新NISAでなにがどう変わる?改正のポイント
「NISAは少額投資非課税制度と言って、投資で得た利益(値上がり益、配当金)が非課税になるという制度です。預貯金の利息や投資で得た利益には本来、20.315%の税金がかかりますが、NISA口座内で得た利益は非課税になります」と、氏家さん。
2023年以前からNISAを始めているという人は変更手続きが必要?
「皆さんのなかには、すでにNISAかつみたてNISA口座で投資を始めているという人もいるでしょう。その場合、特に自分から手続きをしなければ、これらの口座はこれまで通り残ったうえで、同じ金融機関に新NISA口座が開設されます」(氏家さん)
新NISAのポイントを把握しよう
新NISAの特徴は大きく次の3つ。
・成長投資枠とつみたて投資枠が併用できる
・非課税投資の無期限化
・投資限度額が最大1800万円まで大幅に拡大
「新NISAでは、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円、合計で年間360万円まで投資ができます。一生涯では最大1800万円まで拡大しています。この1800万円は投資した元本(簿価といいます)のため、その運用益が雪だるま式に膨らんでも非課税で保有し続けられます」(氏家さん)
新NISAのライフスタイル別活用法
新NISAをどんな風に活用するかは自分次第。ライフスタイルに合った活用法を氏家さんが提案してくれたのでぜひ参考に。
その1:投資初心者は「つみたて投資枠」から
「投資経験や余裕資金が少ない人は、『つみたて投資枠』を使って投資信託の積立購入を始めましょう。つみたて投資枠で購入できる投資信託は、長期・積立・分散投資に適していると金融庁が認めたものだけが選ばれています。つみたて投資枠は年間で120万円ありますが、あわてて枠を埋める必要はありません。100円からつみたてられる証券会社もあります。まずは無理のない金額から始めて、投資額を徐々に増やしていきましょう」
その2:「つみたて投資」と「成長投資枠」の併用も
「2024年1月からの新NISAでは、つみたて投資専用の『つみたて投資枠』と、株式なども購入できる『成長投資枠』を併用できます。成長投資枠は年間で240万円まで利用できますが、株式投資、REIT(不動産投資信託)、ETF(上場投資信託)、一般的な投資信託など商品を購入できます。毎月のつみたて投資に加えて、ボーナスを活用して株式投資なども始めてみると投資の経験値を高められるでしょう」
その3:1800万円の非課税投資枠を最大限活用する
「投資経験も余裕資金もあるという人は、一生涯の非課税投資枠1800万円を最大限活用しましょう。つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円=年間360万円の投資を5年間続けると生涯投資枠1800万円に達します。上限に達した後も、資産を一部売却すれば、翌年以降にはその空いた枠を再利用できます。
ただし、投資は右肩上がりに成長するときばかりではありません。ご自身のリスク許容度を見極めましょう」
2024年からNISAを始める人へのアドバイス
これから始める人へのアドバイスは次の3つ。
(1)まずは少額から「習うより慣れろ」
「新NISAが恒久的な口座になったことで、非課税投資が長く定着する土壌が整いました。最初はよくわからなくても、実際にやってみたらわかることってよくあります。『習うより慣れろ』と思って、まずは少額からつみたて投資を始めましょう」
(2)金融機関選びは慎重に
「新NISAは、ひとり1口座に限られているため、複数の金融機関で口座開設ができません。口座開設キャンペーンなどに惑わされず、取扱商品数が多く、取引手数料が安いネット証券を選んでおくと、長期で付き合いやすくなります」
(3)値下がりしても慌てて売らない
「値段が上がる時もあれば、下がる時もあります。投資を始めたばかりの頃は、価格変動に一喜一憂してしまいがちですが、そもそも老後に向けた資産形成が目的であれば、途中で一時的に値下がりしても保有し続けて、その先で上昇すれば問題ないはずです。下がっても気にならない金額で、あわてず騒がず淡々と積立購入を続けて資産の成長を待ちましょう」
教えてくれた人
氏家祥美(うじいえよしみ)さん
ハートマネー代表。
ファイナンシャルプランナー・キャリアコンサルタント。家計の見直し相談や講演活動を通じて、お金の基礎知識を伝えている。お金だけじゃない『幸福度の高い家計づくり』を総合的にサポートしている。zoomなどを使ったオンラインでの家計相談も受付中。
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