【OZのサステナブル・トリップ】未来へつなげたい、海や森など美しい自然と歴史文化をめぐる島旅へ_沖縄県・石垣市
物語のあるローカル旅を提案する「OZのサステナブル・トリップ」。今回は羽田・石垣島間の移動はANAの次世代燃料を積んだ「グリーンジェット」特別機を初導入するなど10年先を見据えたサステナ旅を提案する石垣島へ。エメラルドグリーンの海、緑深い森など豊かな自然、伝統芸能・民芸・食を通じて、サステナブルな旅を実践! 今できることから始めて、環境や人にやさしい新しい旅をしよう。
更新日:2023/05/23
【TOPICS】10年先を見据え、SDGsプロジェクトを初実施。石垣島「サスティナ島旅2023」
自分に、島に、地球にやさしい島旅がこれからのスタンダードに
石垣島は、沖縄本島から南西に400~500kmに位置し、本島よりも台湾に近い、八重山諸島の12の離島の中のひとつ。西表島に次ぐ大きさの島で、沖縄県内でいちばん高い於茂登岳を有し、山やジャングル、サンゴ礁が広がる美しい海と、手つかずの雄大な自然が残る。離島ならではの芸能、食などの豊かな文化や暮らしもあって、訪れる多くの人を魅了する人気の島。
石垣島では、今、その豊かな自然や文化を未来に継承していくために、SDGsのプロジェクトを始めています。2023年3月に行われた「サステナ島旅(※1)」では、二酸化炭素の削減を目的に、二酸化炭素削減を目的とした環境にやさしいバイオ燃料を利用したANAの航空機や送迎バスの活用(※2)や、海洋ゴミ問題に向き合い、美しい海を守るアースクリーン活動(ビーチクリーン)、循環型農業や廃棄されていたジュースの搾りカスのアップサイクル、地産地消など、その取り組みは実にさまざま。さらに八重山民謡や踊り、民芸、食などの素晴らしい文化も次世代に伝えていくために保全活動を行っています。
これからは、10年、20年先を見据えた石垣市のSDGsの取り組みを参考に、地産地消・郷土料理などのグルメ、民芸や民謡などの文化、アースクリーン活動などを旅に盛り込んだ、人、島、そして地球にやさしい、サステナブルな島旅を始めてみませんか。
※1「サステナ島旅」は、SDGsプロジェクトの一環として行われ、現在2023年5月現在は実施されておらず再開は未定です
※2 バイオ燃料を利用した航空機や送迎バスの運行は、今回のプロジェクト限定運行となり、今後の予定は未定です
【モデルコース】今編集部が厳選したサステナスポットを巡る、1泊2日の石垣島サステナブル・トリップ
1日目【13:30】
白保の自然をありのままに感じながら、この地に伝わる月桃の民具作り体験
樹齢400年超という巨大なガジュマルが迎えてくれるやちむん館は、月桃やアダンなどの草木からつくる民具や、織物、陶芸などの民芸から、昔から続く美しき石垣島の暮らしを保存する活動を行っている場所。ここでは、月桃でつくる円座、ガンシナー(鍋敷)、コースター、ミニかごなどの民具体験を。敷地内で採った月桃を切って干したものを素材に使って、スタッフに教えてもらいながら編んでいく。無心になって編んでいくと、ガンシナー(鍋敷)なら1時間ほどでできあがる。体験前後には、自然いっぱいの敷地内散策を。食用になるオオタニワタリ、長命草などから、民具の素材になる月桃、アダン、いまでは淘汰されてほとんど見ることができないという稀少な草木が自然に近い形で大切に育てられていて一見の価値あり。残していきたい八重山の文化や暮らしをゆるりと体感してみたい。
【18:00】
地産食材の夕食と民謡ライブを楽しむ
新川の海岸で美しいサンセットを見た後は、すぐ隣にある石垣島の地産食材を使った郷土料理が味わえるレストランへ。ここでは、アグー豚の料理をはじめ、島野菜、湯し豆腐、刺身など地産食材を使った料理を味わいながら、伝統芸能である八重山民謡ライブを楽しむ、石垣島らしい夜を体験できる。地産地消のグルメは、フードマイレージもかからず環境に優しい。さらに、アグー豚は現在、島内で生産されたパイナップルやさとうきびの搾りカスを活用した飼料を使う試みが進んでいるそうだ。
2日目■【08:00】
ゴミ問題を自分ごとに! アースクリーンに参加して漂着ゴミからキーホルダーを作る
朝早起きしたら、SDGsを学ぶ各種イベントを催す「縄文企画」のアースクリーンへ。ビーチを訪れると、驚くほど大量のゴミが。沖縄県のデータでは、主に台湾や韓国などから届く漂着ゴミは年間八重山諸島全体で約500tという。でも漂着するゴミはそのわずか1%と聞くと、目の前のゴミはほんの一部。美しい海を守って次世代につないでいくために、アースクリーンに参加することもそうだが、ゴミを持ち帰るなど今できることをと考えさせられる。漂流ゴミには、浮きや網などの漁具、ペットボトル、各種プラスティックなどさまざま。30人程度で約30分、全部集めて、漁具や缶、ペットボトルなど約10種に分別。そのあとは、市街地の縄文企画オフィスに戻って、分別したペットボトルのキャップからコースターやキーホルダーが作れるアップサイクル体験が楽しめる。
