群馬県上野村のキホンと食を楽しむポイント
旅を案内する前に、上野村と食についてご紹介。
群馬県上野村は長野と埼玉県に挟まれた群馬の南側にある小さな村。
最寄りのコンビニまでは車で約40分! 村内の道は坂道ばかりなのではと感じるほど、平らな道がない山奥にあり秘境感全開ですが、実は高崎駅から車で約1時間と意外にも近くて気軽に自然に触れられる村なのです。小さな村だけど、十石みそに猪豚、椎茸、プラム、さらに米が作れない地域ならではの小麦粉を使った郷土料理など、おいしいものがいっぱい。そのどれもがシンプルな調理でおいしくいただけて、美容や健康にもいい素材ばかり。おなかを空かせていろいろ食べよう。
【こんな人におすすめ!】
□おいしいものが好き!
□野菜が好き
□肉が好き
【こんなの準備をしておくと万全!】
□はらぺこのおなか
□エコバック
囲炉裏端でいただく地元のおばあちゃんたちの郷土料理
上野村の白井宿にある御休処では、地元のおばあちゃんが手作りする郷土料理がいただけるプランがある。今回料理を作ってくれたのは、藤田すえさん(2枚目の写真)。
テーブルの上には、こんにゃくやニンジンを煮たものや、自家製の漬物、鶏肉のフライ、手作りの干し柿など、すえさんの手料理が並ぶ。どれも懐かしいと感じる味でごはんにぴったり。これだけでも十分なのに、上野村ならではの粉もの料理の手打ちうどんを出しながら、地元についての話をしてくれました。
「上野村では土地柄、米が作れなかった地域で小麦粉が主食なんです。うどんやおっきりこみは、いまでも地元でよく作られる料理。漂白していない小麦を使って作るから少し茶色っぽいの。おやきもよく作るね。この地域のおやきは、蒸すんじゃなくて焼くの。囲炉裏の灰の中におやきを入れて焼き、灰を払って食べる。外はカリッとして中はふっくらとしておいしいの」(藤田すえさん)
すえさんが打ったうどんは、具だくさんのおっきりこみ風あったかうどん。幅広のうどんは茶色っぽく、やわらかくてもちもち。ニンジンやゴボウなどの野菜がたっぷり入っていて、上野村特産のジャガイモがとろけてやさしい味。十石みそを使った味噌味で、仕上げにサッと醤油をまわしいれたお汁は飲み干してしまうほど。料理をよりおいしく感じさせてくれるのは、料理の作り方や、上野村の歴史を気さくに話してくれるすえさんの人柄も大きい。料理も心にもあったかい田舎の味。このプランについては、上野村に問い合わせを。
村唯一のスーパー・JAマートにはなにがある?
編集Rが旅先でかならず立ち寄るのが地元のスーパー。地元の食習慣や文化、物価までも見えてくる最高の観光スポット、だと思っています。今回の上野村でも村唯一のスーパー・JAマートに行ってきました。
いちばん販売エリア広いのが、十石みそ売り場。世帯消費量がかなり多いに違いないと推測してしまうほど大量の十石みそが並んでいます。味噌に次いで広いのが猪豚売り場。猪豚以外の肉は、端っこにひっそりと置かれているのに対し、猪豚は入口近くに売り場があり、肉や加工肉が並ぶ立派な売り場。上野村の人の十石みそと猪豚愛が伝わってきます。
そして、先ほど料理を作ってくれた藤田すえさんが言っていたとおり、小麦粉料理に必須の大きな小麦粉袋を発見。家庭用なのに5kg! 業務用ではありませんよ。さらに上野村で作られたお酒も置いてありました。
余談ですが、上野村では、集落ごとで日本酒を飲む集落、焼酎をのむ集落、お酒は飲まない集落と系統が分かれているのだそう。地元の人も「なんでだろうね」と話しながらつぶやいていました。
道の駅近くにある地元の人も通うお蕎麦屋さん
おみやげものが揃う道の駅の向いにあるのは「名代十石そば 福寿庵本店」。
地元の人も訪れる福寿庵のおすすめは、十石そば950円。木のどんぶりに入っているのは、特産の大きな椎茸がのったあったかい蕎麦。ボリューム満点で蕎麦ものど越しがよくスルスルと完食。デザートには、味噌あんが入ったアイス大福100円もおすすめ。
自宅を改装した地元の人が集う憩いのカフェ
上野村いこいの里という老人向け集合住宅近くにある自宅を改装した居心地も眺めもいいカフェが「母の菜豆(かかのさと)」。地元の若い子たちが気軽に来て、食事できる場を提供したいとカフェめぐり&料理好きの奥さまが作ったカフェ。
写真は取材用にコーヒーと手づくりのパンナコッタを用意してくれました。口どけがいいパンナコッタもおいしかったのですが、地元の人に人気なのが「フレンチトーストセット」。料理だけでなく、そこここに奥さまの手作りのおもてなしが感じられるカフェは上野村一の癒しスポット。(要予約。詳細は上野村へ)
編集Rがおみやげに買った体にいいもの
上野村や群馬県の特産品から、村の総面積9割が森林という上野村らしい木工品までバラエティ豊かな商品が揃う道の駅でおみやげ選び。先ほど紹介した十石蕎麦でも使っている木のどんぶりも売っていました。
悩みながら編集Rが選んだおみやげは、十石みそと煎りえごま。十石みそは、今回の旅で味噌を使った料理をいただいていてすっかり虜になり、絶対買って帰ると決めていたもの。コクがあって本当においしい。
そして、上野村産ではないけれど群馬県産のえごまの実。えごま油やアマニ油などに含まれるオメガ3系の脂肪酸・αリノレン酸が豊富でアンチエイジングにも効果があるのです。オイルよりも実のほうが、ごはんやお味噌汁、サラダにかけて食るのに使いやすそうと思って購入。実際、ごはんやサラダにかけて食べてますが、クセはなくなんにでもあうので買ってよかった食のアイテム。
体や美容にいい隠れたご当地食材を持ち帰るのは、自分の体にいいことしている気分になっていいものです。
地元のスポットで見かけるストーブの正体とは?
上野村の観光案内所や地元のスーパー・JAマート、飲食店でみかけたのが、写真のストーブとペレットという小さなチップ。
伐採した木を写真左上のように加工をして燃料として使いやすくしたペレットは、村の森林維持や村内の持続可能なエネルギーを生み出し、村の経済を活性化させるために開発されたもの。家庭用のストーブだけではなく、村の産業にもひと役かっている。
上野村のきのこセンターでは、このペレットを燃やして電気を生み出し、椎茸栽培に重要な温度管理など施設内の電気はほぼこのペレットでまかなっている。小さな村だからこそできる大きなエコ活動にも注目。
PHOTO/AYUMI OOSAKI WRITING/RIE NAKATSUJI(OZmall) 取材協力/上野村産業情報センター