Q.老後の備えなんてまだ想像がつきません。必要になる額や貯め方はどう考えればいい?
A.老後資金は“未来の自分へのプレゼント”。ポジティブに捉えてみましょう
「まだ先のことなので、ピンとこない人も多いと思います。でも、老後は必ずやってくるもの。まずは“将来どんな生活を送りたいか”をイメージしてみるのがスタートラインです。どこに住み、どのような暮らしをしたいのか、趣味や旅行にどのくらい費やしたいかなど、今の暮らしを基準にして毎月かかる金額をざっくり算出してみましよう。
“リタイアしたらやりたいこと”を書き出してみるのもモチベーションが上がるのでおすすめです。これくらい貯めなきゃ・・・とネガティブに考えるのではなく、時間ができたらこれがしたいから、今から貯めておこう! とポジティブに捉えた方が前向きに取り組めますよね。その一方で、老後のメイン収入となる公的年金がいくらもらえるのかを確認しておきましょう。足りない差額が老後までに貯めておきたい目標額になります。
この機会に、ご両親に聞いてみるのもおすすめです。退職するまでに貯めておきたい額、毎月どのくらい生活費がかかるのかなど、リアルな金額を聞くと自分事として実感が湧いてくるはずです。スタートが早いほどゴールまでの時間が長く、余裕を持って準備できるので、早めに意識するに越したことはありません」
Q.老後の資産準備としてよく聞く「個人年金保険」ってどんな保険なの?
A.将来のためのお金を確実に貯められます。控除が受けられるのも大きなメリット
「『個人年金保険』は老後、例えば“65歳から10年間、毎年100万円受け取る”など、受け取りたい金額と期間を自分で決めて、それに応じた額を毎月コツコツ積み立てる保険です。いちばんのメリットは、いずれやってくる老後に備えて確実にお金を貯められて、将来受け取れる金額が確定している安定性。漠然とした老後の不安を軽くすることができます。また“個人年金保険料控除”が受けられるのも大きなメリット。堅実に貯蓄しながら、支払った保険料に応じて所得税や住民税の一部が軽減されます。
また、年金開始前に亡くなってしまった場合でも、ご遺族などが死亡保険金を受け取れる、生命保険としての役割も果たしてくれます。
デメリットは、途中で解約すると元本割れしてしまう可能性があること。無理のない支払い額(保険料)を設定しましょう。見直しによって保険料を下げられるかもしれないので、解約する前にぜひ相談を。反対に、お金に余裕があれば追加で加入することも可能です。また受け取り時期を後倒しにすることもできます。年齢とともに変わっていく暮らし方や経済状況に合わせて、柔軟に調整していきましょう」
Q.いろんな貯蓄方法があるけれど「個人年金保険」はどんな人に向いているの?
A.ついお金を使ってしまう方や、リスクの大きな投資はしたくないという方におすすめ
「なかなかお金が貯められない、どちらかというと貯蓄が苦手という人に個人年金保険は向いています。定期的にお金を貯めながら、支払った額よりも多く受け取ることができ、また加入時の予定利率が固定されるので、市場の金利が大きく変動しても受け取れる額は変わりません。投資に詳しくない方も安心だと思います。
貯蓄は目的に応じた商品を選ぶのが大事なのであって、ひとつに絞る必要はないとも思っています。例えば老後のために“最低限”確保しておきたい資金は個人年金保険で備えながら、余剰金は投資に回す、そんな方法もあります。優れた収益性と一定のリスクを兼ね備えた株や投資信託、安全性を最優先にするなら銀行預金など、それぞれの運用方法のメリット・デメリットを踏まえた上で、自分に最適な貯蓄法をチョイスしたいですよね。
老後資金の準備として常に意識しておきたいのは、受け取りたい金額が同じなら、早く始めるほど毎月・毎年の負担が抑えられること。とはいえ、ある程度の余裕ができてきたから始められることもあると思います。この機会に、未来の暮らしを描いてみてはいかがでしょうか」
教えてくれた人
大棟啓子さん
日本生命保険相互会社 営業教育部
2015年入社から5年間、個人のお客様向け保険相談に携わる。6年目より現在の営業教育部にて、相続・リタイアメントプラン・介護といったセミナー講師や社内での研修講師を担当。CFP資格審査試験 全課目合格者。
【マネー特集】働く女性のお金のハナシ
先行き不透明な時代、多様化するライフスタイル。お金に関して、漠然とした不安は感じるけれど、分からないことだらけ。みんなどうしてるの? 気になるけれど、聞きづらい。情報も多すぎて、どれが私に合っている話なのか、見分けもつかない。そこでOZmallが女性たちに、これから先も“私らしく”過ごしていくために必要なお金の新常識を提案します。
PHOTO/MANABU SANO WRITING/EMIKO OKAZAKI