ホテルは非日常を楽しめる、身近にある素敵なスポット。だけど実は、これからミライをよくしていくための工夫もたくさん詰まった場所。今回ご紹介するのは、広々とした日本庭園や、ショートケーキやモンブランなど“スーパーシリーズ”で知られる「ホテルニューオータニ」。1964年の創業当時から力を入れているという環境への取り組みについて教えていただきました。
ホテルと考える、これからのわたし/ホテルニューオータニの取り組み
おもてなしとエコロジーの両立!本当の豊かさを届けるホテルを目指して
「ホテルニューオータニでは、“おもてなし”とエコロジーを両立させてこそ、真のホテルサービスだという理念のもと、色々なことに取り組み続けてきました」と広報の湯本健太郎さん。
ホテルニューオータニが開業したのは、東京オリンピックが開催された1964(昭和39)年。飲料水用の受水槽を一般的なステンレス等ではなく、殺菌性、耐久力の高いヒバ材を取り入れるなど、当初から環境に優しいホテルへの取り組みがはじまっていたという。
ホテル業界において、大きな課題でもある排水や生ゴミのリサイクル、敷地内の緑化にも積極的に取り組んできたほか、2007(平成19)年に本館をリニューアルした際には、エアコンから排出された熱を回収して活用する空調管理システム「AEMS(エイムス)」や、空気中の熱を利用してお湯を沸かす「エコキュート」なども導入。環境保全に特化した部署では、現在も新しい取り組みについて研究を重ねているのだとか。
「新型コロナウイルスをきっかけに経済活動が止まったことで、環境面にはプラスになったと言われています。今後は、経済活動を戻しながらも、環境に優しい状態を維持することが求められる時代です。私たちもさらに環境とお客様に優しいホテルを目指していけたら」
【PICK UP】ホテルニューオータニ 注目の取り組み
厨房から出る排水と生ごみを再利用。中水造水プラント&コンポストプラント
約2万坪の敷地内に、客室1479室に加えて33室の宴会場、37軒のレストランを持つホテルニューオータニ。厨房からの排水だけでも1日約1000トンにもなることから、ガーデンコート地下3階に水をリサイクルする「中水造水プラント」を設置。排水からごみを取り除き、タンパク質や油分を分解してきれいな水へ再生し、日本庭園の潅水や従業員用トイレ等で再利用している。一方、ガーデンタワー1階にはコンポストプラントを設置。厨房から出るすべての食品残渣(食べ残しや賞味期限が切れてしまった食材など)を回収して有機たい肥にリサイクルしているという。
「たい肥はホテル内の庭園で使うほか、栃木や茨城の契約農家さんに使っていただき、収穫した農作物をホテルが買い取って従業員食堂で活用しています。当ホテルの生ごみのリサイクル率は100%。ごみ処理には費用がかかりますから、コスト面でも良い結果が出ています」
屋上緑化でさらに快適なホテルを実現
庭園の美しさで知られるホテルニューオータニでは、総面積5300㎡におよぶ屋上緑化を実現。約30種類、3万輪の赤いバラを集めた「レッドローズガーデン」は、結婚式場としても大人気。もちろん、栽培には排水をリサイクルした水やたい肥が使われている。また、16階屋上の緑化スペースで栽培したミントは、モヒートなどオリジナルメニューも提供しているのだとか。こうして屋上に植物を植えることで、太陽光から建物を守り、CO2を削減するほか、ヒートアイランド現象を緩和する役割も担っているという。
「庭園の真下にある宴会場はどうしても課題となるのですが、屋上に植物を植えることで熱を吸収、分散して冷房効率が上がります。ミントガーデンのミントは、館内レストラン「トゥールダルジャン 東京」でも活用しているので、ぜひ味わってみてください」
ホテルといえばちょっと贅沢で、特別な時間を過ごす場所。“SDGs”と聞くとハードルが高いと感じるかもしれないけれど、そんなとっておきのホテルで食事や宿泊することが、誰かの笑顔やしあわせにつながっているかも。まずはここから、一緒にはじめてみませんか?
DATA
- スポット名
- ホテルニューオータニ
- 電話番号
- 0332651111 0332651111 (代表番号)
- 住所
- 〒102-8578 東京都千代田区紀尾井町4‐1 Map
- 交通アクセス
- 東京メトロ永田町駅7番出口より徒歩3分、東京メトロ赤坂見附駅紀尾井町口より徒歩3分、東京メトロ・JR四ツ谷駅より徒歩8分
- ホームページ
- 公式HP
【特集】ホテルと考える、これからのわたし
ホテルとは、非日常を楽しめる、身近にある素敵なスポット。だけど、実は、これからミライをよくしていくための工夫もたくさん詰まった場所。
私だけがしあわせじゃなくて、私も誰かもしあわせになれる、そんな場所として、ホテルの魅力を再発見しませんか?
PHOTO/AYA MORIMOTO、WRITING/MINORI KASAI