栃木県足利市でワイン造りに挑戦し続ける醸造家を訪ねて_MEETS SAKEBITO Vol.03

更新日:2021/03/20

日本の酒が生まれる地を訪ねる連載「MEETS SAKEBITO」。今回の舞台は、栃木・足利市「ココ・ファーム・ワイナリー」。人もブドウも自然体に生きる、山の畑を訪ねました。

SAKEBITO Vol.03 栃木・足利市「ココ・ファーム・ワイナリー」柴田豊一郎さん

1978 年、福島県生まれ。東京農業大学醸造科学科卒業後、「ココ・ファーム・ワイナリー」入社。取締役のブルース・ガットラヴさん(現「10R ワイナリー」代表)のもとで研鑽を積む。2007 年より製造部長。「“面白さ”がワイン造りの原動力。常に面白いことをしていたい」

出汁のように身体に染みる滋味深いワインや、はっとするほど力強い存在感のワイン・・・昨今巷をざわつかせているのが、「ココ・ファーム・ワイナリー」発のキャラ立ちワインたち。

知的障害者支援施設「こころみ学園」の人々がブドウ栽培から瓶詰めまでを行うこのワイナリーの製造部長・柴田さんは、2001年の入社以来、彼らとともにワイン造りに向き合ってきました。

左上/ 月替わりのテイスティングセットは500円 左下/ワインショップとカフェを併設。カフェでは、園生が育てた野菜を使った料理とワインのペアリングを用意 右/38 度の急傾斜の自家畑。除草剤や化学肥料は使わず、自然に寄り添うブドウ作りを目指す。5 つの自家畑の他、日本各地に契約栽培農家も

柴田さんが歩んだ20年は、「ココ・ファーム」変革の20年。高温多湿な足利の土地でも元気に育つブドウを求め、ノートン、プティ・マンサン、タナといった“適地適品種”の試験栽培に次々と挑戦。すべてのワインを、ブドウに付着した野生酵母で発酵させる方法に切り替えてきました。どんなワインを造るかは、毎年ブドウの出来を見てから決めると柴田さん。「この感じなら、今年はちょっと遊んでみようとか。

造り手が楽しくないと、飲んだ人も楽しくないと思うから」。20種以上が揃うワインは、さまざまなブドウが協演し織りなす色とりどりの味わい。「一緒に作業をしている園生は個性豊か。ワインもそうありたい」

「ココ・ファーム・ワイナリー」のワイン

協奏曲R 2019
3800円 (750ml)

新しい試みに挑戦する「こころみシリーズ」の赤ワイン。栃木県の自家畑のノートン、タナ、小公子をブレンド。上品な酸、長く続くうまみの余韻が心地よい

ココ・ファーム・ワイナリー

TEL.0284-42-1194
栃木県足利市田島町611
1日3回の「ワイナリー見学コース」は500円。その他、見学にランチとワインが付く「ワイナリー特別コース」(要予約)も受付中。

PHOTO/SAORI KOJIMA TEXT/ RIE KARASAWA
※メトロミニッツ2021年4月号「MEETS SAKEBITO」の記事転載

※記事は2021年3月20日(土)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります