旅したくなる、日曜プチお悩み相談室 Vol.012/高橋久美子さん&南壽あさ子さん【後編】

旅したくなる、日曜プチお悩み相談室 Vol.012

【毎週日曜6:00更新】
日々の暮らしの中には悩みが尽きないもの。そんな日常がちょっぴり息苦しくなった時は、旅に出てみませんか? 旅好きのあの人が、あなたの悩みを解決して素敵な旅先や体験を提案していきます。今回は、作家・作詞家の高橋久美子さんと、アーティストの南壽あさ子さん、公私ともに仲よしのふたりが登場する最終回。

更新日:2016/10/09

旅したくなる、日曜プチお悩み相談室 Vol.012_01

高橋久美子さん(左)、南壽あさ子さん(右)

【Q お悩み >>> 第2の故郷を見つけたいのです(読者Hさん)】
【A お答え >>> 遠く離れていてもお互いを想えたら豊かになれますよ(高橋さん)/旅を重ねるうち第2の故郷と呼べる場所に!(南壽さん)】

高橋さん「故郷って、その土地に自分のことを待っていてくれている人がいるかどうかだと思うんです。さらに自分も“この人に会いたいなぁ”とふと頭の中に浮かんでくる人がいる。同じところにいなくても、離れていても、お互いにそう想い合えることが大事なんじゃないかな」

南壽さん「そうですね。最初は知らない土地でも、旅を重ねるごとに心を通わせて故郷になっていく。故郷は増やせるものなのかも」

高橋さん「自分が土地やそこで暮らす人とちゃんと向き合ったり、いろんなものの積み重ねでできるものなんだよね。だから簡単に手に入るものでもないし、無理に見つけようと思わなくてもいい。だけど自分が生まれ育った故郷のほかにも故郷があって、人を想ったり想われたりしているって考えるだけで、すごく豊かで温かい気持ちになれるんです」

南壽さん「前までは知らない場所が自分の故郷のように思えてくると、その土地でいいことがあったときには一緒になって喜び、大変なことが起こったときには本当に心配になる。第2の故郷で触れ合った人を想って普段の生活をするだけでも、自分の見えていた範囲が広がって、遠い土地も近くに感じることができると思います。そんなあたたかな気持ちになれる第2の故郷を大切にしていきたいし、その土地に帰った時に喜ばれる自分でありたいです」

旅したくなる、日曜プチお悩み相談室 Vol.012_02

高橋さんが上田に帰る必ず訪れるというお茶屋さん。抹茶ソフトと商店街を盛り上げる気さくなお兄さんがおすすめだそう

旅したくなる、日曜プチお悩み相談室 Vol.012_03

高橋さんたちの作品を今も大切に保存するホテルのおじさんとの1枚。いつも“おかえり”と迎えてくれるそう

旅したくなる、日曜プチお悩み相談室 Vol.012_04

「ヒトノユメ」を一緒に開催する画家の白井ゆみ枝さんと、そのご家族と高橋さん

【Q お悩み >>> ふたりの第2の故郷はどこ?(読者Hさん)】
【A お答え >>> 迎えてくれる人がいる東京&長野県上田市です(高橋さん)/心落ち着く空と、待ってくれる誰かの居る富山です(南壽さん)】

南壽さん「私は千葉県出身なので東京も近く、いわゆる時間をかけて帰る”田舎”や”ふるさと"はなかったんです。そんな中、デビューして最初のころに富山に行ったらとても魅力的で。お魚もおいしいですが、なんといっても空がお気に入り。いつもグレーがかっていて、すかっと晴れてはいなんです。それを見ていると心が落ち着いて、初めて来た土地なのにそんな気がしなかった。

それに、会う人会う人みんなが温かく迎え入れてくれたことも大きかったです。毎年フェスやイベントで行っていますが、やっぱり待っていてくれる人がいることがすごくうれしい。そういった感覚が味わえる大切な場所です」

高橋さん「帰る場所は、出身の愛媛と思って生きてきたんですけど、4、5年前から東京にも“帰る”っていう表現を使い始めたんです。旅から帰ってきて、最寄りの駅を見た瞬間にほっとしている自分がいて。だから私の第2の故郷は、東京なんでしょうね。生まれ育った故郷ではないんだけど、商店のおじさんとあいさつを交わしたり、近所のコーヒー屋さんと話し込んだり、いつも迎えてくれる人もいるので。

あとは、2013年に展覧会を開いた長野県上田市。最初はなかなか心を開いてくれなかったんですが、諦めずに商店街に何度も通っていって少しずつ距離が縮まって。上田市に帰って商店街を歩くと、“ただいま”という気持ちになります」

旅したくなる、日曜プチお悩み相談室 Vol.012_06

毎年、フェスやイベントで訪れる富山。花火大会の日、打ち上げ前に唄う南壽さん

旅したくなる、日曜プチお悩み相談室 Vol.012_05

富山は雪景色も美しく、冬の旅もおすすめだそう

旅したくなる、日曜プチお悩み相談室 Vol.012_06

フェス「BEATRAM MUSIC FESTIVAL」に向けて「ビートラム」というテーマソングを作成した南壽さん。プロモーション撮影の舞台となった路面電車で

【今回の回答者】高橋久美子さん&南壽あさ子さん

旅したくなる、日曜プチお悩み相談室 Vol.012_07

高橋久美子さん

♪ PROFILE
たかはしくみこ/愛媛県生まれ。鳴門教育大学在学中に、ロックバンド・チャットモンチーにドラム・作詞家として加入し、2005年にメジャーデビューを果たす。2011年のチャットモンチー脱退後は、作家や作詞家として活躍中。また、画家の白井ゆみ枝さんらと2009年に「ヒトノユメ」を発足し詩と絵の大規模な展覧会をこれまでに東京、徳島、愛媛、長野で開催。

♪♪ INFORMATION
平日13:00~17:00放送のラジオ番組『ごごラジ!』(NHKラジオ第1放送)に、金曜日のパーソナリティーとして出演中。コーナー「高橋久美子の旅をすみかとす」では、実体験の旅のエピソードやひとり旅の魅力を披露する。


南壽あさ子さん

♪ PROFILE
なすあさこ/千葉県生まれ。幼いときから歌うことに魅せられ、20歳で本格的に作曲活動をスタート。2012年に『フランネル』でインディーズデビュー。メジャーデビューを果たしたのち、「ひとつひとつていねいに唄い届けること」をモットーに、全47都道府県をまわるツアーを2度敢行する。7月にヤマハへ移籍、精力的に制作活動やライブを行っている。

♪♪ INFORMATION
9月28日にシングル『flora』をリリース。発売記念イベントは今後名古屋、静岡、千葉、博多、熊本、大分で開催。12月3日には東京・グローブ座でフリーコンサートが決定。雑誌OZmagazine TRIPにて「旅の手紙」を連載中。
衣装提供/sneeuw

WRITING/MAKI FUNABASHI  PHOTO/MIHO KAKUTA

※記事は2016年10月9日(日)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

TOP