京都四条河原のほとりに建ち、約3年に渡る大規模な耐震改修工事を終えた劇場「南座」が、平成30年11月1日に新開場。発祥から400年の歴史に新たな第一歩を刻み始めた。国の登録有形文化財で、京都市の歴史的意匠建造物にも指定されている建物は、意匠を変えることなく保存・修復。正面玄関から1歩入れば、以前と同じ華やかな景色が広がっている。伝統と新たな魅力が融合する新しい南座へ、京都旅行の際に訪れてみて。
忠実に再現されて美しくよみがえった劇空間
南座のルーツは江戸時代初期までさかのぼる。芝居町として発展してきた京四條河原で誕生し、以来400年以上歌舞伎をはじめとする多彩なジャンルのエンタテインメントの中心であり続けた南座。今回の改修では、昭和初期の名建築といわれる建物の魅力を守りながら、耐震性の向上を図って安心安全な劇場に生まれ変わった。
劇場空間の快適さも大幅にアップ。赤いシートが鮮やかな観客席に一歩足を踏み入れると、日本古来の伝統を受け継ぐ「破風(はふ)」や豪華な「折り上げ格天井」、「擬宝珠(ぎぼし)」を備えた桟敷席の欄干のなどが、塗り替えられ磨かれたりしてさらに美しい姿を魅せている。椅子も新調され、足元が広く自然と深く腰掛けられようになったので、ゆったりと観劇できる。
クラシカルで芸術的な意匠が観客を魅了
劇場を訪れた人の目を引くのが、金色金具の装飾が施された正面玄関の照明と扉。大理石造りの階段を上がっていくと、クラシカルな照明の柔らかな光に照らされた廊下がお出迎え。アール・デコ調の照明やシャンデリアなど昭和初期からの照明は、外側は以前からのランプシェードを保存再生し、光源をLED化したことで、まぶしいほどの輝きを放っている。観劇だけでなく、「芸術的」とも言われる内装を見て歩くだけで、懐かしさを感じるような温もりに包まれるはず。
ライトアップされた建物が京の夜を彩る
南座の新開場に伴い、南座史上初、デザイナーによるライトアップが実現。ライトアップの監修は、パリの「ジャポニスム2018」でエッフェル塔のライトアップも手がけた石井リーサ明理氏。おすすめの鑑賞スポットは正面のほか、スケール感があるのは正面と側面が一緒に見える橋の上だという。真夜中でも存在感があり、新しい京都の夜のランドマークになった南座。白い光に照らし出された趣たっぷりの建物を、鴨川や先斗町などを巡り歩きながらうっとり眺めて。
【京都・祇園四条】南座
- スポット名
- 南座
- 電話番号
- 0755611155 0755611155 (代)
- 住所
- 〒605-0075 京都市東山区四条通大和大路西入る中之町198 Map
- 交通アクセス
- 京阪電鉄「祇園四条駅」6番出口よりすぐ、阪急電鉄「河原町駅」1番出口より徒歩3分
- 総座席数
- 1088
- 主な施設
- 「なだ万」、「とらや」、総本家にしんそば「松葉」、売店
- ホームページ
- 南座の詳細はこちら
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WRITING/MACHIKO MIYATA