つながる旅のキーワード vol.009 コーヒーの聖地・鳥取
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人気のスポットやグルメ、体験など、気になる旅のキーワードをピックアップ。そのキーワードを紐解いていくと、その土地のなにかと、誰かと縁をつなぐきっかけになるかも。今回は旅ライター・Yが、なにかとコーヒーの話題でざわつく鳥取へ。
更新日:2016/08/29
話題の鳥取コーヒー文化を探る旅へ
「スタバはなくともスナバはある」という知事のダジャレが話題を呼んだ鳥取県。その後、地元企業が「すなば珈琲」をオープンし、今年5月、とうとう47都道府県の中で最後の県としてスターバックスが出店。
総務省の家計調査で、鳥取市の1世帯あたりのコーヒー消費量が全国2位になるほど、コーヒー好きな県民らしい。そんな鳥取県。いったいどんなコーヒー文化が根付いているのだろう? そんな疑問を持ち、さっそく現地へ。
「すなば珈琲」は、まだ行列していた!
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2014年に鳥取駅前にオープンした「すなば珈琲」は、テレビやネットニュースで取り上げられたことで全国的に有名になった店。8月の平日、朝8時半頃、このとおり、すでに行列が・・・。夏休み期間ということもあって、子連れ客やカップル、老夫婦と客層はさまざま。全国から観光として訪れる客もまだ多い。
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店内には、スタンダードなトーストセットのほかに「朝がゆセット」や「おにぎりセット」なる和食メニューも。店長の森本さんに聞いてみると「ご近所のお年寄りの方もよくいらっしゃるので、和食もご用意。大変喜ばれています」とのこと。それならば・・・と私も「朝がゆセット」を注文。サイフォン式で淹れたブレンドコーヒー(L)486円を頼むと、無料でおかゆと6種類の薬味が付き、さらに揚げたての豆乳ドーナツまで付いている。安い! 地元で海鮮料理屋も営む会社が経営とのことで、和食がおいしいのもうなずける。
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すなば珈琲 駅前店
TEL.0857-27-4649
鳥取県鳥取市永楽温泉町152
営業/8:00~20:00 不定休
ドライブスルー型、オーストラリア発の「Muzz Buzz(マズバズ)」
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オーストラリアやニュージーランドで80店舗以上展開をするドライブスルー型コーヒーチェーン「Muzz Buzz(マズバズ)」。オーストラリアは、大手チェーンが撤退してしまうほど、コーヒー文化が根付いている土地柄で知られている中、人気をキープしている。
今回取材させていただいた「Muzz Buzz鳥取ファーマーズガーデン店」は、国道53号線沿いの店舗。「Muzz Buzz」では、ワールドバリスタチャンピオンシップの認定審査委員長を務めたこともある、Justin Metcalf氏の会社が世界最高水準のコーヒー焙煎技術を提供。
「当店の豆はオーストラリアから空輸で運ぶので、鮮度も抜群なんです! 世界三大生産地で育ったアラビカ種のコーヒー豆をブレンドして、挽き立てで淹れてお客様に提供しています」と、バリスタで店長の吉良(きら)さんは胸を張る。
クイックオーダーのドライブスルー店とは思えないほどの、薫り高いコーヒーが、店内から漂ってくる。ホットコーヒーのサイズ展開はSHORT・TALL・GRANDE・RBOの4種類。鳥取県は車社会。若い人からお年寄りまで、さまざまな人がマイカーで来店していた。
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マズバズラテ(TALL)380円
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ワッフルやホットドックのような軽食メニューも。ソーセージシズル480円
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Muzz Buzz鳥取ファーマーズガーデン店
TEL.0857-50-1139
鳥取県鳥取市吉成731-1
営業/11:00~21:00 無休
古い街並みに佇むオシャレカフェ「drop(ドロップ)」
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かつて、鳥取城の城下町だった古い街並みが続く川端通り(鳥取市)。近年、全国各地でリノベーションした店が増えているが、「patisserie & cafe drop (パティスリーアンドカフェ ドロップ)」はその先駆け的存在。2003年、米屋だった2階建ての建物を改装してオープン。オーナーが丹精込めて作り上げる品のある焼き菓子や生ケーキと、エスプレッソベースのコーヒーを提供している。過剰に主張しない、ちょっとレトロでかわいらしいインテリアに心も和む。
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エスプレッソシングル320円、タルトフレーズ350円
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patisserie & cafe drop
TEL.0857-29-1506
鳥取市川端1-118
営業/11:00~21:00(20:30LO)水曜休
老舗珈琲店「阿部珈琲」
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鳥取のコーヒー文化について、各お店のスタッフやタクシーの運転手に聞いてみると、「人口が少ない割に喫茶店が多いからそう見えるのでは?」という答えが多い。正直なところ、実際に暮らしている人たちは、自分たちのコーヒー消費量について実感がない様子。
最後に伺うのは、昭和35年創業の自家焙煎、老舗珈琲店「阿部珈琲」。もしかしたらここでヒントが見つかるかも・・・。
「明治時代はタバコ販売をしていて、タバコが専売公社の時代になったことで、コーヒー豆の自家焙煎と販売をはじめたんですよ」と説明する初代の阿部一晴さん。
鳥取のコーヒー文化について伺ってみると、「昭和27年の『鳥取大火』のときに、米軍から救援物資として食材と一緒に入ってきたのが砂糖とミルク付きのインスタントコーヒー。生まれて初めて飲んだ不思議な茶色い飲み物。とてもおいしく感じたことを覚えています。そういったことが、今の鳥取のコーヒー文化のベースになっているのでは?」とのこと。
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店内には、スペシャルティコーヒーなど15種類ほどの豆が並ぶ。現在、10kgの直火式ロースターで焙煎するのは二代目の高志さん。「鳥取では、深煎りの豆が好まれる傾向にある」と話してくれた。
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阿部珈琲
TEL.0857-22-2998
鳥取県鳥取市川端2-109
営業/8:30~18:30 日曜休
鳥取県民のコーヒー好きの理由は、知事も「分からない」と言っているくらいなので、明確なことは不明。
でも外食先の和食にもコーヒー、ドライブしながらコーヒー、家でもコーヒー・・・ということで、確かにコーヒー好きな県民ということが分かった。
まか不思議な鳥取県。一度訪れて新たな文化を発見してみては?
鳥取へのフライト+宿泊は、ANAの「旅作」が便利
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羽田空港から「鳥取砂丘コナン空港」の愛称で親しまれている鳥取空港までは、約1時間15分。鳥取空港から鳥取駅までは連絡バスで約20分。旅の予約は、航空券+宿泊、レンタカー等のオプションも含めて自由に旅を組み立てられるANAの「旅作」がお得で便利。PCやスマホで24時間検索&予約ができて、とび泊や周遊などもOK。今なら、期間限定の「旅作」で使えるおトクなクーポンを先着順に配布中。
WRITING・PHOTO/AKIKO YOSHIDA