東京・蔵前に新たに誕生するクラフトジン蒸留所の造り手を訪ねて_MEETS SAKEBITO Vol.05

更新日:2021/05/20

日本の酒が生まれる地を訪ねる連載「MEETS SAKEBITO」。今回の舞台は、2021 年6 月、ものづくりの街・蔵前に誕生するクラフトジン蒸留所「東京リバーサイド蒸留所」。食業界の注目を集めるマスター・ディスティラー(蒸留責任者)を訪ねます。

SAKEBITO Vol.05 東京・台東区「東京リバーサイド蒸留所」山口歩夢さん

1995 年千葉県生まれ。東京農業大学在学中から“酒ベンチャー”「WAKAZE」や「mitosaya薬草園蒸留所」に関わる。2020 年、昆虫食レストラン「ANTCICADA」開店。同年「エシカル・スピリッツ」蒸留責任者に。「ジンは味の個性を自由に楽しむ優しい世界です」

下町風情漂う東京・蔵前に「東京リバーサイド蒸留所」がオープン。運営元は、余った酒粕や通常廃棄されるお茶の幹、カカオの皮などを活用し、新たな命を吹き込むジンメーカー「エシカル・スピリッツ」です。

「とは言え“エシカル”が先行し過ぎて欲しくないんです。まずはおいしさ。その先にエシカルがあれば」。

そう話すのは、弱冠25歳で蒸留責任者を担う山口さん。東京農業大学在学中から、味覚の研究を行う傍らお酒の商品開発に関わったり、昆虫食のベンチャーを立ち上げたりと、その活動は広く知られるところ。

右上/ビル1 棟を丸ごとリノベーション。1 階には蒸留器が鎮座する 左上/2階のバーでは、ジンやカクテル、サスティナブルな食材を使用したフードを提供予定 右下/屋上のハーブ園。香り付けのボタニカルとして利用予定のハーブを20 種ほど栽培中 左下/華やかでクリーンな印象のイメージカラー

ゆえに期待も高まりますが、そんな前のめりな姿勢には「こだわり? ありません」とさらり。「自分の得意分野は味の組み立て。原料の個性を客観的に捉えていたいんです」。

原酒と香り付けのボタニカル、そのどれかが突出することなくまとまる神バランスこそ山口さんの本領。ちなみにまだ構想段階ながら、コーヒーやみりんなど、ユニークな原料候補が続々スタンバイ中とか。

「蒸留所の最終目標は“世界最高のコンポスト”」。この楽しさ、やっぱり期待せずにはいられない!

「東京リバーサイド蒸留所」で生まれたジン

カカオ・エシーク
4950円(375ml)

メイン原酒は秋田県「飛良泉本舗」の粕取り焼酎、メインボタニカルにはチョコレート作りで廃棄されるカカオハスク(皮)を再利用。リッチな風味はスイーツとも好相性

エシカル・スピリッツ 東京リバーサイド蒸留所

TEL.03-6427-0009 
東京都台東区蔵前3-9-3 
*6月オープン予定
「エシカル・スピリッツ・メイト」の加入(有料)で蒸留所の見学会やイベントへの参加が可能

PHOTO/ SAORI KOJIMA TEXT/ RIE KARASAWA
※メトロミニッツ2021年6月号「MEETS SAKEBITO」の記事転載

※記事は2021年5月20日(木)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります