【青森県・弘前市】レトロかわいい町で手仕事に出会う旅
greenの店内に並ぶこぎん刺しのファブリックパネル
岩木山のふもとに広がる城下町・弘前。明治~大正期に西洋文化を積極的に取り入れるなど、独自の文化を築いてきた街には、古くから受け継がれてきた工芸品も。暮らしと風土から生まれた手仕事に触れて、心和む休日を
更新日:2019/10/25
【STORY】弘前市の手仕事ものがたり
青森県弘前市に息づく、温もりある手仕事
日本各地ではぐくまれた伝統や文化。地域では当たり前なあれこれも、旅人には新たな発見に。日本のよりみち案内第1回は青森県弘前市へ。城下町としておなじみの街は、桜の名所・弘前城や、名産品のりんごが有名だけれど、暮らしや風土から生まれた手仕事がたくさん。今も土地に根付き、大切に受け継がれている。
弘前でまず訪れたいのが、地域を代表する工芸品・こぎん刺しを今に伝える「弘前こぎん研究所」。こぎん刺しとは麻布に木綿糸をひと針ずつ手で刺し、幾何学模様を表す刺し子技法のこと。北欧のテキスタイルを思わせるかわいらしさだが、もともとは防寒のための手仕事だったそう。
「江戸時代の後期、木綿は贅沢品で、農家の人々は自分たちで栽培した麻の着物しか着用を許されませんでした。そこで津軽の冬の極寒を少しでもしのごうと、女性が麻布に糸を刺して補強したのが始まり。生活の知恵が生んだ手仕事なんです」と話すのは、3代目所長の娘で4代目を担う千葉弘美さん。やがて女性たちは、こぎん刺しに美しさや楽しさを見いだし、ひし形を基調とした“モドコ”と呼ばれる模様を次々と生み出した。
研究所では、そんな津軽の女性たちが発展させた約30パターンのモドコを組み合わせて、くるみボタン、ポーチなどの雑貨を製造販売。刺しの部分は、時代を経た今も津軽の女性たちの手仕事。20~80代の女性約100名が刺し手となって、ひと刺しひと刺し丁寧に仕上げている。
「藍染めの麻布と白い木綿糸の組み合わせが伝統的ですが、近年はカラーが多彩に。刺し手、布と糸の色、モドコの取り合わせで、同じ商品でも趣が少しずつ違うんですよ」と千葉さん。素朴なかわいらしさと、手仕事ならではの温かみに心が和み、しかも個性豊か。自分だけの逸品探しに思わず夢中になる。「これからも時代に合わせて、いろいろな商品を提案していきたい。でも伝統は大切に。こぎん刺しとかかわる人たちと一緒に、麻布と木綿糸から生まれる美しさ、かわいらしさを守っていきたいですね」
弘前にはほかにも、郷土玩具やブナ細工など暮らしに寄り添う工芸品が充実。りんごグルメ、街に点在する明治~大正期の洋風建築物も楽しみながら、弘前ならではの旅を。
弘前こぎん研究所
1962年創立。初代所長が収集した資料などをもとに、時代に合ったこぎん刺しを提案。作業場が見学できるほか、コースターかしおりが作れるワークショップ1500円も行う(要予約)。
ヒロサキコギンケンキュウジョ
TEL.0172-32-0595
青森県弘前市在府町619:00~16:30
土・日・祝 弘前駅より土手町循環100円バ
スで約15分、市役所前下車徒歩7分
青森県弘前市 ACCESS & TRAVEL PLAN
青森県の西部、岩木山のふもとに広がる城下町・弘前。明治~大正期には西洋文化を積極的に取り入れるなど独自の文化を築き、洋館が点在するレトロかわいい街には、古くから受け継がれてきた工芸品も。暮らしと風土から生まれた、弘前のローカルスタンダード、こぎん刺しなど数々の手仕事に触れられる。
ACCESS
羽田空港より青森空港まで飛行機で約1時間15分、空港より弘前駅前行きバスで約55分。弘前市内は徒歩または、10分間隔で運行する土手町循環100円バスなどで移動。大鰐温泉へは弘前駅よりJR奥羽本線で約10分、大鰐温泉駅下車
TRAVEL PLAN
■1日目
8:00 頃 東京を出発
10:30頃 弘前に到着
11:00 ランチ
13:00 弘前城を散策
15:00 カフェでおやつ
16:00 雑貨店巡り
19:00 旅館にチェックイン
■2日目
9:00 弘前市りんご公園を散策
13:00 ランチ
15:00 雑貨店、洋館など市内散策
18:00頃 帰路につく
弘前の街歩きマップを活用しよう
りんごの街・弘前を満喫するなら、弘前観光コンベンション協会のガイドマップを活用。「弘前アップルパイガイドマップ」には甘み、酸味などが5段階で表示され、店選びの参考になる。ほかにタルトタタン、シードルが飲める店を紹介するマップも。観光案内所のほか、協会のHPでも入手可。
弘前のかわいい手仕事ものをプレゼント
今回は、こぎん刺しのくるみボタンと、郷土玩具・下川原焼の鳩笛を各ひとつずつセットにして、2名様にプレゼント。くるみボタンはヘアゴムにしたり、ブローチにしたり、アレンジして楽しむのも◎。見た目にも音色にも癒される鳩笛はインテリアのアクセントにもなりそう。青森県弘前市についてのアンケートに答えて、プレゼントをもらおう。色の組み合わせはお任せください。
PHOTO/KAZUHITO MIURA WRITING/MIE NAKAMURA(JAM SESSION)