【年齢別】柴犬の餌の量や食事回数は?適量の見分け方や計算式
犬の餌の量は年齢や体重、体型、運動量などによって変化するが、柴犬はほかの犬種より大きさの個体差があり、適切な餌の量に迷う人も多いはず。不適切な量の食事は肥満や栄養不足を起こす可能性があるため、愛犬にとって正しい餌の量を把握することが大切。今回は柴犬の年齢や体重に応じた食事量や、適切な食事回数をご紹介。現在の餌の量が合っているか確認する方法もピックアップしたので、愛犬の健康サポートに活用して。
更新日:2023/10/16
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お話を聞いたのは・・・
「chicoどうぶつ診療所」獣医師 林美彩さん
酪農学園大学獣医学部卒業。大学卒業後、自身が代替療法と出会ったことで、動物の体に優しい治療法や食事・環境の見直し、飼い主の心のケアの大切さ等を伝えていくため、2018年に『chicoどうぶつ診療所』を開業。往診を中心に、精力的に診療を続けている。
<著書>
「獣医師が考案した 長生き犬ごはん」(世界文化社)2019/12/18
「獣医師が考案した 長生き猫ごはん」(世界文化社)2020/11/13
『獣医師が考案した一汁一菜長生き犬ごはん こだわりの安心レシピ&作り置きOK!』(世界文化社)2022/1/26
<公式サイト・SNS>
chicoどうぶつ診療所HP
Instagram:@chico_ah_323
Amebro:https://ameblo.jp/tinkerbell19850323/
1.【年齢別】柴犬の餌の量と食事回数
以下は350kcalのフードを与えると仮定して計算した食事量の一覧表。柴犬の餌の量はライフステージによって大きく変化するため、まずは年齢ごとの目安給餌量を把握しよう。
なお、適切な餌の量は犬の運動量やフードのカロリーによっても変わってくる。より正確な餌の量を知りたい場合は、次の章で解説する計算方法をチェックして。
1-1.子犬
月齢 1日の餌の量 1日の食事回数
生後2カ月 約137g 3~5回
生後3カ月 約162g 3~4回
生後4カ月 約157g 3~4回
生後5カ月 約178g 3~4回
生後6カ月 約200g 2~3回
生後7カ月 約210g 2~3回
生後8カ月 約221g 2~3回
生後9カ月 約227g 2~3回
生後10カ月 約185g 2~3回
生後11カ月 約194g 2~3回
体が急激に成長する子犬期は基礎代謝が高く、多くのエネルギーを必要とする。その反面、消化器官は未熟で一度に多くの餌は食べられない。そのため、生後5カ月までの子犬の餌は1日3~5回、生後半年以降は1日2~3回を目安に与えよう。
子犬期のドッグフードは、なるべく高栄養で子犬でも食べやすい粒サイズのものがおすすめ。必要な栄養を十分摂取できるよう、栄養価の高いパピー用フードを選んで。
1-2.成犬(避妊・去勢済)
1日の餌の量 1日の食事回数
約128~183g 2~3回
生後12カ月を迎える頃には消化器官も成熟し、一度に多くの餌を食べられるようになっている。体重や体型も安定しているため、食事回数は1日2~3回を目安に与えよう。
なお、犬は体の大きさによって成犬期の長さに違いがある。一般的に、体重10kg以下の小型犬は8歳まで、体重11~25kgまでの中型犬は7歳までが成犬期とされる。柴犬の大きさは個体差が大きいため、小型と中型どちらに分類されるかは体重で判断して。
1-3.老犬(避妊・去勢済)
1日の餌の量 1日の食事回数
約96~137g 3~4回
老犬期は内臓機能が落ち、消化吸収力が衰える時期。一度に食べられる量が減るため、餌は1日3~4回与えると胃腸の負担を少なくできる。
また、犬は寿命の約2分の1を過ぎると中高齢期(シニア前期)、約3分の2を過ぎると高齢期(シニア後期)と呼ばれる。中高齢期は代謝や運動量が落ち若い頃より太りやすくなるため、1日の食事量には注意しよう。
2.適切な柴犬の餌の量を計算する方法
ドッグフードのカロリーは商品によって違うため、上の表に記載の食事量はあくまで目安程度にチェックして。より正確な餌の量を知りたい場合は、「犬の体重」「フード100gあたりのカロリー」「活動係数」をもとに、以下の計算式で正しい給餌量を求めよう。
なお「犬の体重」には、現在の体重ではなく理想体重を入れるのがポイント。ただし、現在すでに肥満状態で、理想体重とかなり差が出てしまっている場合は、近々の理想体重で計算しよう。最終的な理想体重で計算すると、摂取カロリーが抑えられすぎて代謝が落ちてしまうおそれもあるので、ダイエット計画に沿って徐々に調整していって。
1日当たりの給餌量(g)
=DER(kcal)÷フードのカロリー(kcal/100g)×100
DER(1日あたりのエネルギー要求量)=RER(kcal)×活動係数
RER(安静時エネルギー要求量)=(体重×30+70)
<年齢別の活動係数> ※犬の状態や生活ごとに設定された数字
子犬(生後3カ月まで)……3.0
子犬(生後4~9カ月)……2.5
子犬(生後10カ月~1歳)……2.0
成犬(避妊去勢済)……1.6
成犬(避妊去勢なし)……1.8
老犬……1.4
<例>
体重5kgの避妊去勢済の成犬、フードのカロリー300kcal/100gの場合
RER=5×30+70=220
DER=220×1.6=352
352÷300×100=約117g
3.柴犬の餌の量が不適切なことで起こる問題
柴犬の餌の量が合っていないと、さまざまな問題が起こる可能性がある。不適切な量を与え続けた結果、体調を崩したり病気になりやすくなったりすることもあるため、普段の給餌量は十分注意しよう。ここでは、誤った量の餌を与えるリスクについて解説する。
3-1.肥満
与える餌の量が多い場合、犬はカロリーオーバーによる肥満を起こしやすくなる。肥満は糖尿病や心臓病、膵炎などさまざまな病気のリスクを高め、犬の短命につながりやすい。
また腰や足を痛めたり、首回りの脂肪で気道が狭くなったりすると、動くのを嫌がって更に太りやすくなるという悪循環を生み出すことも。犬の生活レベルを下げてしまうので注意しよう。
3-2.栄養不足
餌の量が少ないと、柴犬にとって必要な栄養やエネルギーを十分摂取できない。栄養不足は貧血や食糞、誤食などを引き起こすうえ、気力の低下や毛艶の悪化にもつながる。歯が欠ける、抜けるなどの症状がみられることもあり、犬の健康に大きな影響がある。また、栄養不足によって食事の栄養バランスが傾き、不要なものまで溜め込んでしまう体になり、肥満になってしまう場合も。
3-3.胃腸への負担
食べすぎは消化不良を引き起こし、犬の胃に大きな負担がかかる。食べ過ぎている状態が習慣化すると胃腸が十分に休めず、胃もたれや食欲不振を起こすことも。
また、人と比べると犬は胃酸の働きが強く、空腹による胃酸過多が原因で嘔吐することも珍しくない。空腹嘔吐が慢性化すると胃炎や胃潰瘍につながる恐れがあるため、餌の量には十分注意しよう。
4.柴犬の餌の量が合っているか確認する方法
同じ体重や年齢の犬同士でも、適切な食事量はその犬によって変わる。運動量などその他の要因も大きく関わるため、必要なエネルギー量には差があることを覚えておいて。現在の餌の量が合っているか判断するには、以下をチェックしよう。
4-1.体重をチェック
体重は餌の量が合っているか確認するための重要な指標になる。まずは動物病院や自宅で犬の体重を量り、平均体重を超えていないかチェックしよう。
なお、体重が適正でも、脂肪太りをしているというケースもある。体重だけでなく、BCS(ボディコンディションスコア)も重要。
柴犬の平均体重はオス9~11㎏、メス7~9㎏。犬の理想体重は体格や筋肉量によっても変わるものの、平均体重を大きく上回っている場合は食習慣を見直すといいかも。子犬は月齢によって体重の変動幅が変わるため、チェック時は以下の表を参考にして。
柴犬の子犬の月齢別平均体重
生後1カ月……1.0~2.0kg
生後2カ月……3.0kg
生後3カ月……4.0kg
生後4カ月……5.0kg
生後5カ月……6.0kg
生後6カ月……7.0kg
生後7カ月……7.5kg
生後8カ月……8.0kg
生後9カ月……8.3kg
生後10カ月……8.5kg
生後11カ月……9.0kg
4-2.実際の肉付きをチェック
実際の肉付きをみれば、餌の量が合っているか判断しやすい。犬の体型を判断するには、BCS(ボディコンディションスコア)が役に立つ。BCSでは見た目と触った感覚で「痩せ過ぎ」「適正」「太り気味」「太り過ぎ」を評価する。犬の健康管理では、太りすぎだけでなく痩せすぎにも注意し、適正体重を維持することが大切。
チェックポイントは「上からの見た目」「横からの見た目」「肋骨」「腰」の4つ。手で触れたときに肋骨がわかる状態で、上から見たときに肋骨の後ろに腰のくびれが見られ、横から見たときに腹部の吊り上がりが見られれば、理想体型と言える。
4-3.便の状態をチェック
健康的な犬の便は、バナナ状で地面に汚れがほとんどつかない程度の硬さ。水分が多く、拾い上げると床に残ってしまうような軟便をする場合は、餌が多すぎる可能性がある。
反対に水分が少なくヒビが入っていたり、うさぎの糞のように小さくコロコロした硬い便をしたりする場合は、餌が少なすぎるかも。犬の体調や食事内容によっても便の状態は変わるが、餌の量を確認するひとつの目安としてチェックしてみよう。
5.柴犬の餌の量を決める時の注意点
柴犬の餌の量を決めるうえで注意したいポイントは大きく4つある。柴犬の健康を正しくサポートできるよう、餌の量はすべての注意点を押さえて決めることが大切。ここでは、それぞれのポイントについて詳しく解説する。
5-1.成長期はこまめに体重を測る
成長期は毎日体重が変化するため、なるべくこまめに体重を量ることが大切。毎日量る習慣をつけたり、何日に1回は測定するなどのルールを決めたりすると続けやすい。
およそ8カ月齢以降は成長のペースが緩やかになり脂肪組織の発達が進むため、この時期に餌をあげすぎると脂肪細胞が増えすぎる。その結果、太りやすく痩せにくい体質になってしまう可能性があるため、食事量の管理は徹底して行おう。
5-2.おやつを与えるなら餌の量は減らす
おやつを与えるなら、そのぶん餌の量も調整して。1日に与えてもよいおやつの量は「1日の最適カロリー量の10%以内」が目安。上で紹介したカロリー計算式を使って摂取カロリーを求め、おやつと餌はその範囲内で与えるようにしよう。
5-3.避妊、去勢後は与える量を調整する
避妊や去勢の前後ではエネルギーの消費量が異なるため、餌の量も変更する。繁殖のために必要な性ホルモンが分泌されなくなるため、1日に必要なカロリーは避妊や去勢前と比べて8割前後に下がる。手術前と同じ食事量を与えているとカロリー過多になり、肥満になる可能性が高まるため、与えすぎには注意しよう。
5-4.フードのパッケージに記載の給餌量は参考程度にする
ドッグフードのパッケージにはメーカーが推奨する給与量が記載されているが、これは参考程度にチェックして。パッケージ記載の給餌量は体重と成長段階だけで計算したものであり、避妊、去勢の有無や活動量は考慮されていない場合が多い。
パッケージの給餌量をもとに与える場合は、犬の体重や体型、便の状態など様子を見ながら量を調整しよう。痩せているにもかかわらず適正量を食べきれないときは、今のドッグフードよりカロリーや脂質が高いものに変更すると適正体重をめざしやすい。