【島根県・隠岐諸島】ダイナミックな自然に包まれる4島を船で!春の隠岐・島めぐりの旅

【島根県・隠岐諸島】ダイナミックな自然に包まれる4島を船で!春の隠岐・島めぐりの旅

更新日:2025/03/24

日々取材やロケハンに出かけ各地を飛び回るOZ編集部が体験してきた、日本47都道府県のローカル旅をご案内。離島好きとしてはずっと行きたかった憧れの隠岐諸島。隠岐へ向かうフェリーが発着する島根の松江や鳥取の境港は何回も訪れているのにもかかわらず長年機会に恵まれず。今回念願かなって訪れた隠岐の魅力をレポートします。春の旅にもおすすめです!

隠岐とは?

島根・鳥取の県境から北方約60kmに位置し、約180の島と4つの有人島からなる隠岐諸島。国内に10あるユネスコ世界ジオパーク認定地域のうちのひとつ。2013年に認定され、カルデラや巨大な岩壁などからみられる太古から続く大地の変化、独自の生態系、人の営み・文化などに注目が集まりました。

600万年前の隠岐諸島の創生の記憶が収められた地形や地層は、悠久なる時を経て作り上げられた自然美。そんな絶景が諸島のあちこちに。そして「神々の島」ともいわれ、100社を超える神社があり、後鳥羽上皇をはじめ貴族などの島流しの地であり、それらが影響を与えた島の文化もとても興味深いのです。旅のお楽しみであるおいしい海鮮・隠岐牛などのグルメも存分に楽しめるのが隠岐です!

それぞれに魅力のある4島を船でめぐる

隠岐諸島の有人島は4つあり、いちばん大きい島・島後(どうご)と、3島からなる島前(どうぜん)と呼ばれる2地域にわけられます。

島前と島後の移動は、フェリーまたは高速船で、西ノ島(にしのしま)、中ノ島(なかのしま)、知夫里島(ちぶりじま)からなる島前の3島間の移動は内航船と呼ばれる船で。私たちの電車やバス代わりに船が地元の人々の足となっています。

暮らしの中に海があり、島移動は”船”がこの島の日常なのです。今回の隠岐旅の際も、もちろん移動は船! 遊覧船なども含めて2泊3日の旅で合計6回も船にのってみると、移動もすばらしい観光のひとつで、なかなか楽しい体験となりました。隠岐ではぜひ、地元の人のように船にのって島めぐりを楽しんでみては?

このあとは今回訪れた4島のおすすめ観光スポットをレポートします。

船にのって、隠岐諸島4島めぐりの旅レポート

【1島目】島後:隠岐の島町

参道を登り切ると、樹高38m、根元の周囲約20mという巨大な八百杉の奥に玉若酢命神社が見えてくる

玉若酢命神社

隠岐諸島の中でいちばん大きな島で、隠岐空港があるのが島後。神々が住む島とも呼ばれる隠岐には100社を超える神社がありますが、総社と呼ばれる 「玉若酢命神社」は訪ねてみたい場所のひとつ。

寛政5年(1793年)造営という本殿は、隠岐の島町にある神社の中で最古。平安時代にまとめられた神社の一覧表「延喜神名帳」にも掲載されている格式のある神社です。大社造り、春日造り、神明造の良いところを取り入れた隠岐造りという建築様式も見どころです。

玉若酢命神社(たまわかすのみことじんじゃ)

島根県隠岐郡隠岐の島町下西701
アクセス:西郷港よりバス6分

日本の滝百選、全国名水百選にも選ばれている壇鏡の滝

壇鏡の滝

鬱蒼とした杉並木の参道を抜けると、「壇鏡の滝(だんぎょうのたき)」が目に入ってきます。岩の中に配された社殿が珍しい「壇鏡神社」の両側40mの高さから落ちる滝は神秘的。神社の横からも滝を見ることができ、飛沫のミストと濃厚な森の香りに包まれて心身がすっと癒されるパワースポットです。

壇鏡の滝(だんぎょうのたき)

島根県隠岐郡隠岐の島町那久
アクセス:西郷港より車で約60分

その日の仕入れによって具材が異なる海鮮丼「味乃蔵丼」2200円。プリプリの刺身に大満足

味乃蔵

昼食は隠岐グルメの代表格・海鮮料理をいただきます。海沿いに立つ「味乃蔵」で旬の魚介が惜しみなくのった海鮮丼を。この日はブリ、カツオ、タイ、イサキ、白バイ貝、イクラの6種。天然物を中心に、魚種によっては1週間ほど熟成させてうまみを引き出して提供するこだわりがおいしさの秘密とか。

味乃蔵(あじのくら)

隠岐郡隠岐の島町西町八尾の一16
西郷港より徒歩5分

【2島目】島前 中ノ島 海士町

Entô Annex NEST(別館)の「NEST 2」。目の前にジオパークが広がるセミダブルベッドが2台、海を眺めるシャワーブースも

Entô

夕方に島後から島前の中ノ島に向かう船中は、大小の島々が浮かぶ多島美を楽しみながら。菱浦港(ひしうらこう)に近づくと右手に今回の宿泊先である「Entô(エントウ)」が見えてきます。ジオパーク内に宿泊するだいご味が存分に味わえるとあって、一度は泊まってみたかった宿に待感が高まります。Entôは、隠岐の島の自然や文化を知るためのジオパークの拠点施設のひとつ。そして泊まれるジオホテルでもあり、島で暮らす人と訪れる人が交わる場所。

圧巻は客室でした。部屋に入ると一面のガラス窓の先には海と島が望め、部屋とジオパークがひと続きのような感覚に。朝はベッドで目をあければ、目の前に大自然。まさに目覚めから寝入るまで自然に抱かれて過ごせるのは、ジオパークに泊まるだいご味でしょう。

窓辺には椅子とテーブルがある。コーヒー片手に、なにもしない贅沢な時間を過ごしたい

木の温もりある客室にはテレビも設置されておらず、静寂が心地いい。窓辺の椅子に座って、コーヒーを飲みながら、目の前の海に浮かぶ船をのんびり眺める、そんなゆったりとした贅沢な時間が過ごせます。

お部屋に置かれていたコーヒーとおやつは海士町ゆかりのもの。コーヒーロースタリー「KAOCOI COFFEE」と、海士町ゆかりの隠岐民謡にちなんだ「キンニャモニャまんじゅう」と「隠岐の塩キャラメル」を味わいました。

(上)いま滞在しているジオパークについて知ることができる「Geo Room“Discover”」(下)滞在中いつでも利用できる「ジオラウンジ」

ジオパークのことが学べる展示室 「Geo Room“Discover”」も併設。滞在中好きな時に訪れて地球と隠岐の成り立ちや島前3島の魅力などが学べます。白を基調にしたミニマルな雰囲気の展示室には、年表や海洋生物などオブジェとともに島ごとの展示があり、20~30分ほどの滞在で直観的に知識を得られるのがいいですね。

一面の窓からジオスケープを眺め、展示されている恐竜などの古生物の化石を見てのんびりできる「ジオラウンジ」、海士町中央図書館の島まるごと図書館の分館である「ライブラリー」の本も滞在を充実させてくれました。

「Entô Dining」では、隠岐の岩牡蠣やサザエ、隠岐牛など地元の山海の幸がテーブルを彩ります。岩牡蠣には梅酢のジュレやクリームチーズを添えたアレンジが新鮮。ドリンクには隠岐酒造の日本酒や自家製梅酒も

食事は2階にある「Entô Dining」で。料理には、レストランのスタッフが地元の生産者とつながり、自分たちがおいしいと思った魚や肉、野菜や果物、スタッフ自ら採集する海藻や香草、調味料まで島食材をふんだんに使用。

例えば、夕食で料理に添えられていた調味料のひとつ「こじょうゆ味噌」は、もともと地元の各家庭でつくられていたものだそう。味わいも独特で、今も島のおかあさんたちが3カ月かけて作っていると聞いて、よりおいしく。お土産としても購入してしまいました。

内海ならではの穏やかな海を望む「Entô Dining」。朝食はゲストのみので夕食は宿泊していなくても受付可能

隠岐を知ってもらいたいというスタッフたちが考案する料理それぞれに、生産者とのストーリーや島の食文化などがぎっしり。

その土地の景色や、島食材を使った料理の背景までもがごちそうになる、ここだけの料理が味わえるのは隠岐を知る上でとても貴重な体験でした。

(上)Entôの敷地内には海沿いに遊歩道もあり、海をのぞいてみると魚が泳ぐ姿も (下)客室のバルコニーからは徒歩5分ほどの菱浦港もみられ、行き交う船を眺めるのも楽しい

「Entô」は隠岐とジオパークを知って、体験できる素敵な宿でした。

滞在前後は「隠岐神社」や、菱浦港にある観光案内所、レストラン、売店などが揃う「キンニャモニャセンター」をぶらぶら散策。→崎みかんジャムやふくぎの飴などのお土産を手に入れて大満足。「キンニャモニャセンター」にはレンタサイクルもあって、今回は断念したのですが時間があればサイクリングも楽しそうです。

Entô(えんとう)

島根県隠岐郡海士町福井1375−1
アクセス:菱浦港より徒歩3分

【3島目】島前 知夫里島

「赤ハゲ山展望台」付近は牛の放牧地にもなっていて、牧草が生えている時期は牛の姿も見られます

赤ハゲ山展望台

面積では東京都の墨田区とほぼ同じという知夫里島は、人口約600人、周囲27kmの島前でいちばん小さな島。コンビニも信号機もない、人より牛の方が多い、牧歌的な雰囲気が魅力です。

まず向かったのは、隠岐諸島の大パノラマで地球の壮大さを体感できるスポット「赤ハゲ山展望台」。放牧されている牛を探しながらのんびり車で向かいます。標高325mの山頂にある展望台からは、さえぎるものが無い360度の大パノラマの絶景が望めます。隠岐4島をはじめ、鳥取の大山や島根半島まで見晴らせるだけでなく、火山性の陥没地形の島前カルデラに海水が入りこんで内海を形成するカルデラ湾は必見です。

赤ハゲ山展望台(あかはげやまてんぼうだい)

島根県隠岐郡知夫村
アクセス:来居港より徒歩1時間または車で20分

迫力のある姿をみせる「赤壁」。縦に走る白灰色の岩石は、かつて火口で噴き出すマグマが上がってくる火道がみられる

赤壁

約630万年前の噴火で生まれた隠岐諸島、その創世記の噴火活動の様子が観察できる場所。火山の噴火跡の断面がむき出しになり、溶岩から変化した赤褐色の赤壁は、シャッターを何度も切ってしまうほど、目に鮮やかで美しい。西ノ島へ移動する際に、夕景が映えた赤壁の写真を見て、今度は夕方を狙って再訪したいと思いました。

赤壁(せきへき)

島根県隠岐郡知夫村
アクセス:来居港より車で約20分

【4島目】島前 西ノ島

国賀海岸の奇岩エリアをめぐる「国賀めぐり定期観光船」。波の浸食によってできたアーチ状の奇岩、通天橋、観音岩などの奇岩を堪能できる1時間30分(Aコース大人4000円、小人2000円)

国賀めぐり定期観光船

4島目は西ノ島。島前の3島の中で最大の島で、国賀海岸の奇岩、摩天崖の絶壁など、地球の躍動を体感できる場所。いちばんの見どころは国賀海岸。ここで見られるのは約630万年前の火山活動と日本海の波風による侵食作用で生み出された奇岩や洞窟。そして玄武岩の溶岩の層が何層にも重なり縞模様を描いた地層。まるでアートのような美しさに感動しっぱなしです。

海から「国賀めぐり定期観光船」で、陸では摩天崖遊歩道を歩いて、のんびり壮大な自然の中に没入して過ごせます。絶景の連続でカメラを片時も手離せません。

国賀めぐり定期観光船

[浦郷港]観光船乗り場
島根県隠岐郡西ノ島町浦郷544
アクセス:別府港より車で約10分

摩天崖

波の浸食によって形成された崖の中では日本有数の高さを誇る、海抜257mの大絶壁「摩天崖」。約7kmにもわたって粗面玄武岩の海蝕崖や海蝕洞が続くダイナミックな景色は一度は見てみたい絶景です。初めての隠岐旅ならここは絶対にはずせません。 

摩天崖遊歩道摩天崖から通天橋までの60~90分かけて歩けます

時間があったら摩天崖から通天橋までの遊歩道散策もぜひ。このあたりは放牧場になっていて牛や馬が草を食む姿もみられる島の原風景が残っていて、気分も爽快。

コバルトブルーの海に架けられた岩のアーチが美しい「通天橋」

この日は時間に余裕があまりなく、かなりの急ぎ足でしたが同行者全員が、無理しても歩いてよかった!というぐらいお気に入りの場所に。最終ゴールには国賀海岸の名所「通天橋」もあって、日本海の海食作用が作り出した自然の岩のアーチに目を奪われました。

摩天崖(まてんがい)

島根県隠岐郡西ノ島町浦郷
アクセス:別府港より車で約25分

目の前は隠岐シーサイドホテル鶴丸のマリーナ。クルージング用のクルーザーなどが停泊しています

隠岐シーサイドホテル鶴丸

西ノ島での宿泊は、美田湾にたつ宿「隠岐シーサイドホテル鶴丸」。海が眺められられる客室やレストラン、岩ガキや刺身など魚介がおいしい料理、そしてクルーズまで、海にどっぷり浸かった滞在が叶います。

今回、いちばんのお楽しみは「ナイトクルージング」。真っ暗な海の中で青白く発光する、海ほたるともよばれる夜光虫を見に行くツアー。天候が悪いとみられないこともあるそうですが、幸運に恵まれて遭遇できたその風景は、幻想的で夢の中にいるかのようでした。


ご自慢の魚料理のほか、地元漁師の賄い飯だったというえり焼きなど郷土料理が並ぶ島の会席

ご自慢の料理は、オーナーや息子さんが獲った魚を出すこともあるという新鮮な魚介が中心。この日はヒラマサ、マルゴ(ブリ)、ヒオウギカイ、サザエ、コブダイを盛り合わせたお造り、真鯛のカルパッチョ、3年ものという大きな岩牡蠣など新鮮な魚介料理を満喫できました。なかでも刺身は新鮮でプリプリの歯ごたえが最高においしかった。

夕食と朝食会場となる食事処「海遊園」。海に面したテラスもあって、開放感たっぷり 


朝食と夕食会場となる食事処「海遊園」をはじめ、客室からも海を眺められてバカンス気分が盛り上がります。施設内はオーナー作の意匠がそこかしこにあって親戚の家に滞在しているようなアットホームな雰囲気が、島ののんびりした風景と時間と相まって、心からリラックスできました。

シーサイドホテル鶴丸

島根県隠岐郡西ノ島町美田 771-1
アクセス:別府港よりバスで約10分

西ノ島の別府港。隠岐は『ゲゲゲの鬼太郎』の水木しげる氏のルーツといわれ、水木氏が何度も訪れている場所で、ここには「焼火権現(たくひごんげん)」像も

旅の終わりに

隠岐の4島めぐりの締めくくりは、西ノ島の別府港から鳥取の境港までフェリーの旅。フェリーターミナルで出航までの待ち時間、ターミナル周辺をぶらり。隠岐らしいコバルトブルーの海、島影を見つめながら旅を振り返ります。

いろいろな旅をしてきて、町や人の歴史などを追うことは多くても、地球の歴史を追うこと・考えること・想像することができる場所を訪れたのは初めてでした。自然や大地のダイナミックさを前にすると無の境地にも。絶景・美食に感動するとともに、自分を見つめなおせるよい旅だったなと思いました。友人や家族と感動を分かち合うのもいいし、ひとり旅で自然と自分に向き合うのにもおすすめの島旅です!

隠岐の観光のトリセツ

旅マエにお役立ち!はじめての隠岐旅ならここをチェック

隠岐への観光がはじめての方に役立つ情報をお届けする「隠岐の観光のトリセツ」。各島の観光スポットや体験からアクセス、自然を守るためのマナーまで、知っておきたい隠岐のあれこれがチェックできます。
隠岐までのアクセス
〈飛行機〉
羽田空港より隠岐空港まで約3時間35分
伊丹空港より隠岐空港まで約50分
〈船〉
七類港(島根県)・境港(鳥取県)より高速船で約1時間、フェリーで約2時間半
詳細は隠岐汽船HPをご確認ください
ホームページ
「隠岐の観光のトリセツ」HP
※記事は2025年3月24日(月)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります