ドッグフードが酸化する危険性とは? 酸化を防ぐ保存方法を解説
愛犬のフードを保管するうえで気になるのが、ドッグフードの酸化を防ぐ方法。酸化したドッグフードを与え続けると体調不良を招く可能性もあるため、常に気をつけておきたいもの。そこでこの記事では酸化したドッグフードの危険性や、酸化の見分け方、酸化しにくい保存方法などをご紹介。愛犬がいつもおいしく健康な食事を送れるようにしたい飼い主さんは、チェックしてみて。
更新日:2023/06/01
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お話を聞いたのは・・・
「chicoどうぶつ診療所」獣医師 林美彩さん
酪農学園大学獣医学部卒業。大学卒業後、自身が代替療法と出会ったことで、動物の体に優しい治療法や食事・環境の見直し、飼い主の心のケアの大切さ等を伝えていくため、2018年に『chicoどうぶつ診療所』を開業。往診を中心に、精力的に診療を続けている。
<著書>
「獣医師が考案した 長生き犬ごはん」(世界文化社)2019/12/18
「獣医師が考案した 長生き猫ごはん」(世界文化社)2020/11/13
『獣医師が考案した一汁一菜長生き犬ごはん こだわりの安心レシピ&作り置きOK!』(世界文化社)2022/1/26
<公式サイト・SNS>
chicoどうぶつ診療所HP
Instagram:@chico_ah_323
Amebro:https://ameblo.jp/tinkerbell19850323/
1.ドッグフードの酸化とは?
ドッグフードの酸化とは、フードに含まれる油脂が空気中の酸素に触れることで、化学反応が起こった状態のこと。
ドッグフードの原材料には、犬の毛並みや皮膚を保護するためや食いつきを良くするために、油脂が多く含まれている。その油脂が空気に触れる時間が長くなるほど、どんどん酸化が進行していく。
カットしたリンゴがしばらくすると断面が変色するのと同じように、ドッグフードも袋を開けた瞬間から酸化が始まり劣化が進む。
2.酸化したドッグフードが愛犬に及ぼす影響
ドッグフードが酸化すると、風味を損なったり変色したりしやすい。また本来の栄養素が破壊されて、必要な栄養を摂取できなくなることも。
さらに、嘔吐、下痢、腹痛など、愛犬の体調不良の原因になる場合もある。劣化が進むと、動脈硬化、肝臓の機能低下といった重い症状が出たりする場合もあるので気をつけよう。
ドッグフードが酸化していると思ったら、すぐにフードを新しいものに変えることが大事。
3.ドッグフードが酸化する原因
3-1.ドッグフードの油の質が悪い
犬の食いつきをよくするために、香りが立ちやすい「動物性の油脂」でコーティングしているドッグフードが多い。コーティングしている油の質が悪いと、酸化を早める原因に。
また、値段の安いドッグフードは、使用済みの油などをドッグフードのコーティングに使っている場合もある。一概には言えないものの、価格もひとつの目安にしよう。
3-2.保存容器に空気が入っている
油は空気に触れた瞬間から酸化が始まるので、空気に触れやすい保存容器を使っている場合は要注意。
例えば、大きめのパッケージに大量のドッグフードを入れて、ご飯のタイミングで毎回パッケージを開け閉めしていると、その都度空気に触れてしまうことに。
また、袋をクリップなどで留めて保存している場合も、クリップの隙間から空気が入って酸化の原因になるので注意しよう。
3-3.保管環境が酸化しやすい
高温で湿度の高い場所や光の当たる場所は、ドッグフードの酸化を促しやすい環境。日光だけでなく、蛍光灯の光でも酸化が進んでしまうと言われているので、なるべく冷暗所で保存しよう。
4.酸化防止剤の役割は?危険性はある?
酸化を防ぐため、ドッグフードには「酸化防止剤」が使われている。酸化防止剤には「合成酸化防止剤」と「天然酸化防止剤」の大きく2種類があるので、その違いを知っておこう。
酸化防止効果が強い合成酸化防止剤は、「エトキシキン」「BHA」「BHT」などに代表される。これらは大量摂取すると発がん性や毒性があるとされている。基本的には問題ないものの、摂取し続けるリスクも考えられる。
一方、天然由来の酸化防止剤には、「ビタミンE」「ビタミンC」などがある。合成酸化防止剤と比べて酸化を防ぐ力は弱いけれど、犬にとって負担がかかりにくいのが特長。
そのため、安全性を考えると、天然由来の酸化防止剤を選んだほうが安心と言えそう。油脂の酸化を抑えるためには、フード自体もできるだけ脂質が低いものを選ぶとよい。
5.ドッグフードの酸化の見分け方
次のような場合は、酸化している可能性が高い。当てはまらないかチェックしてみて。
・開封後1カ月以上(高脂質のフードは2週間以上)経っている
・触るとべたべたする
・臭いがキツい
・変色している
・湿気っぽい
・以前よりも愛犬の食いつきが悪い
・食べた後に下痢や嘔吐をする
もしこれらの特徴がみられたら、新しいフードへの切り替えを検討しよう。
6.ドッグフードが酸化しにくい保存方法
6-1.ドライフードは密閉して涼しくて暗い場所に保管する
ドライフードは、真空容器に密閉状態で小分けにして保存するのがおすすめ。ジップロックに脱酸素剤と乾燥剤を一緒に入れて、密閉して保存してもOK。
冷蔵庫に入れると、扉の開け閉めで気温差が生じて結露しやすくなり、カビが発生するおそれもある。冷蔵庫ではなく、高温多湿を避けた涼しい場所で保管しよう。
通常のドライフードは最長でも1カ月以内、高脂肪のドライフードの場合は2週間以内に使い切るように心がけて。
6-2.ウェットフードは冷蔵庫で密閉保存して2~3日で使いきる
酸化しやすいウェットフードは、冷蔵保存で2~3日以内に消費するのがおすすめ。
ラップをかけるだけでは空気が入ってしまう可能性があるため、しっかり密閉できる容器を使おう。
開封後すぐに使いきれない場合は、密閉容器に小分けにして冷凍保存して、2~3週間で食べ切るようにしよう。
6-3.食べ切れる量のドッグフードを買おう
どれだけ酸化しにくい環境で保管しても、一度開封したドッグフードはどんどん酸化が進んでしまうもの。
そのため、開封してからなるべく早く食べきれる量を購入しよう。ドッグフードは開封したら日付をメモしておくと、新しいフードへの切り替え目安を把握できて便利。
7.ドッグフードの酸化に関するQ&A
ドッグフードの酸化防止剤で問題ないものはどう見分けたらいい?
天然成分の酸化防止剤は、合成酸化防止剤と比較して安全性が高いと考えられます。原材料の欄に、「ビタミンE」「ビタミンC」「ローズマリー抽出物」「ミックストコフェロール」「クエン酸」などと表記があるものを選びましょう。
ただし、まれにアレルギー反応が出る場合もあるので、様子を見ながら使用するのがおすすめです。
乾燥剤はフードを長持ちさせるために役立つ?
乾燥剤は酸化の進行を抑えて、乾燥によるカビ菌の発生も抑制してくれるため、フードをより長持ちさせる保存効果が期待できます。
誤食を防ぐため、食品用の乾燥剤をフタの裏などに貼り付けて、ドッグフードに直接当たらないように保存するのがおすすめです。
愛犬がご飯を食べた後、下痢や嘔吐をする・・・
酸化したドッグフードを与え続けることで、下痢や嘔吐が出ている可能性があります。ドッグフードが酸化していないか確認して、新しいドッグフードに切り替え、症状がひどい場合には獣医師に相談しましょう。
下痢や嘔吐が続く、愛犬がぐったりしているなどの場合は、ほかの原因も考えられます。この場合はすぐに動物病院を受診してください。