落語のおもしろさを知って寄席やホールに通うようになると、気になる落語家や演目が見つかるもの。寄席だと、お目当ての落語家がいる場合はプログラムを見れば名前が書いてあるけど、どんな演目をやるかまでは発表されていません。ただ、ホール落語や独演会は事前にネタ出しをされている場合も。では、高座にかけるネタが事前に決まっていない場合、落語の演目はどのようにして決めるのでしょう?
なにが聞けるか分からない!?客席の様子でネタを決める
あらかじめネタ出しされていないときのネタは、実は当日決めているんです。個人差はあるものの、得意ネタの中からたいてい第一候補のネタを中心に、いくつかの候補を頭に入れて高座へ上がる。そして、集まっているお客様の顔や雰囲気を見て「今日はこういう落語が喜ばれるだろう」と考えて決めるのだそう。マクラで世間話をしながら、お客様の反応を見て急遽考えていたネタではない噺をすることもあるとか・・・。なにが出るかはお楽しみ!
同じ日に同じ噺はNG!楽屋にあるネタ帳をチェック
寄席ではまず大前提として、その日すでに演じられた噺は避けることが原則。落語家は高座に上がる前に必ず、楽屋でネタ帳を見ます。そこにはその日誰がどの噺をやったかが記録されているので、「じゃあ、今日はこの噺をしよう」などと考える。だから、前日に稽古してきてもそのネタができないことも・・・。しかも夜の部のトリともなると、それまでに上がっている多くの落語家がやった噺を避けなければならなくなり、ネタも制限されてくるというわけ。実力がないとトリは務まりません。
また、同じようなテーマや要素を含む噺のことを「ネタがつく」というのですが、これも基本的には避けるべき。例えば、前の人がお酒が絡む噺をやったらお酒ネタはできない。また、若旦那や子供、泥棒などの登場人物や、長屋や遊廓などが舞台の噺といったジャンルもかぶらないように気を付けている。寄席での持ち時間は、通常15分~20分。これらの要素を考えながら演目を選び、客席を飽きさせないようにしているのです。
落語によく登場するキャラクターってどんな人?
古典落語の演目に登場する江戸っ子はみな生き生きと暮らす愛すべき人ばかりです。そこで、落語に出てくる代表的な登場人物たちをご紹介。頭のネジが1、2本抜けたような愚か者、とんちんかんな行動をして場を混ぜ返す役割の「与太郎」。江戸落語といえばこの2人、職人の代表「八五郎=八っつあん」と「熊五郎=熊さん」。憎まれ口を叩いたり揚げ足をとって大人を困らせる子どもは「金坊」や「定吉」など。このほかにも、若旦那やおかみさん、ご隠居、花魁など、落語の世界には魅力的な住人がたくさん! 一度覚えてしまえば名前を聞いただけでどんな人物なのか想像できるようになるので、よりディープに落語に浸れるかも。
WRITING/MACHIKO MIYATA
【特集】気軽でたのしい!ハマル落語
若者の間で、空前の落語ブーム到来!と騒がれている近年。それならどんなものか聞いてみたいけど、なんとなく敷居が高そう・・・と思っている人も多いのでは? でも大丈夫、予備知識は不要です。頭を空っぽにしてぼーっと噺に耳を傾けていると、いつの間にかクスっと笑えたり、お腹がよじれるほど大笑いしたり、身を乗り出して夢中になっている自分に気付くはず。今まで経験したことのない新たな世界に、即ハマること間違いなし!