メトロミニッツ、北海道函館市、農楽蔵

道南で指し示す未来へ続くワイン造り/北海道・函館

更新日:2022/10/20

北海道の函館には、ナチュラルなモノづくりをする人たちが集まってきています。その中心にいるのがワイナリー「農楽蔵」の佐々木賢さんと佳津子さんご夫妻。そんな2人が造るワインとは?

メトロミニッツ、北海道函館市、農楽蔵
「農楽蔵」の佐々木賢さんと佳津子さん。賢さんはフランス国家認定農業上級免許、佳津子さんはフランス国家認定醸造師の資格を持つ。2 人の信念は「正しい食べ物は正しい思考を生み出し正しい判断力がつく」

北海道・函館〈ワイナリー〉農楽蔵

農楽蔵の佐々木賢さんと佳津子さんは、2011年、北斗市文月に3列のブドウを植栽し、ワイン造りをスタートします。文月のある道南エリアは、賢さんが幼い頃から何度も訪れた、ルーツのような土地でした。

「気象データを舐めるように見て8年間探し回った末、南向き緩斜面の土地に巡り合い、そこでブドウを育てることを決めました」と賢さん。翌年には隣の函館市にワイナリーを設立しました。

メトロミニッツ、北海道函館市、農楽蔵
文月の畑の栽培面積は合計3.5ha。現在、品質、作業性も考慮して、サヴァニャン、ソーヴィニヨン・グリを増やす

あれから12年。リリースすれば即完売する彼らのワインは日本ワインを語る上で欠かせない存在です。加えて彼ら自身が地元の道南一帯のレストラン、酒屋さん、そして他の食の生産者との関係性を深め、ワインを核とした食文化をはぐくんできました。


佐々木さん夫妻は自分たちのワイン造りを、「リスキー3兄弟」を取り入れない造り方だと言います。3兄弟とは、亜硫酸、培養酵母、そして濾過。亜硫酸も培養酵母も添加せずワインを造り、できたワインも無濾過です。

「きちんと管理した亜硫酸無添加のワインには第一印象から余韻まで綺麗な一貫性のある伸びやかさがある。1 本を通しておいしく飲めます」と賢さん。

メトロミニッツ、北海道函館市、農楽蔵
ピノ・ノワールなどはフランスからクローンを取り寄せた 

栽培で化学合成農薬や除草剤、化学肥料を撒かないのは彼らにとって大前提。飲み手にワインを届けるものとして、自ら確信を持って安全だと思うものしか使わない姿勢を貫きます

白ワインは伸びやかな酸がきらめき、赤ワインは果汁のようでみずみずしく、まさにナチュラルな味わい。ナチュラルワインという言葉が、定義なしに1人歩きしている今、矜持を正し、その意味を指し示しています。

来年には文月に拠点を移すべく新しいワイナリーを設立し、コミュニティづくりも本格化。地域循環型モノづくりを実現し、次世代にとってのモデルとなることを目指します。

農楽蔵(のらくら)

TEL.非公開
住所/北海道函館市元町31-20

PHOTO/MASAHIRO SHIMAZAKI WRITING/MIYUKI KATORI
※メトロミニッツ2022年11月号特集「日本ワインの現在地2022」より転載

※記事は2022年10月20日(木)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります