ミナミのど真ん中に位置する建物は、正面の大アーチが特徴的なネオ・ルネッサンス様式で、長年“道頓堀の凱旋門”の愛称で大阪の人々に親しまれてきた。平成9年には、地上8階・地下2階建ての新しい演劇専門劇場として生まれ変わるも、正面のアーチはそのままに。現在は、歌舞伎をはじめ、コンサート、ミュージカル、レビューや落語まで、あらゆる舞台芸術を上演している。
華やかな緞帳が観客を迎える演劇空間
創建当時の興行スタイルは、松竹楽劇部(後のOSK)のレビューと外国映画の組み合わせという、当時としては斬新な試み。その後俳優の実演、昭和27年からは洋画の封切感として名画を上演。今では、かつて中座、朝日座、浪花座、角座、弁天座という五座が立ち並んだ芝居街・道頓堀で残る大劇場は、大阪松竹座だけとなった。
劇場内の3階に上がり観音開きのドアを開けると、柿色を基調とした緞帳がお出迎え。この緞帳は、高倉家に伝わる調進控有職文様絵形の下絵集成の中から取材した『有職麗華』(ゆうそくれいか)という題名で、有職文様とは平安時代以後、公家や女房などの装束や調度に用いられた文様のこと。床面は赤を基調とし、日常性から遊離した演劇空間を演出。華やかで気品あふれる客席で優雅に観劇して。
建物正面の大アーチは、一見の価値あり!
大林組の木村得三郎によって設計されたネオ・ルネッサンス様式の建築は、正面および側面にかけて、テラコッタという焼煉瓦が美しく華やかに外壁を飾っていた。現在も正面2階から3階にかけての大アーチは当時の姿のまま残っているので、クラシカルな外観を見るだけでも価値がある。歴史と風格を感じるファサードに見惚れながら、劇場のエントランスへ向かって。
艶めくイタリー大理石が豪華なエントランス
1階エントランスロビーのデザインは、外壁のネオ・ルネッサンス様式のアーチを意識して、壁、床にサンドベージュ色のイタリー大理石を用い欧風に仕上がっている。正面の壁面には、フランス人画家のベルナール・ビュッフェ作『暫(しばらく)』が! エントランスに足を踏み入れたら、まずはこの迫力ある絵画を鑑賞してから気分盛り上げて観劇しよう!
【大阪・なんば】大阪松竹座
- スポット名
- 大阪松竹座
- 電話番号
- 0662142211 0662142211 (代)
- 住所
- 〒542-0071 大阪市中央区道頓堀1-9-19 Map
- 交通アクセス
- 地下鉄 御堂筋線・四つ橋線・千日前線「なんば駅」14号出口より徒歩1分
- 総座席数
- 1033
- 主な施設
- とんかつダイニング「キムカツ」、日本料理「美食酒肴 割烹 仁扇」、「矢場とん」、「ステーキさくら」、とうふ・和食「四季自然喰処 たちばな」、「道頓堀麦酒醸造所」、売店
- ホームページ
- 大阪松竹座の詳細はこちら
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WRITING/MACHIKO MIYATA