古典落語

「江戸落語」と「上方落語」、「古典落語」と「新作落語」

更新日:2019/05/16

落語には「江戸落語」と「上方落語」、「古典落語」と「新作落語」があるって知ってた? 東京の落語家と関西の落語家による落語を聞き比べてみると、いろいろな違いを発見できる。また、江戸時代から明治時代に生まれた作品を「古典落語」と呼び、大正時代以降に新しく作られた噺を「新作落語」と呼んでいるんです。落語の歴史を知ってそれぞれの違いが分かると、より親しみを持って聞けるはず。

古典落語

そもそも「落語」はどうやって誕生したの? まずは歴史を知ろう

落語の始まりは、室町時代末期から安土桃山時代にかけて。落語の元祖と呼ばれる安楽庵策伝(あんらくあんさくでん)という浄土宗の僧侶が、おもしろおかしく仏道を説き、オチをつけて笑わせていた。その後、江戸時代になると京都、大阪、江戸に語りを生業とする職業的落語家が登場し、寄席という形が芽生えたそう。

ところで、「落語」と書いて「らくご」と読まれるようになったのは明治時代から。それまでは「落とし噺」と言われていて、「落ち」を聞かせる噺だった。その後、ストーリーが語られるようになり、登場人物の行動や言葉、人情の機微などが落語のおもしろさとなり、「落ち」は締めくくるものへと変貌。マクラ、本編、そして最後にオチという流れに。

「江戸落語」と「上方落語」どう違うの?

東京の落語家と関西の落語家の大きな違いは、言葉。「江戸落語」は江戸っ子が使うような江戸言葉で、大阪弁などの上方言葉を使うのが「上方落語」。お座敷などで語られていた「江戸落語」は人情噺などをじっくり聞かせて笑いを誘うスタイルで、小道具は扇子と手ぬぐいのみ。「上方落語」は扇子、手ぬぐいに加え、見台(けんだい)と膝隠しを使うときは張扇(はりおうぎ)と小拍子(こびょうし)も使う。もともと路上で往来の人の足を止めて噺をしていたため、派手に爆笑をとる賑やかなスタイルが特徴。

では、「江戸落語」は東京で、「上方落語」は関西に行かないと聞けないの? 30年ほど前まではすみ分けがあったというが、今はそういうことはあまりなく、東京を拠点に上方落語を演じている落語家がいたり、東京の落語家が関西に呼ばれることも。言葉の違いと出てくる地名が違うくらいです。落語に慣れてきたら、両方聞き比べてみるのもおすすめ。

「古典落語」と「新作落語」どう違うの?

江戸時代から明治時代に生まれた噺が「古典落語」。それぞれの時代の落語家によりずっと語り継がれてきたものなので名作が多いのだが、ほとんどが作者不明の作品。物語の多くは江戸が舞台で、主に長屋や商家など江戸庶民の暮らしや文化、風俗について描かれている。時代の流れに左右されない普遍的な滑稽話、感動的な人情話などを楽しめる。

「新作落語」は、大正時代以降に新しく作られた作品のことで、落語家自身が作ったネタを演じることが多いため、落語家の個性を味わえるのが魅力。舞台は主に現代だが、未来や異次元の噺など舞台は自由自在。設定が現代社会のことが多いので、古典と比べると圧倒的にわかりやすくておもしろい。落語初心者には親しみやすいかも!

WRITING/MACHIKO MIYATA

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若者の間で、空前の落語ブーム到来!と騒がれている近年。それならどんなものか聞いてみたいけど、なんとなく敷居が高そう・・・と思っている人も多いのでは? でも大丈夫、予備知識は不要です。頭を空っぽにしてぼーっと噺に耳を傾けていると、いつの間にかクスっと笑えたり、お腹がよじれるほど大笑いしたり、身を乗り出して夢中になっている自分に気付くはず。今まで経験したことのない新たな世界に、即ハマること間違いなし!

※記事は2019年5月16日(木)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります