旅したくなる、日曜プチお悩み相談室 Vol.013/たかのてるこさん【前編】
【毎週日曜6:00更新】
日々の暮らしの中には悩みが尽きないもの。そんな日常がちょっぴり息苦しくなった時は、旅に出てみませんか? 旅好きのあの人が、あなたの悩みを解決して素敵な旅先や体験を提案していきます。今回は、“地球の広報”として世界中を駆け巡る〈旅人・エッセイスト〉のたかのてるこさんが回答する第1弾!
更新日:2016/10/16
【Q お悩み >>>毎日同じ顔触れ、同じことの繰り返し…。会社員生活が疲れちゃいました。(読者Sさん)】
【A お答え >>>自分らしく生きるのがいちばん。ぜひ自分を好きになれる場所へ!(たかのさん)】
たかのさん「会社員を18年していたので、その気持ちとてもわかります。鬱々とした気分になって会社を辞めたくなる度、私は自分のことが好きになれそうな場所へ旅立ってましたね。
旅先では、世界中のいろいろな価値観、文化に触れられるので、自分では短所だと思っていた“忘れっぽい”とか“集中力がない”といった欠点が、“自分には忘却能力がある”“好奇心旺盛なんだ”と長所に感じられるようになるんです(笑)。そして“自分はダメ人間だ・・・”から“私、結構やれるじゃん!”と思えるように。
人間には、“虫の目”と“鳥の目”と、2つの目が必要だと思います。日常にどっぷり浸かっていると、どうしても目の前の土しか見えない、虫の目になっちゃう。でも旅に出て日常からいったん離れることで俯瞰で自分を見つめ直せるから、今の自分、これからの自分、仕事も含め生き方を考えるきっかけに。普段とはまったく違う環境に身を置くことで、本当は選択肢がいっぱいあることにも気づけるはず。
それでも心が晴れないなら、給料やステータスにとらわれるのをやめて転職や退職という選択肢もありかと。
生きることは、毎日、1日1日を生き延びること。今日を生きて明日を生きることであって、未来のために今日を我慢することではないと思うんです。
今いる場所で自分のことが好きになれないなら、自分のことが好きになれる場所へ! 私の友達は、“彼氏いない歴”=“年齢”の恋愛日照り人生だったけど、会社を辞めて大好きなイタリアへ語学留学に行ってイタリア人と恋に落ちて結婚し、今でかわいい娘にも恵まれて幸せに暮らしてます。『あんた、整形せんでよかったな!』と言ったら『ほんま、危うくチャームポイントをなくすところやったわ~♪』と笑ってました(笑)。
私も会社員を辞めた今の方が、100億倍幸せです。いろんな国を旅して現地の人と仲良くなるという一番の喜びを、仕事にできるとは思いもしませんでしたが、今では大学講師として学生にも教えてますし、全国で講演もしてます。旅先でいろんな人と出会い、食べて呑んで笑い語らってきたことが、学問ジャンルでは文化人類学だったなんて(笑)。
“好きこそ物の上手なれ”という言葉もありますが、今の会社が、好きなことで生きられるようになるまでの“スポンサー”だと思ってみては? ぜひ、自分らしく生きて自分を好きになる人生を!
【Q お悩み >>>日常の疲れが吹っ飛ぶおすすめの旅先は?(読者Sさん)】
【A お答え >>>癒しの地、フランス・ルルドや、プチ修行ができる高野山にぜひ!(たかのさん)】
たかのさん「今月出版したエッセイ『純情ヨーロッパ<西欧&北欧編>』にも出てくる、フランスのルルドをおすすめしたいです。どんな人も包み込む優しい空気感が素晴らしいので、疲れている人にはぴったり!
ルルドは、フランスとスペインの国境、ピレネー山脈の麓にある小さな町なのですが、カトリック最大の聖地として有名なところ。車いすの人が立てるようになったり、病気を治したりと、たくさんの奇跡を起こす“ヒーリングスポット”として知られています。春から秋の間、毎晩ミサが行われていて、ロウソクを手に持った人たちが広場を行進して、“よりよき世界になりますように”とみんなで祈りを捧げます。その一体となった姿を見れば、心が洗われ、あまりの美しさに自然と涙が流れてくるほどで・・・。昼間は緑に満ちた美しいピレネー山脈も眺められるので、優しい空気の中を散歩するだけでも気持ちがやわらぎ、心身共に癒されると思います。
国内なら、高野山でプチ修行。瞑想したり写経したりすると、心のふんどしをきゅっと締め直せます。せっかく旅に出るなら、普段やらないようなことを積極的にやるといいと思います。煮詰まってたり、悩んでいるときは、自分自身が成長するチャンス。じつは私自身、ヨーロッパが大の苦手だったですが(笑)、あえて旅してみたおかげで、視野が広がって新しい発見がわんさかありましたから!」
【今回の回答者】たかのてるこさん
♪ PROFILE
旅人・エッセイスト。「世界中の人と仲良くなれる!」と信じ、60カ国を駆ける旅人。大学在学中に海外ひとり旅に開眼。映画会社・東映のテレビプロデューサーを18年務め、2011年、東映の退社後は、ラブ&ピースな“地球の広報”として、執筆、テレビ、ラジオ、大学講師、講演などで活躍中。デビュー作の紀行エッセイ『ガンジス河でバタフライ』(幻冬舎)は、若者たちの“旅のバイブル”として15万部のベストセラー。『ダライ・ラマに恋して』『サハラ砂漠の王子さま』『モロッコで断食』(以上、幻冬舎文庫)、高野山でプチ修行したり、沖縄離島巡り旅を収録した『ど・スピリチュアル日本旅』(幻冬舎)など著書多数。
♪♪ INFORMATION
ヨーロッパ21カ国を2ヵ月間でめぐる15000キロの鉄道旅をつづった海外エッセイ『純情ヨーロッパ<西欧&北欧編>』と『人情ヨーロッパ<中欧&東欧編>』(ダイヤモンド社刊)。〈ヌーディスト・ビーチの聖地〉で真っ裸になり裸のつき合いを経て“真っ裸な心”をゲットしたり、イタリアで幸せに暮らす友と再会したり、下町が舞台のドラマに出てくるような人情深い人たちと出会い、呑み語り笑い合ううちに人生ゆるしゆるされての境地に・・・。読むと生きるのが楽になる! 抱腹絶倒の爆笑ヒーリングエッセイをたっぷり収録。
◎トークイベント情報 *全て物販サイン握手会<ハグ付き(笑)>あり
・10/30(日)14時~「純情で人情のあるヨーロッパの魅力!」講演&スライド上映(江戸川区立 西葛西図書館)
・11/24(木)19時半〜「純情ヨーロッパ」&「人情ヨーロッパ」出版記念トークイベント&スライド上映(西荻窪・旅の本屋「のまど」)
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WRITING/MAKI FUNABASHI PHOTO/YUKO CHIBA