長野県小諸市

おしゃれ田舎PJの 髙野さんと歩く、新旧が交わる小諸のおしゃれ商店街_長野県小諸市

更新日:2023/06/20

今、移住先として注目の長野県小諸市。人気の秘密は、魅力的な町だから。最近は古い建物をリノベーションして、町に新しい風を吹き込みながら営業を始めるお店が急増中。ここでは「おしゃれ田舎プロジェクト」を主宰し、小諸の町を知り尽くした髙野慎吾さんに小諸の“今”を案内してもらいました

長野県小諸市
髙野さんが歩く、歴史ある建物が並ぶ雰囲気のある旧北国街道。老舗の紙店や旅館、骨董屋などがずらり。小諸は商売人同士のつながりが強いのも特徴

今まさに新陳代謝している
小諸の町の息吹を感じる

町案内は風情ある旧北国街道、本町からスタート。参勤交代をしていた当時の面影を感じる古民家が残ったこのエリア。リノベ物件が増える中、「BISTRO AOKUBI」は元床屋の建物の特徴を活かしたビストロです。「神奈川より移住&開業した店主の鴨川さんは、小諸を発展させたパイオニア的存在。料理もおいしいし、移住経験者の声も聞けるので、小諸でお店を始めたい人を案内するときに連れて行きます」と髙野さん。

大名行列のお殿様の頭を見下ろさないよう2階部分の窓が小さく作られた江戸時代の建物が並ぶ旧北国街道をさらに西へ。石積みの大手門を抜けると、小諸駅前へと到着。「駅前にコンビニはないけれど、スナックが多いのも小諸の特長」と笑う髙野さん。タイ人のコミュニティもあって、本場の味が楽しめるタイ料理店やスナックも多くあると言います。

長野県小諸市

駅前の坂を登ると相生町へ。ここは市役所や病院、郵便局などがあるエリア。「昭和40年代に商店街として作られました。1階が店で上階が住居というビル型の建物が多いですね」

メイン通りから細い道を下った場所にある「FLORO cafe」も3階建て、外壁に絡まる蔦が目を引く建物。廃墟同然で放置されていたところ、現オーナーが気に入り、リノベして生まれ変わらせたのだそう。「自分たちには気付かない宝が眠っていた。感性がすごいと思いました。スタッフのDIYでリノベしたこの場所は、これまで小諸にはなかったおしゃれなカフェになりました」

坂を登り切ると、再び旧北国街道へ。通り沿いの荒町、与良町は大正時代に道路拡幅をしたため、当時はやっていた大正モダンな洋館もちらほら。雑貨店、コワーキングスペースなど、リノベした店舗が点在する中、ひときわ目を引くのが「酢重ギャラリーダークアイズ 小諸」。外観は近代的な建物なのに、入ると奥行きがある日本家屋になっています。「節税で間口を狭くした建物の典型。めちゃおしゃれですよね。来るたびに素敵になっています。先日、僕もコーヒーカップを購入しました」

しばらく歩くとパン屋「保鳥時」へ。「小諸ってワインも盛んだから、ハード系のパンとの相性がいい。市街地にハード系のパン屋はなかったので、こうした変化がすごく嬉しい」

小諸のいいところは、案内してもらったような賑わいのある市街地を徒歩20~30分で回れるコンパクトシティであること。ぶらりと歩けば、開発されずに残っていたものが生まれ変わり、町自体が元気に新陳代謝をしている様子が感じられます。

案内人・髙野慎吾さん

おしゃれ田舎プロジェクトの発起人。市役所勤務の課外活動として、PJの企画·運営を行う。松本出身で東京の大学卒業後に小諸に暮らして14年目

小諸のおしゃれなリノベGOURMET&SHOP-04

上/「BISTRO AOKUBI」店主の鴨川知征さん(左)と、「おしゃれ田舎PJ」のTシャツが抜群に似合う髙野慎吾さん(右) 左下/前菜盛り合わせ(ハーフサイズ)1000円は、小諸産のワインやリンゴのお酒「サノバスミス」 ともよく合う 右下/床屋をリノベした外観

【01】
食べる人を元気にする野菜を、季節ごとのおいしさで

店の前には回転する床屋のサインポール。床のタイル、鏡など、床屋として使っていた建物のよさを活かしてリノベしたイタリア料理レストラン。店主の鴨川知征さんは東京で飲食関係の仕事をしていたとき、食材が豊かで農家が元気な小諸の町を知り、2016年に地域おこし協力隊として移住。2020年4月にオープンしたこの店は、味がのった野菜など小諸産の食材をイタリアンの技法で調理。13種類ほどの料理がのった前菜盛り合わせは、素材のおいしさが楽しめます。

