大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024 アート旅

【アート×旅】11/10まで開催!秋旅にもおすすめ「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024」

更新日:2024/08/24

夏休みの最後にアート旅をしてみませんか? ここ新潟県の十日町市・津南町を中心に3年に1度に開かれる「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024」が2024年11月10日まで、作品展示、イベントなどが目白押し。

今回は編集部Oが現地で体験してきた芸術祭の魅力をレポート。五感で感じられる新作アート、多彩な企画展など大地の芸術祭の見どころ・楽しみ方をご案内!

大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024 アート旅
景山健による《HERE-UPON ここにおいて 依り代》

大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024とは

新潟県の越後妻有(十日町市・津南町)、2000年の第1回展から25年続く、芸術祭の草分けである「大地の芸術祭」。四季折々の魅力を見せる自然豊かな越後妻有の里山に佇む6つのエリアに、300以上のアート作品が点在しています。

11月10日まで開催される今回は、41の国と地域から275組のアーティストやプロジェクトが参加し、企画展のほか、イベントやツアーも随時行われます。常設展示を含めると1日ではすべてを鑑賞するのは難しいほどの規模なので、1泊、2泊して楽しむのがおすすめ。

大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024 アート旅
ニキータ・カダン「別の場所から来た物」

芸術祭の最大の魅力といえば、各集落の「営み」や「文化」を土台にしたアート作品を、作品をとりまく自然や風土、食などとともに、五感で楽しめること。

例えば、新作の中では、杉、ブナなどの林の中に5mもの巨大な杉玉を配した景山健による《HERE-UPON ここにおいて 依り代》は、周辺の自然とともに鑑賞できます。ニキータ・カダン「別の場所から来た物」は東京電力信濃川発電所の連絡水槽という集落のランドマーク的場所に物語性を感じることも。

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アート・食・宿泊の3つが体験できる「うぶすなの家」

さらに、築100年の古民家「うぶすなの家」では空き家を活用して、アート作品の展示から、集落のお母さんが作るこの土地ならではのランチメニュー、宿泊まで楽しめます。(詳細は下部参照)

大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024

開催日程/2024年7月13日(土)~11月10日(日) 火・水定休※一部作品施設は営業
開催時間/10:00~17:00(10・11月は10:00~16:00)
※各作品によって公開日・公開時間が異なる場合あり

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SPOT■越後妻有里山現代美術館 MonET

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お話を聞かせていただいた原倫太郎+原游。《阿弥陀渡り》の上で撮影

企画展「モネ船長と87日間の四角い冒険」キュレーター:原倫太郎+原游

越後妻有里山現代美術館 MonETに入るといちばん最初に目に入るのが、池と回廊を舞台にしたこの企画展。原倫太郎+原游が初めてキュレーターを務め、楽しい場をつくりたいと、「モネ船長」の “冒険と遊び ”をテーマに、国内外から作家を集めてディレクションまで担当。

大型の作品を中心に構成され、鑑賞するだけでなく、実際に触ったり、聴いたり、歩いたり、中に入ったり、五感で楽しめるのがポイント。

キュレーターの原倫太郎+原游による《阿弥陀渡り》では、トリックアートと池の上を歩きながらあみだくじができます。

大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024 アート旅
加藤みいさの《溢れる》

加藤みいさの《溢れる》は水風船を積み上げたオブジェ。触ったり、覗いたりしながら、風船に映りこんだ風景を見ていると時を忘れてしまいます。

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上/《神獣の猫龍》サ・ブンティ(查雯婷)、下/ヌーメン/フォー・ユースによるインスタレーション

プラスティック製テープをぐるぐる巻いて制作されたヌーメン/フォー・ユースによるインスタレーションでは、繭のような白い内部に入ることも可能。異空間に入り込んだ不思議な感覚を体験できます。視覚的にインパクトのある、《神獣の猫龍》は、中国では不吉の象徴である猫と吉祥を象徴する龍を組み合わせた、サ・ブンティ(查雯婷)の神獣シリーズの一作。

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ターニャ・バダニナ《白い服 未来の思い出》

ターニャ・バダニナ《白い服 未来の思い出》

亡き娘に捧げるシリーズとして始まった、ターニャ・バダニナの「白い服」プロジェクトのひとつ。全世界で展開されているもので、ここ越後妻有では、畑で働く人々の姿にインスピレーションを得て制作。

ターニャ・バダニナ《白い服 未来の思い出》

地元住民の協力で集めた野良着を題材にした“白い服 ”を展示。光で輝くような白い服に心が浄化されていくような気持ちに。

SPOT■アケヤマ –秋山郷立大赤沢小学校–

大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024 アート旅
会場となるのは、旧津南小学校大赤沢分校

越後妻有の秘境、津南町秋山郷(あきやまごう)にある閉校した旧小学校を活用した「アケヤマ―秋山郷立大赤沢小学校―」。深澤考史監修のもと、「人間の生活の力をふたたび手に入れるための学校」としてスタート。冬季は豪雪により外部と遮断されたため、独自の文化が発展した集落で、なかでもマタギ文化の展示は必見。

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井上唯《ヤマノクチ》

井上唯《ヤマノクチ》

新作の《ヤマノクチ》は、自然や人の営みを題材に制作を行う作家の井上唯の作品。秋山郷で採取した草木を使い大きなアーチを制作し、素材ごとにこの地での活用法の資料も展示され、かつての里山での暮らしに思いを馳せられます。ワークショップも随時開催。

SPOT■奴奈川キャンパス

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松本秋則+松本倫子《惑星トラリス in 奴奈川キャンパス》

松本秋則+松本倫子《惑星トラリス in 奴奈川キャンパス》

廃校となった小学校に作品を展示する奴奈川キャンパスの新作のひとつ。架空の惑星トラリスを繊細な音と鮮やかな色彩のオブジェ、そしてのどかな集落の景色を、無数のカラフルなフィルターを通してみることのできるのぞき穴で構成。想像力を刺激する多彩なオブジェが集うファンタジックな世界に没入!

大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024 アート旅
瀬山葉子《Saiyah #2.10》

瀬山葉子《Saiyah #2.10》

ガラス板が回転することで光が屈折、反射して赤、黄色、緑、青などさまざまな色彩の光が変化し続ける、光のインスタレーション。薄暗い部屋の中で、まるで光が生きているかのように変化していく色彩のパフォーマンスは圧巻です。備え付けの分光ガラスを手にしてそのパフォーマンスに参加することもできます。

大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024 アート旅
鞍掛純一+日本大学藝術学部彫刻コース有志《木湯》

鞍掛純一+日本大学藝術学部彫刻コース有志《木湯》

人気の常設作品である《脱皮する家》などを手掛けてきた作家がつくる木の温もりに包まれた遊び場。妻有各地の温泉をイメージした銭湯のようなしつらえ。湯をイメージした桜の木から削り出したボールはなんと約4万個。風呂に寝転んだり、座ったり、木に触れているだけで癒される作品です。

SPOT■うぶすなの家

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上/牛島智子《つキかガみ巡ル月》 下/うぶすなの家は今では珍しい茅葺屋根。イベント等ではお母さんたちが踊りを披露してくれることも

牛島智子《つキかガみ巡ル月》

茅葺屋根の古民家を「やきもの」で再生した「うぶすなの家」は、日本を代表する陶芸家(澤清嗣、鈴木五郎、中村卓夫、吉川水城)の手によるかまど、洗面台、風呂などを設えた作品&レストラン。

2階には、新作の牛島智子《つキかガみ巡ル月》を展示。こんにゃくのりでつなぎ合わせた和紙を使った平面作品。築100年という趣のある空間に展開された色彩豊かな作品に目を奪われます。

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「うぶすな定食」たぬき/きつね2000円(要予約)

「うぶすな定食」きつね

1階は、集落のお母さんたちがもてなしてくれるレストラン。「うぶすな定食」たぬき/きつねの2種があり、お母さんたちが育てた野菜を使った小鉢に、イタリアンのシェフ・有馬邦明さんによる、メイン料理、デザート付きのセットなっています。

小鉢は日替わりで6種。この日はワラビの甘酢漬け、ゼンマイ、冬瓜などが並びました。どれも地元で食べられている、滋味あふれる味わい。メイン料理はたぬきをチョイス。お米をつなぎにした妻有ポークのハンバーグをいなり詰めは、ポークのうまみとトマトソースの酸味がよく合います。ごはんは地元の棚田米を使用。木々や畑など素朴な里山風景の中で土地の美味が凝縮したランチをのんびり味わって。

アート鑑賞の前後には、温泉やへぎそばなどのご当地グルメなど周辺のスポットにもたちよりながら、アート旅を楽しもう。


大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024

開催場所
越後妻有地域(新潟県十日町市、津南町)
開催日程
2024年7月13日(土)~11月10日(日) 火・水定休※一部作品施設は営業
開催時間
10:00~17:00(10・11月は10:00~16:00)
※各作品によって公開日・公開時間が異なる場合あり
観覧料
■作品鑑賞パスポート
料金:一般4500円、小中高2000円
鑑賞対象:「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024」(2024/7/13~11/10)
※このほかセット券、個別鑑賞券などあり
※記事は2024年8月24日(土)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります