今読むべき漫画をコミックリュール編集長がセレクト。少女漫画らしい王道ラブストーリーや、大人の女性が共感できるリアリティーのある作品に日々触れる中で、「“らしさ”に縛られないラブストーリー」、「甘いだけじゃないリアルな恋」、「和風ラブストーリー」はとくに読者に支持されていると感じるそう。現代を生きる大人の女性にこそおすすめしたい9冊をぜひチェックしてみて。
トレンドワード07：漫画・本「“らしさ”に縛られない」「甘いだけじゃない」「和風」ラブストーリー
一つ目におすすめしたいのは、型にはまった“女性らしさ”、“男性らしさ”にとらわれないキャラクターが登場する作品。「“らしさ”に縛られないラブストーリー」は、求められる姿よりも“自分らしさ”を大切にすることが受け入れられるようになってきた現代だからこそ、ぜひ読んでおきたい。
恋愛や人間関係のままならなさを描いた「甘いだけじゃないリアルな恋」の作品は、読者が登場人物に共感したり、感情移入ができるところが人気のポイント。キャラクターと一緒に、感情のアップダウンをすることで、自分自身が抱えるもやもやとした気持ちを昇華させることができる。
昨年までも人気を集めていた「和風ラブストーリー」は、今年もまだまだ注目。一見、ベタな展開の王道ラブストーリーであっても、上滑りせずしっかりと夢を見せて、物語にどっぷり浸らせてくれるのは、和の世界観とファンタジーの非日常感がうまくマッチしているから。うっとりとしながら読めるドラマチックな新しい作品が、今年もたくさん登場するはず！
「“らしさ”に縛られないラブストーリー」のおすすめ3選
うるわしの宵の月
「ヒロイン」よりも見た目も性格も完全に「ヒーロー」が似合ってしまう、そんなヒロインと「王子」と呼ばれる先輩のラブストーリー。劇中の「あんた、めちゃくちゃ美しいな」という言葉に説得力がありすぎる端正な絵柄で繊細に綴られた美しい初恋が眼福です。
うるわしの宵の月（講談社）
著：やまもり 三香
あらすじ：滝口宵は、容姿端麗・スマートなふるまいで「王子」と呼ばれる女子。少女漫画のヒーローみたい、と憧れられていることに複雑な思いを抱いていた。そんなとき突然出会ったのは、同じく「王子」と呼ばれる一つ上の男子、市村先輩。彼のちょっと失礼な物言いに全然王子っぽくないと思っていた宵だけど・・・!? ともに「王子」と呼ばれる男女の物語が回り始める－－！
合コンに行ったら女がいなかった話
タイトル通り、合コンに行ったらそこにいたのは男装女子で・・・という出会いから始まるラブコメディ。恋に不慣れな男子大学生たちがマイペースなイケメン女子たちに翻弄される様子がテンポよく描かれていて疲れた夜に読むと癒やされます！
合コンに行ったら女がいなかった話（スクウェア・エニックス）
著：蒼川なな
あらすじ：同じゼミのスオウさんに合コンに誘われたトキワは友人二人を連れて待ち合わせの居酒屋へ。合コン初体験の男性陣は胸を高鳴らせつつ店に到着するが、そこに女性陣の姿はなく、3人のイケメンたちが・・・。男6人、女0人の合コン開始!!?
かさねと昴
まっすぐな性格のヒロイン・かさねが自分の女装に自信のない女装男子をぐいぐいと引っ張っていく姿が爽快。物語が進むにつれ高身長女装男子・昴の女装スキルと二人の恋模様、どちらもステップアップしていく様子に『大人の思春期』が感じられるはず。
かさねと昴（講談社）
著：山田 金鉄
あらすじ：おもちゃの企画開発会社でグラフィックデザイナーをしている柴田かさね（しばたかさね）は、あることで悩んでいた。悩みの発端は、思いがけない事故で同僚の榎田昴（えのきだすばる）のお尻を触ってしまったこと・・・！ 榎田のお尻の感触が、かさねの大好きなキャラクターの着ぐるみの感触と似ていて興味を持った。けれど、それと同時に、榎田に嫌な思いをさせてしまったんじゃないかという罪悪感が拭えない。榎田は「気にしてない」と言ったけれど、その表情はどこか怯えて苦しそうで・・・。もっと、きちんと謝らなければ！と強く思うかさね。一方で、榎田にはある隠し事があって――。
「甘いだけじゃないリアルな恋」のおすすめ3選
瓜を破る
性体験のないまま30代になってしまったヒロインを中心に、様々な女性の恋愛と人生を描いた作品。登場人物の抱えているコンプレックスには痛いほどのリアリティがあるのに、それをふんわりした絵柄で包むことで読者に寄り添ってくれるような優しさを感じます。
瓜を破る（芳文社）
著：板倉梓
あらすじ：30代処女が抱える性的コンプレックスの行方とは・・・!? ごく普通の会社員・まい子には人に知られたくない悩みがあった。それは30歳を超えても性体験がないこと。劣等感に悶々とする彼女は自分を変えるべく行動を起こす。誰もが心当たりがありそうな、言葉にならない思いをあぶり出す現代の冒険譚。
かつて女の子だった人たちへ
現代の女性の様々な「恋愛」にまつわるオムニバス。「ユミとレミ」ではルッキズムに囚われた女性の略奪愛の顛末を、「メリーさんの推し」では「推し活」が泥沼の恋愛に発展していく様子を描いていて、恋愛を通して現代人の心の闇を覗いているような気持ちに・・・。
かつて女の子だった人たちへ（スターツ出版）
作画：花衣ソノ
原作：砂川雨路
あらすじ：「この男、欲しいな――」ネイルにメイク、ヘアスタイル・・・自分の見た目への投資を惜しまないOL・レミ。容姿への自己投資を惜しまないのは、それに見合った男性を捕まえるため――。ある日、幼なじみのユミから気になっている男の人をチェックして欲しいと言われ、ユミの同僚を紹介される。何の気なしに会ったものの、紹介された敬士はレミの結婚相手の条件どストライクのハイスペ！レミはなんとかして敬士を手に入れようと決意。ルックスのいいレミからのアプローチに敬士もまんざらではなさそうで・・・。華麗なる略奪愛の先に待ち受けるものは――!?
