旅したくなる、日曜プチお悩み相談室 Vol.014/たかのてるこさん【中編】
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日々の暮らしの中には悩みが尽きないもの。そんな日常がちょっぴり息苦しくなった時は、旅に出てみませんか? 旅好きのあの人が、あなたの悩みを解決して素敵な旅先や体験を提案していきます。今回は、“地球の広報”として世界中を駆け巡る旅人・エッセイストのたかのてるこさんが回答する第2弾!
更新日:2016/10/23
【Q お悩み >>>素直になれないんですが・・・(読者Aさん)】
【A お答え >>>ありのままの自分を好きになって、自分と仲良くしていきましょう(たかのさん)】
たかのさん「“素直になれない”という気持ちは、本当の自分を出したら嫌われるんじゃないか、という恐怖心からきているんだと思います。私も“一人旅”に出るまでは、相当あまのじゃくで小心者でしたが、性格なんていくらでも変えられることは、自分の体で実証済みです(笑)。性格だけでなく生活も仕事もそう。実は自分で “変えない!”という選択をし続けてるだけ。本当は他にも選択肢はたくさんあるのに、“自分には絶対無理!”って“呪い”をかけてるんです。悪気はなくても、親や世間は呪いをかけますから(笑)。旅に出ると、そこから解放されて、腹の底から自由になれるのが素晴らしい!
私自身、ずっと“自分が自分であること”に安心できず、人と自分を比べてばかりいて、いつも“今の自分”のままの延長でやって来る“未来”が怖かった。なので、ありのままの自分を受け入れて素直になりたいなら、海外一人旅に出るのがベスト! 一人旅は自分を好きになり、なんでも好意的に受け取れるようになる、最高のツールですから。
特に、今回発表した『純情ヨーロッパ<西欧&北欧編>』と『人情ヨーロッパ<中欧&東欧編>』の21カ国をめぐる旅のおかげで、自意識なんてブッ飛びました(笑)。最初は“私、英語できないし”と卑屈になってましたが、旅をしてるうちに、英語がペラペラだろうが全く通じなかろうが、毎日たどり着いた未知の国を生きることで精一杯。日常では、昨日の続きが今日、今日の続きが明日、と当たり前のように過ぎていきますが、生きるって本来の1日1日を生き延びることなんだなぁと。旅に出たおかげで、毎日“今、ここに生きる!”“一生、離れようがない、自分自身と仲良くする!”という最高の訓練ができました。
たとえば、東欧の人は超しかめっ面で無愛想なんですけど(笑)、困ってると必ず助けてくれて、本当はめっちゃ親切。彼らは必要のない愛想笑いをしないだけで、下町が舞台の人情ドラマに出てくる職人みたいな荒っぽい優しさなんです。
習慣や価値観の違う国を旅すると、たまたま生まれた場所と環境で、今のその人や自分ができあがったんだなと思えるし、みんなごはん食べてトイレ行って寝るを繰り返してる同じ人間だなぁって。人にどう思われるかよりも大事なのは、自分が自分をどう思うか。旅に出て、ありのままの自分を好きになり、自分と仲良くなってみてくださいね」
【Q お悩み >>>たかのさんが素直になれた場所はどこですか?(読者Aさん)】
【A お答え >>>“人生は、許し許されて”だと痛感したボスニア・ヘルツェゴビナです(たかのさん)】
「欧州21カ国旅では、1カ国につき1ミッションを自分に授けてました。自然大国のスイスではキャニオニング(体ひとつでの川下り)、温泉大国のハンガリーでは世界一広大な温泉湖に鳥や魚と一緒に浸かり、フランスではヌーディスト・ビーチの聖地で真っ裸に(笑)。
だけど東欧のボスニアではテーマが見つからなくて・・・。そんなとき、東西の文化が混在するモスタルという町で、世界遺産のスターリ・モストという美しい橋と出会ったんです。その橋から28m下に流れるネレトバ川に飛び込むのが町の伝統と聞き、次のミッションは“世界遺産からダイブ”、コレだと!
勇気を出してダイビング事務所の門を叩いたら、“最高時速85Kmも出るから素人がやると死ぬ!”と門前払い。そこで出会ったのが、師匠になってくれたデイビッド。彼の指導のもと、ダイビングの猛特訓をして、その後、朝の5時まで呑み笑い語り合ったんです。私には人生の中でどうしても許せない人が何人かいたんですけど、デイビッドの生い立ちや国の紛争に巻き込まれた話を聞き、自分の話をするうちに、心がみるみる溶けていって・・・。
怒りや憎しみを持ち続けている限り、自分自身を“憎しみの奴隷”にしてしまうし、自分自身が自由になれないんだと気づいたんです。相手のためというよりも、自分自身のためにも、今までのすべてを許そう、そしてこれからも、生きている限り許し続けようと思いました。読者の方が何人も“ボスニア編を読んで、人を許すことで、自分のことも許すことができました”と言ってくれたので、自分自身や誰かを、何かを許せないという人には、かなり効くんじゃないかと思います。無事飛び込めたかどうかも含めて、気になる方はぜひ読んでみてくださいね」
【今回の回答者】たかのてるこさん
♪ PROFILE
旅人・エッセイスト。「世界中の人と仲良くなれる!」と信じ、60カ国を駆ける旅人。大学在学中に海外ひとり旅に開眼。映画会社・東映のテレビプロデューサーを18年務め、2011年、東映の退社後は、ラブ&ピースな“地球の広報”として、執筆、テレビ、ラジオ、大学講師、講演などで活躍中。デビュー作の紀行エッセイ『ガンジス河でバタフライ』(幻冬舎)は、若者たちの“旅のバイブル”として15万部のベストセラー。『ダライ・ラマに恋して』『サハラ砂漠の王子さま』『モロッコで断食』(以上、幻冬舎文庫)、高野山でプチ修行したり、沖縄離島巡り旅を収録した『ど・スピリチュアル日本旅』(幻冬舎)など著書多数。
♪♪ INFORMATION
ヨーロッパ21カ国を2ヵ月間でめぐる15000キロの鉄道旅をつづった海外エッセイ『純情ヨーロッパ<西欧&北欧編>』と『人情ヨーロッパ<中欧&東欧編>』(ダイヤモンド社刊)。〈ヌーディスト・ビーチの聖地〉で真っ裸になり裸のつき合いを経て“真っ裸な心”をゲットしたり、イタリアで幸せに暮らす友と再会したり、下町が舞台のドラマに出てくるような人情深い人たちと出会い、呑み語り笑い合ううちに人生許し許されての境地に・・・。読むと生きるのが楽になる! 抱腹絶倒の爆笑ヒーリングエッセイをたっぷり収録。
◎トークイベント情報 *全て物販サイン握手会<ハグ付き(笑)>あり
・10/30(日)14時~「純情で人情のあるヨーロッパの魅力!」講演&スライド上映(江戸川区立 西葛西図書館)
・11/24(木)19時半〜「純情ヨーロッパ」&「人情ヨーロッパ」出版記念トークイベント&スライド上映(西荻窪・旅の本屋「のまど」)
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WRITING/MAKI FUNABASHI PHOTO/YUKO CHIBA