おんせん県・大分の別府の手仕事と言えば、温泉文化とともに発展した“別府竹細工”。日用品としてはもちろんのこと、湯治客のおみやげとしても人気が高まり生産が盛んに。1つひとつが手作業で作られ、すべて一点もの。使うほどに味わい深くなっていく別府竹細工を探しに行こう。
「材料となる大分県産の真竹は強く、しなやかで丈夫。万が一壊れても修理ができるから、まさに一生ものです」と大谷さん。真竹は市内にある製竹工場で加工され、作り手のもとへ。これを包丁で細かく「ひご」に整え、一つひとつ手で編んでいく。
「竹を触っていると、不思議と気持ちが落ち着く。編んでいる時間がいちばん好きです」と、この道14年目の一木さんが話す。作り手の思いが伝わってか、象牙色の竹かごがそばにあるだけで、周りの空気が和やかに。そんな強くて優しい生涯の相棒を見つけに湯の町を訪れてみたい。
一生モノが見つかる温泉町のクラフトショップ
cotake
店主のさとうみきこさんは、大分県立竹工芸訓練センターの卒業生。工房兼ギャラリーには、自身の作品をメインに、同じ卒業生の若手作家たちの竹細工を展示。作り手ならではの愛情こもった説明で、作品の魅力やエピソードを伝えてくれる。イチオシはさとうさん作のアクセサリー。軽くて使うほどに味が増し、大事に育てることができる。
SPICA
遠方からのファンも多い、人気のセレクトショップ。旅好きな高野豊寛さん・かおりさんご夫婦が旅のわくわくとした出会いをテーマに選んだ、衣食住の品々が集まる。地元の作家ものも多く、別府竹細工は網中聖二さん(竹楓舎)のかごバッグのほか、奥様でイラストレーターの網中いづるさんとコラボしたレアな箸置きセットが並ぶことも。
愉しい食卓 はなやもも ショップ
鉄輪温泉の明治創業の旅館をリノベした店内には、九州の作家ものの器や道具、こだわりの地元食材がずらり。別府竹細工は、大谷健一さん(竹楓舎)など、10人の作り手によるマルシェかごの受注販売を行う。いずれも鉄輪温泉の町歩きイベントから生まれたオリジナルデザインで、1年以上かかる場合もあるけれど、待つ価値は十分。
DATA
たのしいしょくたく はなやもも ショップ
TEL.0977-66-3251
住所/大分県別府市鉄輪上1組 冨士屋 一也百 Hall&Gallery内
営業時間/10:00~17:00
定休日/月・火
アクセス/別府駅より鉄輪方面行きバスで約30分、鉄輪下車徒歩5分
bamboo bamboo
アパレル出身の中村友紀さんが、世界的に有名な米国の伝統工芸「ナンタケッドバスケット」に触発され、地元の別府竹細工も同様に価値を高めたいと、2015年に一念発起して専門店をオープン。一木律子さん(竹楓舎)など、中村さんがほれ込んだシンプルでモダンな作品が揃う。作品のストーリーを聞いて買い物するのが楽しい。
DATA
バンブー バンブー
TEL.0977-22-5610
住所/大分県別府市中央町1-30 堀ビル1F
営業時間/10:00~18:00 冬期~17:00
定休日/火、ほか不定休あり
アクセス/別府駅より徒歩5分
東京から別府へのアクセスは?
羽田空港より大分空港まで飛行機で約2時間、空港特急バスエアライナーに乗り換え約50分、別府駅前下車、片道合計約52000円(別府駅まで)
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PHOTO/TAKASHI MISAWA WRITING/AYAKO GOTO
※OZmagazine TRIP(2023年9月26日発売)の情報を転用して掲載しています。掲載情報は、2023年9月11日時点のものです。その後、変更が生じる場合がありますのでご了承ください