恋と地獄
「百年の恋も冷める」という慣用句がありますが、まさにそんな瞬間を切り取ったオムニバス。恋から冷めた登場人物たちのどこかたがの外れたような表情の描写が見事で背筋がぞくっとしつつも結末が気になって読む手が止まりません！
恋と地獄（双葉社）
著：今井大輔／COMIC ROOM
あらすじ：「ねえ、知ってた？ 私にだって攻撃の順番は回ってくるんだよ？」27歳、派遣社員の雨野リノには恋人がいた。同じ会社の正社員で企画部主任の東山ハルオ。32歳、既婚、2歳の娘が一人。99%実らない許されない恋だとわかってはいるが、1%を信じ、スマホを握り締め彼からの誘いを待つ日々。しかし、その想いとは裏腹に突然告げられる別れ。心の整理がつかず、会社でも取り乱すリノ。気を抜くとあふれ出す涙を隠すため、人目のない部屋を探していると自分より若い女子社員とキスをするハルオの姿を目撃する。その時、彼女の中で何かが壊れ、ジョーカーが目を覚ました――。恋に落ち、地獄に堕ちるシリーズ連載！
「まだまだ！和風ラブストーリー」のおすすめ3選
鬼の花嫁
人間を超越した存在「あやかし」の、さらに頂点に立つ「鬼」に花嫁として選ばれるヒロイン、というファンタジーならではの設定により、王道の少女漫画らしい甘さを読者が自然に受け入れられたところが大ヒットの要因ではと思います。華やかな絵柄でありながら、決めゴマなどの構図の取り方がダイナミックでストーリーを引き立てているところもコミカライズの醍醐味。
鬼の花嫁（スターツ出版）
作画：富樫じゅん
原作：クレハ
あらすじ：あやかしと人間が共存する日本。高校生の柚子は、妖狐の花嫁に選ばれた妹を持ち、家族に虐げられ、愛されぬ日々を送っていた。ついに心が破れた日、柚子は夜の街で見たこともないほど美しい青年に出会う。紅い瞳を持つ彼は、最強のあやかしである鬼の次期当主・鬼龍院玲夜だった――。
傷モノの花嫁～虐げられた私が、皇國の鬼神に見初められた理由～
過去の出来事のせいで縁談が破談になり、猿の面をつけて暮らすヒロイン。物語のスタート時点から過酷な運命を背負ったヒロインが鬼神の異名を持つ男の元に嫁いだことでますます周囲の人間のエゴに翻弄される姿から目が離せません！
傷モノの花嫁（講談社）
原作：友麻 碧
漫画：藤丸 豆ノ介
あらすじ：幼い頃、あやかしに攫われ体に妖印を刻まれたことで、一族の人間たちから「傷モノ」と虐げられてきた菜々緒。予定されていた白蓮寺家の若様との婚姻も従姉の暁美に奪われ、妖印を隠すため猿面をつけさせられて、惨めな生活を送っていた彼女はある日、紅椿家の若き当主・夜行と出会う。とある事件により面が外れ夜行に素顔を見られてしまう菜々緒だが、夜行はその美しさと霊力の高さに興味を持ち――。
東郷家へ嫁いだ話
巨額の結納金で買われるように名家の次期当主の元に嫁いだヒロイン・文。千里眼という能力から周囲と壁と作っている無愛想な東郷が、素直でひたむきな文の言動によって徐々に心を開いていく様子にきゅんとするピュアな恋模様が魅力的。
東郷家へ嫁いだ話（ソルマーレ編集部）
著：清水奏良
あらすじ：「文さん、私と結婚してくれますか？」ほぼすべての人間に天与という能力が与えられる世界。ただ稀に、天与がない人間が生まれ“呪い子”と呼ばれている。松方文は“呪い子”だ。幼い頃、天与が発現しなかったため、父親に家を追い出されそうになったが、使用人として松方家に尽くし生きてきた。強い天与を持つ弟・樹にはこき使われ、家族に虐げられる日々・・・。そんなある日、千里眼の一族・東郷家から松方家に縁談の話がくる。東郷家の長女と樹の縁談だと思っていたが、当日、やってきたのは長男の正治で――？戦では負け知らずの千里眼の末裔に見初められた“呪い子”の少女、婚姻からはじまる異能力ラブファンタジー、開幕！
今回教えてくれたのは・・・
スターツ出版 コミックリュール編集長 菅谷さん
「恋、だけじゃない。」をコンセプトに、現代を生きる女性を応援する恋愛電子コミックレーベル『Comic Lueur（コミックリュール）』編集長。
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