縄文企画
じょうもんきかく
TEL.080-1000-7891
沖縄県石垣市浜崎町1-2-6パティオ石垣7F
アースクリーンツアー 3800円、アップサイクルワークショップ 4800円、アースクリーンツアー+アップサイクルワークショップ 8000円
※ごみ処理費、保険料を含む ※未就学児は無料
【11:00】
サステナブルなストーリーが詰まった請福酒造へ
1949年に創業した蔵元「請福酒造」の工場を見学。看板商品の「請福」は、今では珍しい、伝統的な製法・直火釜蒸留法を採用した逸品。泡盛の原料は自社農園で栽培する紅芋やサトウキビを使用する地産地消を推進するほか、海への赤土の流出を防いでサンゴ礁を守ることにも貢献しているそう。さらに、製造過程で出てくるもろみカスを豚の飼料にアップサイクルしたり、100年前に姿を消した幻の酒「イムゲー」を復活させて伝統文化を守る取り組みも行っている。どのように作られているかなど背景のサステナブルなストーリーを知ることで、さらに愛着を持って、おいしく味わえそう。
【12:00】
環境に優しい、体が喜ぶ! ヴィ―ガンのバインミーで昼食
ランチは石垣島唯一のヴィ―ガンカフェをチョイス。フードマイレージを考えると自ずと選ぶのは地元の食材、そしてできるだけ有機栽培のものを、CO2排出など環境のことを考えると牛乳ではなくオーツミルクやソイミルクを選択。環境にやさしいプランツベースの食材で作られた看板メニューは、バインミー。車麩ハリッサソースやレンズ豆コロッケなど5種が揃い、いずれも体が喜ぶ優しい味わい。ほかにも紙おしぼりではなく布を使用、ゴミは敷地内のコンポストで処理するなど徹底して環境に配慮している。
【13:30】
海と山。後世に残していきたい豊かな自然を感じよう
雄大な自然が残る石垣島屈指の観光スポットといえば川平湾(かびらわん)。透明度の高いエメラルドグリーンの海の色と、周囲の島々が織りなす自然美は、感動を呼ぶ美しさ。このほか、地元の人御用達の底地(すくじ)ビーチ、サンセットで有名なフサキビーチなど、それぞれに個性的なビーチがたくさんあるので、あれこれ巡るのも楽しい。ほかにバンナ岳に広がる県営バンナ公園は、シダなどが茂る手つかずの森の中の散策路を歩いたり、360°の大パノラマが望める展望台で竹富島や黒島など八重山諸島の島々を眺めたりして、大自然のパワーを感じて。
【15:00】
使うのは生のフルーツだけ! フレッシュジュースをおやつに
島内観光中にひと休み。光楽園は、近年食べることが少なくなってきたグアバを、昔みたいにみんなに食べてもらいたいという想いでグアバ農園を開設したのが始まり。グァバ農園の隣にあるカフェでは、もぎたての新鮮なグァバを使ったジュースが味わえる。フレッシュジュースは、冷凍は使わず、旬のフレッシュな果実のみを使うのがこだわり。ごくごく飲むジュースとはひと味違い、まるで果実をまるごと食べているようなテイスティなおいしさ。ほかにもスムージーやふわふわかき氷にフルーツソースがのったフルーツシェイブアイスや、お土産にぴったりの自家製グァバシロップ、かわいいパッケージの星のちんすこうなども。
【HOTEL】環境に配慮したホテルでサステナステイ
八重山諸島の玄関でもある石垣島の離島ターミナル前に位置するホテル。居酒屋など飲食店からお土産店もあってサステナ旅の拠点にぴったり。居心地のいい客室、疲れを癒す大浴場など快適なステイができるほか、SDGs推進に向けた取り組みも万全。リネン類交換「不要」の選択肢を設けるほか、レストランでは地産地消も推進。朝食ブッフェではいちばん人気の石垣牛の牛丼をお楽しみに!
編集部が厳選した石垣島のサステナブルスポットを巡る2Dayモデルコース
■1日目
08:15 羽田空港発→11:15石垣空港
12:00 まつまとぅ家で八重山そばの昼食
13:30 やちむん館
18:00 夕食と伝統芸能
20:30 ホテル宿泊
■2日目
08:00 ビーチクリーン→漂着ペットボトルのキャップでキーホルダー作り
11:00 請福酒造見学
12:00 バラック
13:30 川平湾など島内観光
15:00 光楽園でフルーツジュース
18:50 石垣島空港→22:45羽田空港
◆注意事項
※「サステナ島旅」(2023年3月実施済)の内容とは異なります
※羽田~石垣島間および島内の移動は、環境に優しい燃料を使った航空機やバスの通常運行は現在ないため、現行の交通手段をご利用ください
PHOTO/MASAHIRO SHIMAZAKI