スイーツなかのさんが、東京にある47都道府県のアンテナショップを巡って出会った、お土産にもぴったりのローカルおやつをご紹介します。今回は富山県のアンテナショップ「日本橋とやま館」(日本橋)で手に入る、大野屋の「とこなつ」、鈴木亭の「杢目羊羹」、引網香月堂の「万葉の梅園」の3品を選んでお届け!
【01】大野屋の「とこなつ」
山に積もった雪を和菓子で表現!
白く丸い、飾り気のない、純朴な佇まい。「とこなつ」を見ていると、自然と愛しい気持ちが芽生えてくるのは、僕だけでしょうか。お菓子に抱くかわいさを体現しているような見た目で、一つひとつのカタチが違うところにも温もりを感じます。高岡市にある大野屋さんの看板商品「とこなつ」は、歌人・大伴家持(おおとものやかもち)の歌にちなんでつくられた和菓子。
富山の名山立山連峰を見たときに歌った一首で、夏でも積もっている雪の情景に感動したというもの。だから「とこなつ」という名前だけど、和三盆糖をまぶして雪を表現しています。その中は、求肥(ぎゅうひ)で白小豆の餡を包んだつくり。口に入れるとすっと溶ける和三盆糖に、見た目通りのやさしい甘さの餡。まるでできたてのような柔らかな食感で、和菓子ならではの繊細なつくりも素晴らスィーツ! 小ぶりなサイズも食べやすく、箱を開けた時のころんと並んだ姿にも心をつかまれます。
大野屋の「とこなつ」
12個入り1134円
【02】鈴木亭の「杢目羊羹」
唯一無二の年輪模様の羊羹!
渦を巻いたような、美しい切り口。いろんな羊羹を食べてきましたが、こんな羊羹はほかでは見たことがありません。富山市にある老舗和菓子屋、鈴木亭さんが手がける「杢目羊羹(もくめようかん)」。名前にもあるように、このぐるぐる模様の意味は、木目を表現しています。モデルとなっているのは、富山県の県木でもある立山杉の年輪。同じようなコンセプトのお菓子だとバウムクーヘンが頭に浮かびますが、和菓子では珍しい着眼点です。
小豆の餡、インゲン豆の白餡でつくられていて、どこをカットしても出てくる、うつくスィーツな年輪模様の層にうっとり。餡を二種類重ねていますが、甘さにしつこさはなく、落ち着いた味わい。柔らかく、みずみずしい舌触りで、全体的に食べやすくつくられている印象があります。年輪ということもあり、縁起のよい羊羹としても長く親しまれているので、お祝い事に食べるのもよさそうですね。
鈴木亭の「杢目羊羹」
1本1059円
【03】引網香月堂の「万葉の梅園」
令和で話題になったあのお菓子!
白と赤のコントラストが美しい、富山の代表銘菓「万葉の梅園」。高岡市にある引網香月堂さんが手がける、梅を使ったお菓子です。名前に万葉とついてるように、このお菓子は万葉集の中に収められている梅の歌からイメージしてつくられました。覚えている方もいるかもしれませんが、元号が令和と決定した時、名前の由来が同じく万葉集の「梅花の歌」から引用していたことで、「万葉の梅園」にも大きな注目が集まりました。
国産の古城梅を柔らかく蜜煮して、白餡と合わせ、柔らかな求肥で包んだつくり。この梅の煮詰め具合がとってもよくて、素晴らスィーツな甘酸っぱさ! みずみずしくジューシーな梅は少しジュレのような口あたりで、餅や餡の甘みともうまく絡み合い、梅の大福を食べているような味わいです。種もそのままごろっと入って、インパクトも大きく、きっと一度食べたら忘れられないお菓子になることでしょう。
引網香月堂の「万葉の梅園」
1個184円
今回のスイーツに出会える東京にあるアンテナショップはこちら
富山県のアンテナショップ日本橋とやま館(日本橋)
ショップフロアや和食レストラン、バーラウンジ、観光交流サロンなどを備え、富山県の総合的な情報を発信する情報発信拠点。組子細工の壁面装飾など、こだわりの内装も一見の価値あり!
SHOP DATA
TEL.03-6262-2723(代表)03-3516-3020(ショップフロア) 03-3516-3011(和食レストラン)
住所/東京都中央区日本橋室町1-2-6日本橋大栄ビル1F
営業時間/ショップフロア・観光交流サロン10:30~19:30 和食レストラン11:30~14:30、17:00~22:30(日祝~21:00)バーラウンジ11:00~21:00
定休日/無休(年末年始、ビル設備点検日等を除く)
アクセス/東京メトロ銀座線ほか「三越前駅」B5よりすぐ
ご当地スイーツを紹介してくれたのは
スイーツ芸人・スイーツなかのさん
東京都立川市生まれ。早稲田大学卒。特注オーダーのパンケーキハットをトレードマークに、唯一無二の“スイーツ芸人”として活動。和菓子・洋菓子ともに老舗の名店からコンビニまで多ジャンルのスイーツを、今まで5000種類以上を食べ歩いた。日本スイーツ協会認定スイーツコンシェルジュ会員でもあり、その確かな知識でテレビ、ラジオ、雑誌など多数メディアに出演。スイーツのプロフェッショナルとして、ライター、商品監修、セミナー講師など幅広いシーンで活躍中
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PHOTO/KYOKA MUNEMURA TEXT/SWEETS NAKANO