太古の女神に出会う旅/宮崎県・西都市 神話トリップ Vol.50
更新日:2018/05/15
宮崎県・西都市ってこんなところ
神話と古墳を巡って感じる太古のロマン
さまざまな神話が息づく宮崎県。そのほぼ中央部に位置し、日本最大級の古墳群「西都原古墳群」で知られる西都市に伝わるのは、美しき女神·コノハナサクヤヒメの物語。地域には神話にまつわるスポットがあり、春は桜と菜の花、夏はひまわり、秋はコスモスと、女神の美しさを思わせる季節の花々も。女神の半生をたどるように町を巡り、いにしえに思いをはせて。
Access
羽田空港より宮崎空港まで飛行機で約1時間30分。空港からは西都方面行きバスで約1時間5~20分、西都バスセンター下車。路線バスの便数が少ないため、西都バスセンターからの移動はタクシーか徒歩がスムーズ
太古の女神に出会う旅
神話の世界を感じる「記紀の道」へ
花のような美しさとたたえられた女神·コノハナサクヤヒメ。天孫·ニニギノミコトと出会い、結ばれ、出産して・・・。真実のため命をかけて自分を貫き、力強く生きた美しき女神のゆかりの地を巡って、元気をもらう神話トリップを。
神話を知って、もっと楽しく
西都市を旅する前に、日本神話をちょっとお勉強。お話を伺ったのは、神話や神様をテーマにした著書で知られる國學院大學教授の平藤喜久子先生。「日本神話にはさまざまな地名が出てきます。特にかつて日向国と呼ばれた宮崎県を舞台にした物語がたくさんあり、日向神話と呼ばれています」
日向神話の始まりは、太陽の女神·アマテラスオオミカミに地上を治めるよう命じられたニニギノミコトが、天から地上へ降りてくる天孫降臨からスタート。「降り立った場所は、日向の高千穂。アマテラスオオミカミの孫であるニニギノミコトは太陽とのかかわりが強いので、〝日に向かう国〞は天孫降臨にふさわしい地だったのでしょう」
地上に降り立ったニニギノミコトは今回の旅の主役·コノハナサクヤヒメに出会い、その美しさにひとめぼれ。すぐに結婚を申し込んだ。「山の神でコノハナサクヤヒメの父でもあるオオヤマツミノカミは、その求婚に大喜び。もうひとりの娘·イワナガヒメも一緒に嫁入りさせますが、ニニギノミコトは容姿の醜いイワナガヒメを拒絶。親もとへ追い返してしまいます」
姉への仕打ちをどう感じたのか定かではないが、無事にニニギノミコトと結ばれたコノハナサクヤヒメ。一夜にして子を宿すと、またもや問題が。
「たったひと晩で身籠ったことに、本当に自分の子なのかとニニギノミコトは問い詰めます。するとコノハナサクヤヒメは、『この子がニニギノミコトの子ならば、無事に生まれてくるでしょう』と、戸のない産屋に火を放ち、あえて危険な状況で出産。3柱の皇子を産み、身の潔白を証明しました。コノハナサクヤヒメは、美しさとともに激しい気性を持つ女神なんです」
その後、夫婦は幸せに暮らせたのだろうか。「『古事記』にも『日本書紀』にも記述がなく、謎のままです。でも、西都市には2神の御陵墓と伝えられる男狭穂塚、女狭穂塚があります。ニニギノミコトのお墓といわれる場所はほかにもありますが、この地では唯一、2神が隣り合わせで眠っています。2神は最後まで添い遂げたと想像できて、ハッピーな気分になります」
日本神話はひとつの物語ではなく、地域によって独自の解釈やストーリーが生まれているのも特徴。「コノハナサクヤヒメがニニギノミコトと出会った逢初川はこの場所、出産した無戸室はあの場所と、いろいろな解釈が見られます。独自の物語を語り継ぐことで、より神話に親しみ、神様を身近に感じていたのでしょうね。そんな土地の人々の思いも感じ取りながら旅をすると、神話の世界がより魅力的になるはずです」
いざ、「記紀の道」巡りにでかけよう
「記紀の道」とは
日本最古の文献とされる『古事記』と『日本書紀』に書かれている日向神話。そこに登場する、ニニギノミコトとコノハナサクヤヒメにまつわる伝承の地を結んだ観光ルートのこと。事前に神話を理解してから訪れるのがおすすめ
自転車レンタルなどお出かけの準備はここで
西都原ガイダンスセンター このはな館
記紀の道のスタート地点にぴったりなのが、西都市観光案内所に隣接するこちらの複合施設。90分間無料で自転車を貸し出してくれるほか、館内では地域の特産、みやげ品などを販売。記紀の道巡りの合間に楽しみたいおやつやドリンクはここで入手しておこう。
DATA
TEL.0983-43-6230
宮崎県西都市三宅4941-1
営業時間/9:00~17:00 ショップ10:00~ レストラン11:00 ~15:00(14:30LO)
定休/月(祝の場合翌休)
アクセス/西都バスセンターよりタクシーで約7分
コノハナサクヤヒメとニニギノミコトが出会った地
逢初川
天からやってきたニニギノミコトが、コノハナサクヤヒメを見初めたといわれる地。水くみをしていた女神のあまりの美しさに、ニニギノミコトはひとめぼれしたとか。現在この川はその存在を守るかのように草木で覆われているものの、目の前に流れる清らかな小川から、神聖さが伝わってくる。
DATA
TEL.0983-41-1557(西都市観光協会)
宮崎県西都市大字三宅
アクセス/このはな館より自転車で約10分
宮崎県・西都市:神話トリップ
「九州·沖縄の翼」ソラシドエアで宮崎へいこう♪
「神話のふるさと」といわれる宮崎は、古代「日向の国」とよばれ、その日向の中心地に位置する西都原には、多くの神話や伝説が伝わっています。西都原古墳群周辺には季節の花が咲き乱れ、四季折々の景色を楽しむことも。また、豊かな自然と温暖な気候から生まれた特産品、完熟マンゴーやスイートコーンなどおいしいものもたくさん! ソラシドエアで宮崎の歴史と自然を感じに旅に出かけよう!
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東京女子のココロが動く、まだ知らない日本のイイトコを抽出して届ける連載「イイトコドリップ」は、毎月1つの旅先をお届け。ぜひチェックして、次の旅のきっかけを見つけて!
WRITING/MIE NAKAMURA(JAM SESSION) PHOTO/MANABU SANO MODEL/SHIHO TAKECHI