
日々取材やロケハンに出かけ各地を飛び回るOZ編集部が体験してきた、日本47都道府県のローカル旅をご案内。離島好きとしてはずっと行きたかった憧れの隠岐諸島。隠岐へ向かうフェリーが発着する島根の松江や鳥取の境港は何回も訪れているのにもかかわらず長年機会に恵まれず。今回念願かなって訪れた隠岐の魅力をレポートします。春の旅にもおすすめです!
隠岐とは?
島根・鳥取の県境から北方約60kmに位置し、約180の島と4つの有人島からなる隠岐諸島。国内に10あるユネスコ世界ジオパーク認定地域のうちのひとつ。2013年に認定され、カルデラや巨大な岩壁などからみられる太古から続く大地の変化、独自の生態系、人の営み・文化などに注目が集まりました。
600万年前の隠岐諸島の創生の記憶が収められた地形や地層は、悠久なる時を経て作り上げられた自然美。そんな絶景が諸島のあちこちに。そして「神々の島」ともいわれ、100社を超える神社があり、後鳥羽上皇をはじめ貴族などの島流しの地であり、それらが影響を与えた島の文化もとても興味深いのです。旅のお楽しみであるおいしい海鮮・隠岐牛などのグルメも存分に楽しめるのが隠岐です!
それぞれに魅力のある4島を船でめぐる
隠岐諸島の有人島は4つあり、いちばん大きい島・島後(どうご)と、3島からなる島前(どうぜん)と呼ばれる2地域にわけられます。
島前と島後の移動は、フェリーまたは高速船で、西ノ島(にしのしま)、中ノ島(なかのしま)、知夫里島(ちぶりじま)からなる島前の3島間の移動は内航船と呼ばれる船で。私たちの電車やバス代わりに船が地元の人々の足となっています。
暮らしの中に海があり、島移動は”船”がこの島の日常なのです。今回の隠岐旅の際も、もちろん移動は船! 遊覧船なども含めて2泊3日の旅で合計6回も船にのってみると、移動もすばらしい観光のひとつで、なかなか楽しい体験となりました。隠岐ではぜひ、地元の人のように船にのって島めぐりを楽しんでみては?
このあとは今回訪れた4島のおすすめ観光スポットをレポートします。
船にのって、隠岐諸島4島めぐりの旅レポート
【1島目】島後:隠岐の島町
玉若酢命神社
隠岐諸島の中でいちばん大きな島で、隠岐空港があるのが島後。神々が住む島とも呼ばれる隠岐には100社を超える神社がありますが、総社と呼ばれる 「玉若酢命神社」は訪ねてみたい場所のひとつ。
寛政5年(1793年)造営という本殿は、隠岐の島町にある神社の中で最古。平安時代にまとめられた神社の一覧表「延喜神名帳」にも掲載されている格式のある神社です。大社造り、春日造り、神明造の良いところを取り入れた隠岐造りという建築様式も見どころです。
玉若酢命神社(たまわかすのみことじんじゃ)
島根県隠岐郡隠岐の島町下西701
アクセス:西郷港よりバス6分
味乃蔵
昼食は隠岐グルメの代表格・海鮮料理をいただきます。海沿いに立つ「味乃蔵」で旬の魚介が惜しみなくのった海鮮丼を。この日はブリ、カツオ、タイ、イサキ、白バイ貝、イクラの6種。天然物を中心に、魚種によっては1週間ほど熟成させてうまみを引き出して提供するこだわりがおいしさの秘密とか。
【2島目】島前 中ノ島 海士町
Entô
夕方に島後から島前の中ノ島に向かう船中は、大小の島々が浮かぶ多島美を楽しみながら。菱浦港(ひしうらこう)に近づくと右手に今回の宿泊先である「Entô(エントウ)」が見えてきます。ジオパーク内に宿泊するだいご味が存分に味わえるとあって、一度は泊まってみたかった宿に待感が高まります。Entôは、隠岐の島の自然や文化を知るためのジオパークの拠点施設のひとつ。そして泊まれるジオホテルでもあり、島で暮らす人と訪れる人が交わる場所。
圧巻は客室でした。部屋に入ると一面のガラス窓の先には海と島が望め、部屋とジオパークがひと続きのような感覚に。朝はベッドで目をあければ、目の前に大自然。まさに目覚めから寝入るまで自然に抱かれて過ごせるのは、ジオパークに泊まるだいご味でしょう。
ジオパークのことが学べる展示室 「Geo Room“Discover”」も併設。滞在中好きな時に訪れて地球と隠岐の成り立ちや島前3島の魅力などが学べます。白を基調にしたミニマルな雰囲気の展示室には、年表や海洋生物などオブジェとともに島ごとの展示があり、20~30分ほどの滞在で直観的に知識を得られるのがいいですね。
一面の窓からジオスケープを眺め、展示されている恐竜などの古生物の化石を見てのんびりできる「ジオラウンジ」、海士町中央図書館の島まるごと図書館の分館である「ライブラリー」の本も滞在を充実させてくれました。
食事は2階にある「Entô Dining」で。料理には、レストランのスタッフが地元の生産者とつながり、自分たちがおいしいと思った魚や肉、野菜や果物、スタッフ自ら採集する海藻や香草、調味料まで島食材をふんだんに使用。
例えば、夕食で料理に添えられていた調味料のひとつ「こじょうゆ味噌」は、もともと地元の各家庭でつくられていたものだそう。味わいも独特で、今も島のおかあさんたちが3カ月かけて作っていると聞いて、よりおいしく。お土産としても購入してしまいました。
「Entô」は隠岐とジオパークを知って、体験できる素敵な宿でした。
滞在前後は「隠岐神社」や、菱浦港にある観光案内所、レストラン、売店などが揃う「キンニャモニャセンター」をぶらぶら散策。→崎みかんジャムやふくぎの飴などのお土産を手に入れて大満足。「キンニャモニャセンター」にはレンタサイクルもあって、今回は断念したのですが時間があればサイクリングも楽しそうです。
【3島目】島前 知夫里島
赤ハゲ山展望台
面積では東京都の墨田区とほぼ同じという知夫里島は、人口約600人、周囲27kmの島前でいちばん小さな島。コンビニも信号機もない、人より牛の方が多い、牧歌的な雰囲気が魅力です。
まず向かったのは、隠岐諸島の大パノラマで地球の壮大さを体感できるスポット「赤ハゲ山展望台」。放牧されている牛を探しながらのんびり車で向かいます。標高325mの山頂にある展望台からは、さえぎるものが無い360度の大パノラマの絶景が望めます。隠岐4島をはじめ、鳥取の大山や島根半島まで見晴らせるだけでなく、火山性の陥没地形の島前カルデラに海水が入りこんで内海を形成するカルデラ湾は必見です。
赤壁
約630万年前の噴火で生まれた隠岐諸島、その創世記の噴火活動の様子が観察できる場所。火山の噴火跡の断面がむき出しになり、溶岩から変化した赤褐色の赤壁は、シャッターを何度も切ってしまうほど、目に鮮やかで美しい。西ノ島へ移動する際に、夕景が映えた赤壁の写真を見て、今度は夕方を狙って再訪したいと思いました。
【4島目】島前 西ノ島
国賀めぐり定期観光船
4島目は西ノ島。島前の3島の中で最大の島で、国賀海岸の奇岩、摩天崖の絶壁など、地球の躍動を体感できる場所。いちばんの見どころは国賀海岸。ここで見られるのは約630万年前の火山活動と日本海の波風による侵食作用で生み出された奇岩や洞窟。そして玄武岩の溶岩の層が何層にも重なり縞模様を描いた地層。まるでアートのような美しさに感動しっぱなしです。
海から「国賀めぐり定期観光船」で、陸では摩天崖遊歩道を歩いて、のんびり壮大な自然の中に没入して過ごせます。絶景の連続でカメラを片時も手離せません。
この日は時間に余裕があまりなく、かなりの急ぎ足でしたが同行者全員が、無理しても歩いてよかった!というぐらいお気に入りの場所に。最終ゴールには国賀海岸の名所「通天橋」もあって、日本海の海食作用が作り出した自然の岩のアーチに目を奪われました。
朝食と夕食会場となる食事処「海遊園」をはじめ、客室からも海を眺められてバカンス気分が盛り上がります。施設内はオーナー作の意匠がそこかしこにあって親戚の家に滞在しているようなアットホームな雰囲気が、島ののんびりした風景と時間と相まって、心からリラックスできました。

旅の終わりに
隠岐の4島めぐりの締めくくりは、西ノ島の別府港から鳥取の境港までフェリーの旅。フェリーターミナルで出航までの待ち時間、ターミナル周辺をぶらり。隠岐らしいコバルトブルーの海、島影を見つめながら旅を振り返ります。
いろいろな旅をしてきて、町や人の歴史などを追うことは多くても、地球の歴史を追うこと・考えること・想像することができる場所を訪れたのは初めてでした。自然や大地のダイナミックさを前にすると無の境地にも。絶景・美食に感動するとともに、自分を見つめなおせるよい旅だったなと思いました。友人や家族と感動を分かち合うのもいいし、ひとり旅で自然と自分に向き合うのにもおすすめの島旅です!

旅マエにお役立ち!はじめての隠岐旅ならここをチェック
- 隠岐への観光がはじめての方に役立つ情報をお届けする「隠岐の観光のトリセツ」。各島の観光スポットや体験からアクセス、自然を守るためのマナーまで、知っておきたい隠岐のあれこれがチェックできます。
- 隠岐までのアクセス
- 〈飛行機〉
羽田空港より隠岐空港まで約3時間35分
伊丹空港より隠岐空港まで約50分
〈船〉
七類港(島根県)・境港(鳥取県)より高速船で約1時間、フェリーで約2時間半
詳細は隠岐汽船HPをご確認ください
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