ここ数年、自然食品専門店だけでなく、街なかの身近なところでもオーガニック野菜を食べたり買ったりできる場所が増えてきました。今回は京都のライフスタイルショップ、国内小売大手イオンのプライベートブランド、そして吉祥寺に誕生したライフが手がけるナチュラルスーパーをご紹介。ふだんの買い物から考える、これからのオーガニック・ライフとは?
[京都/ライフスタイルショップ]本と野菜 OyOy
本も野菜も、変化がもたらす喜びを
食エッセイにレシピ本、食にまつわる研究書や小説まで。約3000冊が収まる本棚に囲まれるようにして売られているのは、毎日、全国から届く新鮮野菜。「本と野菜 OyOy」は名前の通り、本と野菜を扱うライフスタイルショップです。
「本と野菜」という組み合わせに込められているのは、「時とともにおいおいと変化していく喜びを感じてほしい」という願い。本も野菜も、読んだ人や食べた人の体の中に入って、その人の命を形づくり、なんらかの変化をもたらすところが共通しています。
“変化”に対する考え方は、提供する料理にも表れていて、メニューに使う野菜は、必ずしも旬の盛りにこだわっていないそう。野菜のコンディションは気温や降水量で変わり、旬と言っても、走りと盛りと名残とで少しずつ異なるものだからです。やさしくも濃厚な野菜のスープをいただくと、移ろう季節の恵みを日頃からもっと大切に味わいたいと思えてくるのでした。
DATA
ほんとやさい おいおい
TEL.075-744-1727
京都市中京区烏丸通姉小路下ル場之町586-2 新風館1F
営業時間/11:00~22:00(21:30LO)
定休日/無休
[全国区/プライベートブランド]トップバリュ グリーンアイオーガニック
イオンが取り組む「持続可能な調達」
国が定めたガイドライン(*)に沿った、有機栽培による農作物を1993年から自社ブランドで展開しているイオン。現在は「トップバリュ グリーンアイオーガニック」の名を冠し、野菜やキノコなど種類も豊富に、ほぼ全店で購入できるようになりました。
「イオンは、すべての商品で『持続可能な調達』を目指しており、有機野菜もその一環。有機農業で人と社会と地球を健康にしたい」と、イオンアグリ創造株式会社社長の福永庸明(ふくながやすあき)さんは語ります。同社は、作り手のことを知り近代農業の仕組みを構築したいという思いから2009年に創設、現在は20農場を運営しています。
また、農場で蓄積したノウハウや物流拠点としてのハブ機能をほかの生産者と共有できるよう、2019年に「イオン オーガニック アライアンス」を立ち上げました。現場での勉強会や資材の一括購入など、ビジネス面で生産者同士をつなぐだけでなく、コミュニケーションの場としても重宝されて、会員数は発足時の1.5倍と順調に伸長。福永さんは「オーガニックの輪を広げ、持続可能なライフスタイルを根付かせたい」と未来に思いをはせます。
*「有機農産物等に係る青果物等特別表示ガイドライン」のこと
[吉祥寺/ナチュラルスーパー]ビオラル 丸井吉祥寺店
ライフ発ナチュラルスーパーが首都圏新登場
井の頭公園近くのデパートの1階にあるこちらは、スーパーマーケットチェーン・ライフの新店。2020年12月にオープンし、5年前に開店した近畿圏の第1号店に続く首都圏初のお店です。「1号店の靭(うつぼ)店が好評で、売上も順調なことから満を持しての出店です。オーガニック、ローカル、ヘルシー、サステナビリティをコンセプトに、全国の有機野菜を揃えています。袋詰め販売のオーガニックナッツやドライフルーツ、地元の武蔵野の野菜やパンなどもおすすめです」と、ライフコーポレーション広報担当の土屋裕美(つちやひろみ)さんは言います。
また、今回、4つのプライベートブランドのうちの1つで〝からだに優しい〟がテーマの「ライフナチュラル」を「ビオラル」として刷新し、新商品を50アイテム開発。2店のビオラル以外に、ライフ各店でも「ビオラルコーナー」の導入を進め、現在40店以上に展開中です。「オーガニックをより身近に感じていただけるよう、今後も取り組んでいきたい」と土屋さん。
お店は平日の午前中から大にぎわい。若い世代の子ども連れの家族をはじめ、オーガニック野菜を手に取る姿も多く見られます。
DATA
ビオラル まるいきちじょうじてん
TEL.0422-46-3780
東京都武蔵野市吉祥寺南町1-7-1 丸井吉祥寺店1F
営業時間/10:30~20:00
定休日/丸井吉祥寺店の店休に準ずる
PHOTO/MAKOTO ITO(OyOy),MIHO NORO(AEON,BIO-RAL) WRITING/ATSUSHI SATO(AEON,BIO-RAL)
※メトロミニッツ2021年5月号特集「未来のためのオーガニック」より転載