関東 日帰り 出会い旅 Vol.010 /商店街を愛する人々に出会う旅(神奈川県横浜市神奈川区白楽)【後編】
【毎週土曜6:00更新】
ぬくもりを感じさせる個人商店の多い白楽駅前の商店街。今回の旅の案内役、古本店『tweed books』店主の細川さんと一緒にのんびり散歩しながら、後編では、おしゃれな細川さんイチオシという仲良しの古着屋さんに向かいました。
更新日:2016/09/17
■出向いた町/神奈川県横浜市神奈川区白楽
渋谷駅から東急東横線の各駅列車に乗ってわずか40分。ほぼ都心といってもいい白楽(はくらく)には、駅前の六角橋商店街をはじめとして、昔ながらの情緒を感じられる商店街がいくつもある。古い商店と仲見世、新しくできたお店や商店街イベント。古いものと新しいものが緩やかに繋がっている町である。
■会いに行った人/細川克己(ほそかわかつみ)さん
1975年生まれ横浜育ち。白楽で2014年12月より古本、さらに服好きが高じてファッション関連書をメインとした古本屋をはじめる。昨年7月に現店舗へ移転。それまでは新刊書店に5年、出版社に10年ほど勤める。「装うこと」「ファッション」「デザイン」「文学」「哲学」を中心に本の持つ多様性による面白さ、魅力を信じ、店頭での販売にこだわって力を注ぐ。
古着愛と笑顔が溢れる『古着屋FunnyFace』
細川さん:こちらが『古着屋Funny Face』さんです。
磯木:笑顔での出迎えがうれしいですね(笑)
細川さん:ここも前に白楽をブラブラしていた時にたまたま入ったお店だったんですが、おふたりがすごく気さくに話しかけてくれて、それからずっと仲良くさせてもらってます。
佐藤さん&merryさん:こんにちは、ようこそ~。
磯木:ここは2階建ての古着屋さんなんですね。なぜ白楽にお店を作ったんですか?
佐藤さん:元々以前から古着屋で働いていたのですが、そろそろどこかで自分たちのお店を開こうと探していたのが数年前。その時にたまたま白楽に来たら、ピン!ときて。
磯木:白楽はみんなをすぐに魅了してしまう町なんですね(笑)。1Fがメンズで2Fがレディース。商品の量も豊富ですね。
merryさん:毎日新入荷ということで新商品をお店に出してます。古着って、仕入れてきてすぐに販売ができなくて、ボタンが取れていたら似たボタンを探して縫い付けたり、メンテナンスして、商品として仕上げる作業があるんですよ。
磯木:へえ~。裏側ではそんなに丁寧な手間が掛けられていたんだ!知らなかった…。2階のレディースコーナーはまたちょっとテイストが違いますね。
merryさん:レディースは昭和レトロをテーマにしていて、古着をリメイクした洋服やアクセサリーも置いています。「着こなしの難易度が高そう」と言われることもありますけど、
どういう風に着たらいいか、ぜひ聞いてもらえたらうれしいです!
細川さん:それと、merryさんは自分でなんでも作ってしまうんですよね。ここにある羊毛フェルトのイヤリングや指輪とか、ハギレをリメイクしたヘアバンドもmerryさん作ですよ。
磯木:器用ですねえ。それにしてもおふたりともすっごく明るくって、こっちまで楽しくなっちゃいます。ご近所さんもお店には結構来ますか?
佐藤さん&merryさん:そうですね、インスタグラムやツイッター、facebookページにも情報をアップしているので、それを見て来てくれたりしますね。たまに差し入れに焼き鳥を頂いたり(笑)。ありがたいことです。
雑踏を離れ、落ち着きのある古本屋『Tweed Books』へ
磯木:細川さん、今日は一日ありがとうございました!最後に細川さんがやっている古本屋さん『Tweed Books』に伺ってもいいですか?
細川さん:もちろんです。では行きましょう。
磯木:商店街の外れまできましたね。のんびり歩くのにちょうどいい距離かも。このお店は始められて何年ですか?
細川さん:移転してから1年少々で、前のお店と合わせてもうすぐ2年です。
磯木:古本といっても、きれいに手入れされているのを感じます。コーナーごとに面白そうな本がたくさんあってわくわくしますね。全部見るのに時間がかかりそうです。かなり幅広そうですが、おもにどんなジャンルの本をセレクトしているんですか?
細川さん:服飾関連の本をメインに、デザイン、アート、文学、音楽、人文哲学などでしょうかね。本棚って自分自身を映すので、この節操のなさが恥ずかしいんですけどね(笑)
磯木:わかります。自分ちの本棚って、自分の頭の中を覗かれているような気もしてしまいますもんね(笑)。でも古本屋さんって、それをお店としてやっているってわけですよね。考えてみればすごく面白い商売に思えます。
細川さん:そうですね。やっぱり店主の趣向というのは絶対どこかに現れていると思いますし、そこが面白いところですよね。白楽には古本屋が4軒と、比較的多いのですが、お客さんにもそれぞれの店の特徴を楽しみながら町を歩いて欲しいですね。
【旅を終えて】
地元の人にとっては何気ないいつもの商店街でも、よそから来る旅人には新鮮に映る。白楽には誰でもウェルカムな空気感があった。古い町でありながらも程よく都会という立地だからと思われるが、この心地よさが今回お会いした人たちをはじめとした新たな個人店を増やし、ますます気さくな商店街の魅力を増している。
古本屋は「散歩できる町」にできる。気軽にブラリとするだけで楽しめる町にも価値があるし、そんな肩の力の抜けた出会い旅は、ものすごくアリだと思います。
■今回訪れた場所/人
・『古着屋FunnyFace』
老若男女楽しめる「おもしろい!」「質がいい!」をモットーにした古着屋。メンズ・レディース、リメイク古着などを販売。
045-413-1281
横浜市神奈川区六角橋2-1-18
平日12:00~20:00
土日祝日11:00~20:00
木曜または金曜の隔週定休
・『Tweed Books』
スタイル・ファッションといった装うことにまつわる本・暮らし・デザイン・美術・音楽に関する本、そして国内外文学などを取り扱う古本屋。ギャラリーやイベントも随時開催。古本の買取も歓迎。
神奈川県横浜市港北区篠原町4-6 サージュ白楽107
11:00~19:00
月曜定休
■著者/磯木淳寛(いそき あつひろ)さん
食と地域を耕す編集者/プランニングディレクター
自然と共生する価値観と地域の可能性をテーマに雑誌媒体などに取材・執筆・企画。2013年から現場に身を投じるべく、海と里山のある千葉県いすみ市に在住。地域の営みを観察し未来をつくる書き手を増やすための合宿型ライター・イン・レジデンス「ローカルライト-地域の物語を編む4日間」を主宰し、全国で開催。石巻復興まちづくり情報交流館コンテンツ編集デスク。季刊自然栽培「見えないものを見る」連載中。近刊予定として『「小商い」で自由にくらす~房総いすみのDIYな働き方』(2016年初秋発刊予定)。