拝啓、メディア様。Vol.001
「YOUは何しに日本へ?」テレビ東京
【毎週木曜 6:00 更新】
テレビ、ラジオ、Webに雑誌・・・旅ゴコロをいざなう番組&記事の作り手に編集部が会いにいき、制作中のエピソードや思いをシェアし、旅を一緒に盛り上げる連載。初回は、外国人旅行客(=YOU)を取材&密着するドキュメントバラエティ番組『YOUは何しに日本へ?』を直撃します!
更新日:2016/07/22
テレ東の看板番組はどうやって制作?
教えてディレクターの太田勇さん!
「テレビ東京は、『田舎に泊まろう!』『開運!なんでも鑑定団』のように、コンセプトがそのままタイトルになった番組作りが好きで、この『YOUは何しに日本へ?』もそう。コンセプトとタイトルがイコールの番組で、バナナマンがMCです。
番組プロデューサーによると、中国人観光客の爆買いが話題になっていた2012年、外国人たちを取材してそのパワーをライブ感満載に伝えたらどうか、と生まれた企画だそう。その特別番組の反響がよかったので、深夜帯でレギュラー番組になり、そしてゴールデン番組になっていったと聞いています。
取材チームは、僕らディレクターとカメラマン、通訳の3人1チーム。これを3班体制にして、朝9時から夕方6時まで成田空港でYOUを待ち構えてます。一般的な番組だと、こういうロケは7人くらいのスタッフが付くことが多いですが、少人数だと小回りがきくのでこの方法を採用しています。
番組を3年間作ってきて分かったのは、月曜は出張に来たビジネスマンYOUが多く、週半ばの平日は、チケットが安いためか旅行者が多いということです。だからみんな月曜に取材に行きたがらないんです(笑)。何しろ”取れ高”が大事なので」
取材してもオンエアは、100分の1以下…
それでもYOUの熱量を視聴者に伝えたい
「やっぱり一番大変なのは、おもしろいYOUの見つけ方。最初の頃は、バックパッカーのような旅好きに見える外国人旅行客に声をかけていたんですけど、取材を重ねるうちに見た目だけではないんだなって気がついて。
最近の僕の選定方法としては、到着ゲートで一度立ち止まるかどうか。到着してスタスタ歩いていってしまう人は、日本に慣れている可能性がありますが、初めて日本にやって来るおもしろいYOUを狙うならコレですね。今では番組を知ってくれている方が増えていて、向こうから声をかけてきてくれることも。おかげで取材がしやすくなりましたね(笑)。
これまで番組では、延べ5万人以上のYOUに声をかけています。でも、放送されるのは本当にごくわずか。3班合わせて1日100組以上にインタビューして、放送されるのは1組いるかいないか。そしてインタビューの内容が面白くて彼らの旅に密着することになるのは、3日に1組も出ないくらい。取材後にお蔵入りなんてこともザラです…(苦笑)。
そこまでして番組で描きたいのは、海外からわざわざ日本にやってきたYOUの熱量なんです。日本にはまだまだ知られていない魅力があるし、そんな日本の文化や伝統を通じて外国の方の魅力も伝えていけたら」
AKB48やホンダが好きで来日するYOU
“旅って自由でいいんだな”って教わりました
「印象的だったのは、フランスから日本伝統のハンコを作りにやって来たロマくんや、お互いにロリータファッションをする中国人カップル(写真)。特に、当時背骨を折っていたにも関わらず、コルセットしてまで来日したロマくんは、彼が愛らしいのもあって第7弾まで放送しました。彼が日本に住むことになった時は、一緒に家探しもしたんです。が、一度、大家さんから外国人の居住にNGが出てしまって…。でも僕も一緒になって交渉してみたら、偶然大家さんがこの番組の大ファンでOKをもらえるという奇跡もありましたね。
今まで世界各国からやって来たいろんなYOUに出会いましたが、取材していく中で感じたことは、“旅って自由でいいんだな”ってこと。僕ら日本人って、休みが取れて海外に旅に出る時、ガチガチにプランを固めがちですよね? でも、AKB48が好きだからただ秋葉原に1週間滞在するとか、ホンダを愛するがゆえ2カ月かけて本社やコレクターに会うだけの旅をするとか、YOUたちは京都にも富士山にも築地にも行かない。観光においては圧倒的にノープランなんです。
そんな彼らに影響されてか、僕も2泊4日でハワイという、厳しくも自由なスケジュールで行きましたね。YOUに出会ってなかったら、きっと行こうだなんて思ってなかったでしょうね」
人気ドキュメントバラエティ番組。公認アプリとして、外国人観光客に向けた『YOU Yubisashi(R)(英語バージョン)』が登場。『指さし会話帳(R)』をはじめ、地図、カメラ、メモなどを搭載する。
テレビ東京系
毎週月曜 夜6:55~8:00放送
出演:バナナマン
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WRITING/MAKI FUNABASHI PHOTO/MANABU SANO ILLUSTRATION/HONGAMA