BISTRO AOKUBI

ビストロ アオクビ 
TEL.0267-27-1395
長野県小諸市本町3-2-18 
営業時間:17:30〜21:00(LO)※おまかせコースは20:00 (LO) 
日・祝定休※不定休あり

上/かつてスナックであったら蔦が絡むビルを花屋とカフェに改装 左下/Veganフレンチトースト おまかせフルーツとヨーグルトのプレート1320円 右下/気持ちいテラス席も

【02】
ここは森の中? 心地よい緑とせせらぎがすぐそこにあるカフェ

昭和感が漂う元スナックだった建物を改修して、2022年に花屋カフェとしてオープン。花屋を営むオーナーが繁茂した蔦に一目惚れ。枯らさないよう工事を進めたのだそう。提供するのはハーブやフルーツを多用したヴィーガンスイーツ。豆乳ベースの液に一晩漬けて焼いたVeganフレンチトーストはカリフワのおいしさ。外のテラスは川の上に作られていて、町中にいながらにして緑とせせらぎの音を感じながらお茶ができて幸せ。

FLORO cafe

フロロ カフェ 
TEL.0267-46-8719 
長野県小諸市相生町2-2-2
営業時間:11:00〜17:30、土・日・祝10:00〜18:00 
火定休(祝の場合は営業)

上/パン作りから販売まで店主の平井保子さんがひとりで切り盛り 左下/こだわりの薪窯で焼く 右下/小諸食パン1斤1470円、浅間山カンパーニュ1個1750円。スコーンも絶品

【03】
3種に絞って魂を注ぎ、薪窯で焼きあげたパンのおいしさ

今年3月オープン。神奈川県でパン職人として働いていた平井保子さんが薪窯で焼きあげるのは、小諸食パン、浅間山カンパーニュ、スコーンの3種。長野県産小麦粉100%を使用。酵母も自家培養していて、カンパーニュは中はしっとり、外はカリッとして穏やかな酸味。食パンはサクッと歯切れがよく、しっとり。3種なのは、種類を絞ることで魂を注げ、働き方も改革できるから。小諸暮らしを満喫しながら焼いたパンはのびやかなおいしさです。

薪窯パン 保時鳥

まきがまパン ほととぎす
TEL.なし
長野県小諸市与良町5-1-11
営業時間:金・土12:00〜16:00
日〜木定休

上・右下/旧北国街道沿いに佇む店舗 左下/小諸に工房がある天地窯のコーヒーカップ2750円は手になじむ心地よい形と重み 

【04】
器や雑貨など日常のアートを情緒ある古民家で楽しむ

意匠を凝らしたレトロな建物の中は、太い梁で支えられた築100年の古民家。かつて建具屋だった建物をリノベーションして今年3月にオープンしたこちらは、日常生活の中にあるアートがコンセプト。小諸ゆかりの陶芸や絵画をはじめ、県内外の作家による陶芸、アート、ユーズト家具、世界の雑貨などを取り扱っています。軽井沢店に続いての2店舗目で、小諸にこれまでなかったギャラリー&インテリアショップとして喜ばれています。

酢重ギャラリーダークアイズ 小諸

すじゅうギャラリーダークアイズ こもろ
TEL.0267-48-6030
長野県小諸市与良町2-1-2 
営業時間:金〜日10:00〜18:00 
月〜木定休

ABOUT 長野県・小諸市

旧北国街道沿い、江戸末期の建物を利用した地域の活動拠点「与良館」前に、小諸をにぎやかにする人々が集結。地元住民たちが運営している与良館を訪れると、住民気分でコーヒー片手に井戸端会議に参加できる

城下町のDNAが息づく
新旧が交ざり合う町

かつて城下町として栄え、交通の要衝として人々が行き交った町、小諸。新旧のカルチャーや人々が交ざり合いながら発展してきたこの町のDNAは健在。人々が一体になって生み出すおもしろいモノコトに多くの人が惹きつけられています。

近隣に軽井沢町や佐久市がある浅間山を望む豊かな自然と、城下町の文化が息づく人口約41,000人の町。高原野菜、良食味米、桃やリンゴなど農業も盛ん。観光スポットに小諸城址 懐古園がある。

ACCESS

東京駅より北陸新幹線で軽井沢駅まで約60分、佐久平駅まで約75分。軽井沢駅よりしなの鉄道で約20〜25分、佐久平駅よりJR小海線で約15分

※メトロミニッツ2023年7月号特集「こんな町に住んでみたい」より転載

※記事は2023年6月20日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります