに癒されること間違いなしのスポットです。

ラ・カスタ ナチュラル ヒーリング ガーデン

長野県大町市常盤9729-2
TEL.0261-23-3911
開園期間/4月下旬~11月上旬 ※2022年度開園期間は4/16(土)~8/30(火)
開園時間/10:00~17:00(4・10・11月は16:00まで)
休園日/水(祝日の場合は翌日休園、11月中旬~4月中旬までは冬期休園)
入園料/大人・高校生1000円、小・中学生500円、未就学児無料
※入園は要予約、電話またはWEBサイトから
ラ・カスタ ナチュラル ヒーリング ガーデン

北アルプスの水に惚れ込んで、ブルワリーを作った男

スノーボードが大好きすぎて、大町市に移住して17年。水のおいしさに魅了されてブルワリーを立ち上げ、作ったクラフトビールは数々の賞を受賞。「北アルプスブルワリー」のヘッドブルワーを務める松浦周平さんは、同じ地域でコーヒー専門店「ユナイトコーヒー」も営んでいます。

最初は大町のスキー場で知り合った3人で「こんなに水がおいしいなら、ビールを作ったら絶対おいしいはず!」とノリで始まったブルワリーの立ち上げ。ビール造りは全くの素人だったので、大阪のブルワリーでゼロから修行し、艱難辛苦を経て2019年に「北アルプスブルワリー」が誕生しました。

さまざまな配合や仕込み方法を試みたけれど、どんなふうに作っても、この北アルプスの軟水がまろやかな味にまとめ上げてくれるのだとか。IPAなどホップの苦みと香りが効いたものでも角が取れて飲みやすく仕上がり、全国の人に愛されています。

ラインナップの中でも最も個性が出ているのが「コーヒーパンチ」。コーヒー店の経験が生かされている松浦さんならではの1杯です。見た目は普通の麦色だけど、ひと口飲むとコーヒーの香りが強烈! 超浅煎りの豆をたっぷり漬け込んで作った贅沢なビールですが、麦の味わいとコーヒーの香りがケンカせず仕上がっているのは、この北アルプスの水がなせる業なのかもしれません。

地域を大切にするこのブルワリーでは、地元で採れた規格外のサイズのりんごを使った「氷河アップルエール」も人気。現在は大町でホップを育てているそう。地元産ホップを使った新しいクラフトビールが近いうちに飲めるかもしれません。

お店ではタップルームとして出来立ての生ビールが味わえるほか、フードメニューも豊富。カウンター越しにガラス張りのブルワリーを覗くことができます。ラベルに北アルプスの山々が描かれたボトルはネットで購入可。

北アルプスブルワリー

長野県大町市大町4134-1
TEL.0261-85-0780
営業/16:00~21:30、土・日・祝12:00~
定休日/月

北アルプスブルワリー

20年の時をかけるサントリー天然水の物語/北アルプスの水の恵みを巡る旅・前編

日本屈指の名水と称えられる北アルプスの天然水。それをペットボトルで気軽に飲めるようにしたのが「サントリー天然水」。北アルプスの天然水は、長野県大町市にある「サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場」でボトリングされています。

自然に囲まれた最新鋭の工場は、環境に配慮したサステナブルな試みがたくさん。編集部が工場見学ツアーに行った様子をレポートします。

PHOTO/MANABU SANO WRITING/YUKO MUKAI(OZmall)

※記事は2022年5月13日(金)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります