OZmagazine TRIPで好評連載中の「さて、おやつにしますか」は、文筆家・甲斐みのりさんが教える、旅の目的になるおやつの話。第8回目は石川県・小松市にある「こまつ町家文庫」で販売中の「世界文学ジャム 全集」シリーズを紹介。有名な本のタイトルをもじった、くすっと笑みがこぼれる逸品は、地元産の食材を使い無添加で作られているからお土産にもぴったり。
写真/世界文学ジャム全集シリーズ。写真右手前から時計回りに、風の抹茶三郎650円、ドン・キナーコ650円、赤毛のアンズ650円、加賀棒っ茶ん650円、トマト・ソーヤーの冒険540円、走れメロン650円
名作文学のように余韻を残すしゃれのきいたジャム
小沢健二はじめ数々の音楽家がそう歌っているように、人が旅に出る理由はさまざま。昨年から私の頭の中の“旅願望地図”で、石川県小松市がチカチカとまたたき始めたのは、よく行く本屋で手に取った、本好き心をぎゅっとつかむ、しゃれがきいたジャムがきっかけだ。
昭和の町並みが残る石川県小松市龍助町の、元畳屋だった築80年の町家を再生した古本カフェ「こまつ町家文庫」が、保存もできるおみやげをと考えてできた「世界文学ジャム全集」シリーズ。『坊ちゃん』は加賀棒茶、『走れメロス』はメロン、『赤毛のアン』はあんずなど、誰もが知る文学の名作タイトルに、野菜や果物など旬な地元の食材を、絶妙な言葉遊びで掛け合わせ、子供から祖父母世代まで安心して口にできるよう無添加というこだわりも。鮮やかな色が透ける、丸みを帯びた瓶の佇まいも愛らしく、角ばった原作本と並べて置いても相性がいい。さて、今日のおやつの時間は、色 とりどりに世界文学ジャムをのせたビスケットをつまみつつ、小松を旅して古本カフェで過ごす、いつかの夢を思い描こう。
取材・文/甲斐みのり 撮影/鍵岡龍門
おやつDATA
PROFILE
甲斐みのり(かい・みのり)
文筆家。旅や散歩、お菓子や地元パン、クラシック建築やホテル、雑貨屋や暮らしなどを主な題材に、書籍や雑誌に執筆。各地の観光パンフレットも手がける。著書は『地元パン手帖』『お菓子の包み紙』『アイスの旅』(ともにグラフィック社)など40冊以上。
この記事が掲載されているのは、OZmagazine TRIP「春のひとり旅」
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発売日/2020年3月6日(金)
定価/636円+税
販売場所/書店、コンビニエンスストアなどで発売中
※OZmagazine TRIP(2020年3月6日発売)の情報を転用して掲載しています。掲載情報は、2020年3月6日現在のものです。その後、変更が生じる場合がありますのでご了承ください