もしものときの“がん”のハナシ。どんな備えが必要?
がんの治療にはいくら必要で、どんな備えが必要なの? 女性がかかりやすいがんの話や、最近の治療傾向、がんの治療費や治療費以外にかかる費用など、みんなが気になることをまとめてお話しします! ちゃんと向き合って、備えて、不安を安心に変えよう。
更新日:2020/02/18
知っておくべき“がん”の知識
2人に1人はがんと診断
一生のうちにがんになる確率は、男性が62%、女性が47%と、おおよそ2人に1人ががんになるといわれています。全体としては男性の方が確率は高く、30代後半から40代の男女のがん罹患率を比較すると、女性の方が大きく上回っています。子宮頸がんや乳がんなど、女性ならではのがんのリスクが高まることがその理由。ちなみに1年間でがんと診断された人は99.5万人。がんは決して特別なものではなく、とても身近な病気となっています。
早期発見・早期治療を
がんは、からだのなかで誤ってできたがん細胞が、無制限に増え続けてしまう病気。増え続けたがん細胞は、血液やリンパ液の流れに乗って、体のあちこちに広がってしまいます。1つのがん細胞が1㎝の大きさになるまでには約10年間かかりますが、そこから2㎝になるまでには1〜2年しかかかりません。定期的にがん検診を受診して、早期発見をし、早期に治療を始めることが重要です。
女性がん患者の4人に1人は乳がん
女性がかかるがんを部位別にみてみると、1位が乳がん、2位が結腸がん、3位が胃がんという順に。食生活の変化や、初潮年齢の早期化、少子化や晩産化、初産年齢の高齢化など女性の生活環境の変化の影響もあり、乳がんの患者数は24年間で2.4倍に増えています。(厚生労働省「26年患者調査」より)
20歳過ぎたら乳がん年齢
乳がんの患者数のピークは65〜69歳ですが、乳がんの発生は20歳過ぎから認められ、30歳代でさらに増え、40歳代から1万人を超えます。乳がんは早期発見をして治療を受けさえすれば、10年生存率が高い病気。早期発見のためにも、20歳を過ぎたら乳がん検診の受診がおすすめです。(厚生労働省「26年患者調査」、日本乳癌学会「全国乳がん患者登録調査報告第29号」参照)
がん治療とお金について
がん治療は、「手術療法」「薬物療法」「放射線療法」の3つの組み合わせ。がんの種類や症状によっては、手術でがんを切除して終わることもありますが、再発や転移を防ぐために、薬物療法や放射線治療を組み合わせていきます。
入院は短く外来中心のがん治療
2002年には35.7日だった入院日数は、2017年には17.1日となり、がんの入院日数は、以前よりも短期化する傾向に。薬物療法も外来で行われるようになり、がんの治療が外来中心に変わってきています。
そのため、退院したら終わり、ではなく、退院後も長く上手にがんと付き合っていくことを考えるのが大事なポイントです。
がんの治療費は約18万円
厚生労働省「医療給付実態調査 報告書 平成27年度」で発表されている、おもながんの治療費は図の通り。健康保険が利用できる治療は、自己負担3割で、1カ月の自己負担額が高額になっても、健康保険の高額療養費制度が利用できるため、1カ月の自己負担額は8~10万円程度(※1)に抑えられます。
※1 70歳未満の平均的な所得の場合。月をまたいだ入院は、別々の月として計算されます
意外にかかる目に見えないお金
入院すると、パジャマや下着などの入院準備費用がかかります。お見舞いや手伝いに来てくれる家族の交通費や宿泊費もかかるでしょう。子どもを預けたり、家事を誰かに頼んだりする費用も。抗がん剤の影響で抜け毛が気になるようになったら、ウィッグ(かつら)も必要に。直接的な治療費以外にも、目に見えないお金が意外とかかります。
意外と高い差額ベッド代
差額ベッド代は、本人の希望により、個室や少人数部屋に入院したときにかかる費用のこと。健康保険が利用できないため、全額自己負担となります。手術の直後でゆっくり休みたいときや、体調が思わしくないとき、精神的に不安定な時などは、いろんな病気やケガの患者が混在して、見舞客も頻繁に出入りする大部屋は何かとつらいもの。病院や部屋のタイプによって料金は異なりますが、入院が長びくと治療費よりも高くなる可能性もあります。
先進医療は自己負担
先進医療は、厚生労働省が認めた特別な治療です。先進医療を受けた場合、検査や入院など一般的な治療については健康保険が使えて自己負担3割になりますが、先進医療の技術料は全額自己負担に。がんの先進医療である「陽子線治療」 の1件当たりの技術料は2,716,016円、「重粒子線治療」では3,133,672円となり、とても高額です。
(中央社会保険医療協議会「平成30年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」より)
治療を続けながら年収が4割減少
働き世代の女性がん患者のうち、「以前に比べて収入が減少した」と答えた人の割合は、57.3%に達します。「4割以上の減収」と答えた人は男女全体で約2割いることから、がんになると収入にも大きな影響が出ることがわかります。年収が4割減ったなかで、治療費を払いながら生活をするとなると、経済的にかなり厳しい状態になることが予想されます。
まとめ
がんは早期発見をして、適切な治療を行うことができれば、ふつうの生活に戻れる病気となってきています。お金のことを心配せずに治療に専念するためにも、経済的な備えが必要に。治療期間中は、医療費の自己負担分のほかにも、差額ベッド代や通院のための交通費、食費などがかかります。さらに、経済的な余裕があれば、食生活の改善や、癒しの時間の確保、乳房再建術など、元気になるための費用も使うことも可能に。早期発見のための定期的な検診と、いざというときのための備えをこの機に検討してみてはいかが?
PR/東京海上日動、東京海上日動あんしん生命
WRITING/YOSHIMI UJIIE