ローカルに暮らすあの人が教えてくれる、町で生まれた手仕事もの(=民藝ちゃん)の話。今回は山梨県・市川三郷町の「SIWA トートバッグ M」を紹介。フリーマガジン『BEEK』の編集長長であり、やまなしのアートディレクターとしても活躍する土屋誠さんが、民藝ちゃんにまつわるローカルの物語をお届けします。
身近に置いておきたくなる、愛おしき紙のものづくり
1000年前から続く和紙の産地が山梨県市川大門にあります。地場産業として障子紙をメインに生産をしてきた産地ですが、日本の生活様式が変わってきてしまったことから、障子紙や和紙を身近な生活で使う機会が減ってきています。かく言う私も、仕事では様々な紙に接することがあり、個人的にも本や一筆箋など、いわゆる「紙モノ」好きなのですが、和紙に触れる機会は少ないほうでした。「SIWA」に出合うまでは。
「え、これ和紙なの?」が、初めてSIWAのバッグを見たときにこぼれた言葉。和紙でバッグ(や、文房具やインテリアグッズ)が作れるなんて。これはSIWAに使われている和紙漉きの製法で作った新しい紙「ナオロン」が、和紙のしなやかさを持ちながらも、耐久性があり水に濡れても破れない特徴を持っているから。今まで紙は、破れたり濡れたりすると使えなくなるので、日常ではわりと丁寧にしまっていることがほとんどでした。しかし、SIWAは気軽に使えてシワの感じが変わったり風合いが出たりと、紙独特の愛すべき表情が見えてきます。そういった経年劣化は、日常の中で感じられてこそ幸せだな、と。紙という素材になぜ今まで惹かれていたのか、SIWAを使うようになってあらためて気付いたことかもしれません。
民藝ちゃんDATA
■教えてくれた人/土屋誠さん
山梨県在住。2013年山梨の人や暮らしを伝えるフリーマガジン『BEEK』を創刊。やまなしのアートディレクターとして、デザインや編集を携えて、日々つたえる仕事をしています
■作った人/大直
和紙の産地・山梨県市川大門の和紙メーカー。地場産業である障子紙をはじめ「めでたや」「SIWA|紙和」などのブランドを展開
■買えるところ/SIWA オンラインショップ
PHOTO/MANABU SANO TEXT/MAKOTO TSUCHIYA
※メトロミニッツ2021年6月号「わたしの町の民藝ちゃん」より転載