暮らしの中に音楽が息づく石垣島。市街地にある大川地区には、バーココソンをはじめとした地元の人々や観光客がふらりと立ち寄る“止まり木”のようなミュージックバーが点在。夜の長い石垣で夜な夜なみんなが集まるミュージックバーを巡ってきました。
夜8時を回り、島いちばんの繁華街である美崎町がにぎわいのピークを迎える頃に大川地区の夜はひっそりと始まります。
赤瓦屋根に黄色の壁。クルクルと回る床屋風サインボールが目印の「バー ココソン」は、“ ちびさん” と呼ばれる豊見山哲さんが営むミュージックバー。18 年ほど前に東京から島に戻り、以前から気になっていた古民家を改装して大好きなレコードをかけるお店を始めました。ジャマイカンオールディーズから昭和歌謡まで、ちびさんセレクトでレコードが回ります。実は私も常連の1人。入れ替わり立ち替わり地元の人々が訪れ、そこに旅人が合流して、更けゆく島の夜をただただゆるやかに楽しむ、そんな“ とまり木” のような場所です。
いつもどこかのバーや喫茶、飲食店で地元ミュージシャンたちが音遊びを楽しんだり、ゲストとセッションしたり……。この島には、音楽があふれています。月1 回、音楽好き5 人が集まりアナログレコードを持ち寄ってDJ イベントを開く「チャンプルージャマイカ」のメンバーで「バル コスティーリャ」の店主、桜島克哉さんは「アナログが似合う、そんな島。老舗の『ジャズ すけあくろ』さんをはじめ、特にここ大川地区は音楽の坩る 堝つぼ。ぜひ自分の足で歩いて、いい感じだなと思ったらその直感でお店の扉を開いてみて」と話します。
世代もルーツも難しい話もぜんぶ取り払い、南の島の小さな扉の先で巡り合わせた人々とのひとときを楽しむ。それが、この島のあたたかくてちょっと横丁的な夜に迷い込む、唯一のコツかもしれません。
石垣島・大川エリアのミュージックバーを巡ろう
【MUSIC BAR01】
古民家×レコード、石垣島的“コの字”社交場/BAR COCOSONE
黄色い小さな扉を開けると、一瞬にして別世界へ。店内はレコードブースを囲むコの字カウンターで自然と居合わせたお客さん同士の会話もはずむ。店主ちびさんの人柄もあって、女性1人でも気兼ねなく楽しめる雰囲気で、リピーターも多い。泡盛とラム酒にコーヒー豆を入れて熟成させた「 コーヒー泡ラム」が人気。
■ちびさんのFAVORITE MUSIC■
ちびさんが選んだのは長年の大ファン、エゴラッピンの名盤『スウィング・フォー・ジョイ』
BAR COCOSONE
バー ココソン
TEL.0980-88-8721
沖縄県石垣市字大川283
営業時間/19:00~翌2:00
不定休
メニュー例/コーヒー泡ラム800円
チャージ/なし
【MUSIC BAR02】
心地よい音楽をワインと楽しめる隠れ大人空間/bar Costilla
静かな住宅街に佇むスペインバル。2012年に東京・神田から“島の野菜と気候に惚れて”移転。古民家を改装した店内には、カウンター5席とテーブル席がひとつ。特大スピーカーから店主桜島さん選曲の音楽が流れ、南の島のゆったりした空気感に包まれる。地元素材を使ったタパスやパエリアと、スペイン産ワインが楽しめる。バー利用も可。
■桜島さんのFAVORITE MUSIC■
60年代RBC 琉球放送制作『おきなわはうたう』。桜島さんイチオシの曲はボサノバ・ジントーヨー
bar Costilla
バル コスティーリャ
TEL.090-1701-8806
沖縄県石垣市大川57
営業時間/19:00~23:00
日定休
メニュー例/グラスワイン600円、魚介のパエリア1500円(1人前)
チャージ/なし
【MUSIC BAR03】
商店街の路地奥に佇む、老舗ジャズクラブ/Jazz SCARECROW
ジャズを中心にCD、レコード合わせて店内の棚に並ぶ8000枚の中から、店主の今村大道さんがセレクトした曲が心地よく流れるバー。石垣島のみならず沖縄県の泡盛、ほぼ全種類が揃う。バーの奥の扉から下に降りると秘密基地のようなライブスペースが。日本のみならず世界中からミュージシャンが訪れる。
■今村さんのFAVORITE MUSIC■
すけあくろ新レーベル第1弾「A Life with Jazz」。音楽、ジャズとともに生きる2 人を紡ぐ
Jazz SCARECROW
ジャズ すけあくろ
TEL.0980-87-7696
沖縄県石垣市大川213-1 B1
営業時間/20:00~翌1:00 ※ランチは火~金12:00~16:00
不定休
メニュー例/ブルーノート880円、ミスティ880円
チャージ/なし
12月3日(土)に六本木で!石垣島のDJパーティー「CHAMPLE JAMAICA」in TOKYO 初開催
石垣島で毎月開催される、アナログレコードオンリーのDJパーティ「チャンプルージャマイカ」。2022年12月3日(土)、満を持して「チャンプルージャマイカ」が、東京•六本木に初出張! バーココソンのちびさん、バル コスティーリャの桜島さんたちメンバーと一緒に、石垣島のラブリーナイトを楽しめる、このチャンスをお見逃しなく!
■イベント概要
開催日時:2022年12月3日(土)20:00~深夜
開催場所:Electrik神社(東京都港区六本木5-9-22 第二千陽ビルB1F)
入場料:1000円+2drink tickets minimum [1000円×2]
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早坂妙子さん
編集者。取材で訪れた石垣島の暮らしに魅了され『足元にある、大切なもの。石垣島ハーブ暮らし』(ジャパンライフデザインシステムズ)の出版を機に東京との2拠点居住を始めて10年目。好きな泡盛は白百合。
PHOTO/MICHI MURAKAMI WRITING/TAEKO HAYASAKA
※メトロミニッツ2022年12月号特集「ローカルフードとステイケーション」より転載