【レシピ付き】おもてなしにも!人気料理家が提案、手軽でおいしいイカ料理
イカVSタコ、対決の時代は終わりを迎え、大団円へ―。というわけで、イカ好き、タコ好きが集まって自慢の一皿を仲よく平和に、おいしくいただきましょう。先攻のイカ代表は、きじまりゅうたさんとごはん同盟さん。ふたりのイカ好き度合いを、玉置標本さんがレポートします。さばく、という手間をのり越えるほど深いイカ愛とその美味はいかに!?
更新日:2024/08/20
きじまりゅうたさんに聞く、夏に食べたいイカ料理
手順も材料も最小限! 滋味深きトマトソース
東京育ちのきじまりゅうたさんは、どちらかといえばタコよりもイカのほうに馴染みがあるそうだ。
「料理研究家の祖母と母が作るサトイモとの煮つけや塩辛をよく食べて育ちました。イカはタコに比べて汎用性が高いから、和洋中全部に使えるのがいいですね。それにスルメはアタリメって言うくらいだから縁起が良いし。でもタコも多幸って書くか。実はどっちも好きなんです」
そんなハト派のきじまさんが教えてくれたのは、比較的安い小さなイカを無駄なく調理する方法だ。
「トマトソースでまるごと5分煮るだけの簡単レシピ。軟骨とゲソの先以外は全部食べちゃう料理なので小振りな柔らかいイカを使うのがポイント。下拵えが楽だし、材料に無駄がないから生ゴミもほとんど出ない。イカ料理ってちょっと難しいイメージがあるけど、これなら作れそうでしょ。ボイルされたイカでもOK!」
シンプルな味付けのトマトソースだからこそ、イカのワタや墨が溶け込んだ深い風味を楽しめる。フライパンで煮たイカをそのままキッチンバサミでカットするという大胆かつ合理的な手法を知り、イカなのに目から鱗が落ちる思いである。
イカのまるごとトマト煮
〈材料・作りやすい分量〉
白イカ(小さめ)・・・4~5杯(400g)
にんにく・・・2片
玉ねぎ・・・1/2個
セロリ・・・1/2本
セロリの葉・・・1/2本分
トマト・・・2個
オリーブ油・・・大さじ1+適量
塩・・・小さじ1/2 +少々
粗挽き黒こしょう・・・少々
〈作り方〉
(1) 玉ねぎは繊維と平行にごく薄切りに、セロリは斜めにごく薄切りにする。にんにくとセロリの葉は粗みじん切りに、トマトは1cm大に切る。イカは軟骨を取り除いて、ゲソの長い部分を切り落とす[写真・左上]
(2) フライパンにオリーブ油(大さじ1)とにんにくを入れて中火にかけ、香りがたったら玉ねぎとセロリを入れてしんなりするまで炒める。トマトと塩(小さじ1/2)を加えて5分ほど煮詰める
(3) イカをまるごと入れ、フタをして5分ほど煮る。イカに火が通ったらキッチンバサミでざく切りにする[写真・右上→左下→右下の順]
(4) 塩と粗挽き黒こしょうで味を調え、好みでオリーブ油(適量)とセロリの葉を加える
■■■ きじまりゅうたさん ■■■
料理研究家。東京都出身。著書に『極狭キッチンで絶品!自炊ごはん』(新星出版社)ほか。初心者~中級者まで料理が楽しくなるコツやアイデア満載のレシピをリアルな目線で提案する。YouTubeチャンネル「きじまごはん」
ごはん同盟・しらいのりこさんの絶品ネオ・イカ飯
ワタと墨のうまみが肝! 煮ないで焼くネオ· イカ飯
ごはん同盟の両名は共に新潟出身で、子どもの頃から熱心なイカ派だ。
「タコも好きですけど、実家が魚屋でイカ焼き担当だったから、イカにはひとかたならぬ思いがあります。イカの目つきの悪さが大好きで、ヤンキーに憧れる一般生徒みたいな気持ちにさせるんですよ」と試作係ののりこさん。
「息を吸うようにイカ飯を作る家で育ちました。イカは調味料を選ばず、なんでも受け止める懐の深さがありますね」と試食係のジュンイチさん。
ご紹介いただくレシピは当然ごはんもの。新鮮なイカが手に入ったらぜひ作って欲しいという、ワタと炒めたごはんを詰めた焼きイカ飯だ。
「イカの形って何かを詰めたくなりますよね。生米から作るイカ飯はお米が膨れるから詰め加減が難しい。でもこの方法なら誰でも失敗知らず。遠慮せずパンパンに詰めてください。味の決め手はタコにはないワタのうまみ。ごはんにアンチョビや魚醤でうまみを足したり、カレー味にしてバターで焼いたり、如何〈イカ〉様にもアレンジもできます!」と、のりこさんが熱を込める。
短時間の加熱だからこそ柔らかく仕上がったイカに、ジュンイチさんの優しい笑みがこぼれた。
焼きイカ飯
〈材料・作りやすい分量〉
スルメイカ・・・4杯
ごはん・・・200g
玉ねぎ(みじん切り)・・・1/4個
赤パプリカ(みじん切り)・・・1/3個
にんにく(みじん切り)・・・1片
赤唐辛子(輪切り)・・・小さじ1/2
ローリエ・・・3枚
オリーブ油・・・大さじ1
白ワイン・・・大さじ1
塩・・・小さじ1/3+少々
イタリアンパセリ・・・適量
〈作り方〉
(1) イカは胴とゲソを切り離し、イカ墨とワタを取り出す。ワタに切込みを入れる。ゲソは塩少々でもみ、しごいてから細かく切る[写真・左上 ※イカ墨を取り外すところ]
(2) フライパンにオリーブ油とローリエ1枚、にんにくを入れて中火で熱し、香りがたったら赤唐辛子とワタの半量を入れ、白ワインをふりかけてなじませる
(3) (1)のゲソと玉ねぎ、パプリカを入れ、サッと炒め、ごはんを加える。残りのワタとイカ墨を加えて炒め、塩小さじ1/3をふり、味を調える(粉チーズ大さじ1を最後に加えてもおいしい)[写真・右上]
(4) (1)のイカの胴体に③の1/4量づつをつめ、爪楊枝でとめる。胴体に爪楊枝で穴をあけておく[写真・左下]
(5) フライパンにオリーブ油大さじ1とローリエ2枚を入れて中火で熱し、(4)を並べ、蓋をして途中転がしながら4分ほど焼く[写真・右下]
(6) 器にもり、イタリアンパセリをちらし、オリーブ油(分量外)適量をまわしかける
■■■ ごはん同盟さん ■■■
しらいのりこ(写真左、調理担当・料理研究家)、シライジュンイチ(企画担当・ライター)夫妻によるフードユニット。ともに新潟県出身、「ごはんの友は酒の友」が合言葉。近著に『ごきげんな晩酌』(山と溪谷社)
PHOTO/RYO TSUCHIDA
※メトロミニッツ2024年9月号より転載