【プレママのお悩み】妊娠中は旅行を楽しんでもいいの?
「赤ちゃんが生まれたら、夫婦2人きりで過ごす時間なんて当分つくれない。だったら、今のうちに旅行にも行っておきたい」と考えている妊婦さんもいるのでは? しかし、妊娠中の旅行にはさまざまなリスクが伴うもの。そこで、これだけは知っておきたいポイントを婦人科のドクターが解説。正しい知識を身につけ、守るべき注意点を理解し、妊婦であることを自覚した良識ある行動を心がけながら、ママになる前の貴重な時間を楽しんで
更新日:2017/05/15
260人のプレママ達に聞いた、妊娠中の旅行事情
旅行する妊婦が増える一方で、多数のトラブル報告も
現在妊娠中の女性や、過去に妊娠していた女性260人を対象にアンケートをとったところ「妊娠中に旅行に行ったことがある」と答えた人は全体の46%と半数近くに。しかし、旅行先で突然体調が悪くなって現地の病院に緊急搬送されるケースが増えているという話も。それが、大きな病院がないなど受け入れ体制の整わないリゾートだった場合、本来その病院を優先的に利用できるはずの現地の妊婦さんにも多大な迷惑がかかるという結果に。あなたはどう思う?
産婦人科医・宗田先生教えて!妊娠中の旅行についてのQ&A
妊娠中の旅行には不安がつきもの。飛行機に乗っても大丈夫? 温泉に入っていいの? いや、そもそも妊娠中に旅行してもいいの? そんな疑問の数々に回答してくださるのは「OZmallの婦人科検診予約」でも人気のクリニック・広尾レディース院長の宗田聡先生。旅行に行きたい、でも心配・・・そんな妊婦さんは、先生のアドバイスをぜひ参考にして。
「安定期に入ったから」、「友達も行っているから」。そんな理由で、気軽に旅行に行く妊婦さんもいるようですが、旅先で体調を崩すリスクは誰にでもあり、ましてや妊婦さんならば胎児に影響する可能性が大です。旅行前に体調や赤ちゃんに問題がないことを確認しておきましょう。それでも体調急変などの緊急時がありうることも十分想定しておきましょう。そのうえで、その旅行は今行かないとダメなのか、自分は今旅行に行けるコンディションなのか、といったことを自問自答し、熟考したうえで決めてもらいたいと思います。
妊娠中の旅行に適した時期は、安定期といわれる妊娠15週目以降から妊娠8カ月くらいまでですが、あくまでも1つの目安と考えてください。最寄り駅から遠い秘境の温泉、空港からほど遠いリゾートなどは、体への負担が大きくなります。移動や乗り換えが少なくてすみ、なおかつ設備の整った病院が近くにあるような場所を旅行先に選ぶべきでしょう。そういった意味では、海外旅行や離島などはおすすめできません。
宿泊先のホテルや旅館は、できればバリアフリーであることが望ましいです。宿泊先に妊娠中であることを伝えておくことで、部屋の場所やタイプ、食事面で配慮してもらえるかもしれません。どんな部屋でどんな食事がいただけるのか、事前に確認しておくといいですね。部屋は、受動喫煙を避けるためにも禁煙ルームをお願いしましょう。
まず、いつでもどこでも、母子手帳と保険証は必ず携帯してください。母子手帳には、万が一に備えて最近の検査結果などを挟んで持ち歩くようにするのがおすすめです。また、宿泊先に確認したうえで、自分用のパジャマ、腰に当てるクッションなども必要に応じて持っていくといいでしょう。
妊婦さんでも飛行機には乗れます。実際、里帰り出産などで飛行機を利用する妊婦さんは普通にいます。しかし当たり前ですが、機上で具合が悪くなっても降りることはできません。飛行機に限りませんが、新幹線、バスなど乗り物による長時間の移動に不安があるのなら、旅行先やそこへの移動方法などもよく考えておきましょう。
温泉自体は問題ありませんが、妊娠中は肌が敏感なので刺激の強い硫黄泉などは避けて単純泉に入りましょう。長時間お湯に浸かるのは禁物です。せっかくだからとふだんのように長湯することはおすすめしません。また浴場は足もとが滑りやすいので注意して。高温多湿のサウナは、赤ちゃんにとってよくない環境なので絶対NGです。
妊婦さんの場合、投薬、X線検査、内視鏡検査などに制約がありますので、病気にならないよう細心の注意を払うべきです。基本的には加熱してあるものを食べるようにしましょう。食中毒のリスクがある、お刺身やお寿司などの生ものは食べないで。またジビエなど普段口にしない食材も食中毒のリスクを考えて避けましょう。
妊娠中の旅の目的は観光ではなく、あくまでも気分転換。家事から離れて家族との時間をゆっくり過ごすことです。せっかくの旅行だからと、予定を詰め込んで観光スポットを回り過ぎるのはおすすめできません。安定期とはいえ妊娠前とは違う体です。動き過ぎ、食べ過ぎに気をつけて、常に体調最優先で行動するようにしてください。
今回教えてくれたのは、宗田聡先生(広尾レディース)
広尾レディース院長。日本産科婦人科学会認定医。医学博士、産業医。筑波大学卒業後、多くの総合病院で勤務し、タフツ大学(アメリカ)留学後に、現職。『31歳からの子宮の教科書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)『これからはじめる周産期メンタルヘルス』(南山堂)など著書多数。
【病院DATA】広尾レディース(恵比寿)
宗田先生が院長を務める広尾レディースは、ジャズが流れるカフェのような雰囲気に癒やされる、完全予約制の産婦人科クリニック。恵比寿の駅からすぐの好立地にあり、通いやすいのも嬉しい。
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ママになる前の貴重なくつろぎ旅を楽しんで
「赤ちゃんが生まれる前に、旦那さんと2人きりの旅行をゆっくり楽しみたい」と近年人気が高まっているマタニティ旅行。さまざまなリスクが伴う妊娠中の旅行だからこそ、慎重に旅行を計画してほしい・・・そんな想いからOZ編集部では、都心から行きやすい関東近郊の温泉宿&ホテルでママ目線の嬉しいポイントを約束したマタニティプランをラインナップ。とことんのんびりしたいなら温泉宿、非日常の滞在をかなえたいならホテルで、記念に残るくつろぎのマタニティ旅行をかなえよう。
WRITING/NORIKO MIZUMURA