10年後も残ってほしい港区名酒場

酒豪たちが夜ごと訪れる
酒と肴と大将の心意気

一ツ木通りに面した地下の店、小さな間口の少し入りづらいような店構えだが、扉を開ければ意外なほどの大空間と昭和な空気が広がります。

マグロの稀少部位など刺身が人気で、らっきょうといぶりがっこを加えたポテサラや、ショウガをキリッと効かせた甘ったるくない牛すじ煮込みなど酒飲みのツボをおさえたつまみが勢揃い。500円で4品も付くお通麻布十番の地元民が、まるで自宅のように通い詰めるという居酒屋。

料理はすべて店主・鈴木さんの手によるもので、「自己流ですよ」と謙遜するが、あふれんばかりに出汁のしみた卵焼きなど独創的な家庭料理が味わえると評判です。仕入れ先も独特で、なかなかお目にかかれない珍しい魚介が品書きにのぼることも。

刺身や魚料理が充実で、季節を感じる旬菜や、レバーにハツなど新鮮な牛モツ料理も人気です。どれも盛りがよく、焼酎もグラスになみなみで、値段も良心的。そのうえ、店主の人柄に呼応するかのように、ほがらかな常連客が多く、場の雰囲気はひたすらあったか。一度知ったらその居心地のよさにはまってしまって、夜ごと通うは必定です。

お通しも名物で、これだけで酒が数杯なくなるは必至。満腹満足で最後に驚くのは会計時の安さ。豊洲はもちろん「東京より2 割くらい安くて品もいい」と千葉の市場まで足を延ばす大将の心遣いにぐっとくる。

数軒の酒屋から集めるという日本酒の品揃えも傑作で、一晩で1 升飲んだという女性酒豪も！　酒飲みを気分よく酔わせる仕掛けが満載です。

鮮度抜群のモツで1杯。
路地裏の奥に潜む
肉好き垂涎の小さな酒場

品川駅の新幹線に近い港南口、高層ビルが建ち並ぶ一角に酒場の並ぶ路地裏が。すぐそばの大通りとはまるで別世界、昭和な横丁の風情に驚くが「これぞ昔ながらの品川なんです」と店主の堀さん。父である初代が店を構えた頃は駅前に屋台も並んでいたそう。

そんな横丁にある小さな店だが、モツ好きにはことに知られた名店で、鮮やかに赤く、ピンと角が立った姿に鮮度のよさを感じるハツやレバーなど、心が震えるほどうまい肉つまみが揃っています。

臭みなぞ一切感じさせず、キレイな味と思わせるモツ煮やシロ(大腸)炒め、ホルモンなんて興味ないという人だって、なにコレうまい！ と沼に落ち…。芝浦の食肉市場に近く、付き合いも長年、だからこそ港区ならではの名酒場が生まれたのだと納得。

いつ訪れても変わらない、
酒場の気配と和のつまみ

小石を敷いた黒光りする床、おいしそうな字が躍る黒板の品書き、まさに古きよき酒場の風情といった老舗です。

肉じゃがや鶏大根など、ほっとする季節の煮物は常に数種を用意。

盛りのいい刺身も人気で、焼き鳥& ビールを楽しむ人も。刺身のツマですらも手包丁という味な料理の数々に今宵はとことん飲みたくなる。