OZmagazine TRIPで好評連載中の「さて、おやつにしますか」は、文筆家・甲斐みのりさんが教える、旅の目的になるおやつの話。第7回目は宮城県・大崎市にある「あ・ら・伊達な道の駅」で販売中の郷土菓子「こけしもろこし」を紹介。口の中でじんわりほどける優しい味わいはもちろん、こけしをかたどった愛らしいお菓子ができるまでのストーリーにも魅力が詰まっている。
写真/こけしもろこし1箱10個入り500円
70年前の古道具に新たな命が吹き込まれ
宮城県大崎市の鳴子温泉は、東北6県のみで作られる伝統こけしの一大産地。まだ旅慣れない20代の頃に初めて訪れ、公衆電話に郵便ポストとこけし尽くしのファンシーな風景に魅了されたことで、旅と郷土玩具のおもしろさに目覚めた。
毎年初秋に鳴子温泉で開催される「全国こけし祭り」もこれまで何度か訪れているけれど、今年は仕事と重なり断念。すると祭りに参加した、こけし好き仲間のイラストレーター・杉浦さやかさんが、嬉しいみやげを届けてくれた。
胴の模様や愛嬌いっぱいに顔の表情が異なる、小指大の10種類のこけしのお菓子が、1箱に10個無作為に入った「こけしもろこし」。鳴子の菓子店「おかしときっさ たまごや」に眠っていた70年以上前の木型で、秋田県・角館町の「いさみや」が、小豆粉を型打ちした秋田の郷土菓子「もろこし」を手作りする。郷土の宝を復活させ、新名物を企画したのは、温泉街にほど近い「あ・ら・伊達な道の駅」。香ばしく、口の中でほろりと溶ける愛らしいお菓子は、温泉やお風呂上がり、お茶で温まったポカポカの体にも、じんわり優しく甘さが染みわたる。
取材・文/甲斐みのり 撮影/鍵岡龍門
おやつDATA
PROFILE
甲斐みのり(かい・みのり)
文筆家。旅や散歩、お菓子や地元パン、クラシック建築やホテル、雑貨屋や暮らしなどを主な題材に、書籍や雑誌に執筆。各地の観光パンフレットも手がける。著書は『地元パン手帖』『お菓子の包み紙』『アイスの旅』(ともにグラフィック社)など40冊以上。
この記事が掲載されているのは、OZmagazine TRIP「温泉ひとり旅」
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OZmagazine TRIP「温泉ひとり旅」特集
発売日/2019年12月7日(土)
価格/636円+税
販売場所/全国の書店、コンビニエンスストア、駅売店などで発売
※OZmagazine TRIP(2019年12月7日発売)の情報を転用して掲載しています。掲載情報は、2019年12月7日現在のものです。その後、変更が生じる場合があります。また各店の営業時間や定休日などは時期によって変わる場合もありますのでご了承ください