
太平洋に面し、13の市町村で構成される福島県東部の浜通り。クラフトサケやビールの魅力を発信するお店や繊維メーカーの複合施設、豊富な地元食材を使ったビストロや古民家カフェも続々誕生。新しいカルチャーの風が吹くエリアをご案内
CULTURE01/海辺で馬移動!?
「馬の社会的価値を高める」をビジョンに、障害馬術の日本代表経験もあるスタッフが運営。芦毛の「ワタリン」をはじめ元競走馬たちが、南相馬の町を一緒に歩いてくれる。烏崎海岸での海トレッキングのプランは1人15000円。
CULTURE02/酒カルチャーもアップデートが止まらない
田村市で原料のホップ栽培から手がけるクラフトビール醸造所「ホップガーデンブルワリー」。初の直営店となるビアバーが、いわき駅直結の施設に、昨年4月にオープン。「地域でのクラフトビール文化の広がりを実感しています。今後も盛り上げられたら」とホップジャパン広報の河本凪紗さん。ホップの爽やかな香りが心地いい「Hopjapan IPA」(写真左)や、ライ麦の香ばしさとスパイシーさが感じられる「Abukuma Red」(写真右)など、こだわりのビールをドラフトで提供。電車の待ち時間などに気軽に立ち寄れるのも嬉しい。
クラフトビールの製法で日本酒を捉え直したお酒を生む「haccoba -Craft Sake Brewery-」による醸造所兼パブリックスペース&ショップ。看板銘柄の「はなうたホップス」は、どぶろく製法の「花酛」が出発点。地元農家の田んぼを表現する「水を編む」や、食や音楽など多彩な作り手とコラボを行う「haccoba LAB_シリーズ」などユニークな酒ばかり。「ここでは発酵系のノンアルコールドリンクなど新しいタイプも醸造予定」とブランドディレクターの佐藤みずきさん。今後の展開も楽しみです。
haccoba 小高駅舎醸造所&PUBLIC MARKET
ハッコウバ おだかえきしゃじょうぞうしょ
アンド パブリックマーケット
TEL.なし
住所/福島県南相馬市小高区東町1-140小高駅舎内
CULTURE03/ネクストブレイクを予感させる浜通り土産も見逃せない
岐阜県に本社がある「浅野撚糸」が、震災の被害が大きかった双葉町の海岸近くに、工場・ショップ・カフェが合体した復興交流拠点を昨年オープン。「大学時代を過ごした福島に恩返ししたいという代表の思いが出発点です」と双葉事業所所長補佐の土屋輝幸さん。最先端技術で作られる糸の工場見学ができ、触り心地抜群のタオルの買い物も楽しめます。
CULTURE04/地産地消の発信地となるビストロがニューオープン
東京・恵比寿にある創業50年の「ビストロ・ダルブル 恵比寿店」が浪江町に今年開店したのがこちら。「近くの請戸漁港の魚介や、旬を迎えるビーツなど浪江の野菜も上質。新たな食材の魅力を掘り起こしつつ、地元の方々に寄り添える店にしたい」と総料理長の無藤哲弥さん。福島の食材を巧みに使った正統派のフレンチを気軽に満喫できます。
CULTURE05/旅の合間に立ち寄りたい浜通り的カフェ
川内村を流れる川のそばに建つ築約200年の古民家のカフェ「秋風舎」。「若い世代が集まり、外部の人にこの地域の魅力を伝えられる場所を作りたい」という思いから、川内村出身の志賀風夏さんが昨年オープン。地元の旬の食材をふんだんに使い、スパイスを駆使したカレーやスイーツなどセンス抜群の料理に舌鼓。さらに、志賀さんが管理人を務めていた近くの「天山文庫」にも寄り道を。川内村を気に入り、よく訪れていたいわき市出身の詩人・草野心平が、創作場所としても使っていたかやぶき屋根の一軒家。約50年前に村民が持ち寄った木材で建てられた趣のある家には、寄贈された蔵書も。居心地よく、読書しながら数時間過ごす人もいるそう。
PHOTO/MASAHIRO SHIMAZAKI WRITING/ATSUSHI SATO
※メトロミニッツ2025年1月号より転載