オフィスがたくさん集まる街、茅場町〜人形町エリアには、わざわざ通いたくなる、ここだけの味に出会えるパン屋さんが点在。そこで今回は高加水で作られるこだわりのパンからバターロールの専門店、100年以上続く老舗ベーカリーなど、おすすめのパン屋さんを5つご紹介! お気に入りのパンに出会いに行こう。
【JET BAKER/Higu 日々、くらし、パン】高加水のワザが実現するもちもちパンランチで至福の時間
もっちりとろける食感の、“高加水パン”の最高峰
2021年初め、パン呑みのできるレストラン「JET BAKER」が、かねてより人気だった高加水パンを「Higu 日々、くらし、パン」という名でリブランディングして販売を開始。小麦粉の分量に対して、100%以上の水が入る“日暮式高加水パン”とも言われるパンは、もっちりとしていながらもとろけるような食感が特徴的。これは、店主の日暮勝秋さんが10年以上かけてたどり着いた唯一無二の味わいだ。
「三軒茶屋にある『シニフィアン・シニフィエ』の志賀勝栄シェフの高加水パンに衝撃を受けたのがパン作りとの出会い。本人にもレッスンを受けながら高加水パンを作っていたのですが、高加水パン作り、特に水分たっぷりの生地の成形に必要とされる大きな発酵機はレストランの厨房には置けなくて。そんなとき、じゃがいものスープを仕込んでいたら、生地をまとめる働きがあるビタミンCの豊富なじゃがいもがパン作りに使えるのではとひらめいたんです」。
ランチでも供される日暮式高加水パンは、プレーン、葉唐辛子の佃煮とクルミ、黒糖、ラムレーズン、いちじくなど5〜6種類を日替わりで販売する。合わせる具材によって、小麦粉や水といった材料の配分も変えるこだわりっぷりにも脱帽だ。
おいしい“高加水”POINT
小麦粉に対して100%以上の水分を含む生地は、水のようにトロトロ。それを成形するために生地の弾力を強め、保水力のあるじゃがいもを使う。日暮さんは試行錯誤の末、メークインを採用する。
通常3時間ほどかかる発酵時間を半分に短縮した高加水パンは、みずみずしく口に入れた途端にとろける。国産小麦のみのシンプルな素材で作られるから、小麦のうまみをダイレクトに感じられる。
DATA
住所/東京都中央区新川2-1-3 COSMY新川1F
営業時間/11:30~14:00(L.O.13:30)17:30~23:00(フードL.O.22:00、ドリンクL.O.22:30)※土曜のランチは12:00~14:30(L.O.14:00)
定休日/月・日・祝日
席数/20
アクセス/茅場町駅より徒歩3分
【PARKER HOUSE BUTTER ROLL】仲よしチームで作りあげる究極のバターロール専門店へ
アラサー男子3人が作るバターロールを指名買い
オフィスワーカーが集うグルメビルの1階に、2021年11月に誕生したバターロール専門店「PARKER HOUSE BUTTER ROLL」。店内に並ぶのは食べ応え満点の惣菜パンに菓子パン、そして店名を冠したバターロールだ。オープン間もないながら、このバターロール目当てに町の人がひっきりなしに訪れる。そんなパンを作るのは、なんとパン業界未経験のアラサー男子3人。同じ会社の飲食店でバリスタ、イタリアンのシェフ、サービスマンとして働いていた彼らが一念発起し、お金のない下積み時代によく食べていたバターロールに向き合うことに。
「ゼロからのスタートだったので、知り合いのパン屋さんで修業させてもらって、3人で集まっては試作を繰り返して。いろいろ試した結果、生地を一晩寝かせて作るポーリッシュ製法にたどり着きました。パン作り未経験だからこそ手間のかかる作り方を取り入れられ、結果的に究極のバターロールができあがりました」。
バリスタで店長の三澤零さんがこう語るように、小麦の甘みと、バターのコクと香りが広がり、しっとりやわらかな口当たりのバターロールは、まさに究極の味わい。ひと口ほお張れば、ひとたびに幸せな心地が訪れる。
おいしい“専門店”POINT
バターロールの生地は、小麦粉の香りと味わい、うまみを引き出すため、熟成発酵種と純天然のアルカリイオン水を採用する。もっちりとした食感を生み出すため、湯種を使う。また通常のバターロールと違って生地にバターを練り込むだけでなく、さらにバターの塊を巻き込むことで、サクッとした食感とバターの香ばしさをプラスしている。
DATA
住所/東京都中央区新川1-1-7 GEMS茅場町1F
営業時間/7:30~19:00 土曜9:00~17:00
定休日/日・祝日
席数/30
アクセス/茅場町駅より徒歩2分
【こちらもチェック!】茅場町〜人形町エリアがパン&ドーナツ激戦区になってきました
100年以上変わらずここに
大正10(1921)年から続く老舗ベーカリー。サンドイッチをはじめ、菓子パンや惣菜パンが100種類以上も並ぶ。お手製カスタードクリームがたっぷり入ったクリームパン(120円)と、自家製のピーナツクリームとこしあんをのせたなかよしコンビ(180円)がおすすめ。
サンドウィッチパーラー まつむら
住所/東京都中央区日本橋人形町1-14-4
営業時間/7:00~18:00 土曜~13:00
定休日/日・祝日
席数/18
アクセス/水天宮前駅よりすぐ
見るも楽しい胸きゅんパン
銀座の有名ブーランジェリーでシェフを務めた割田健一さんが開いた人気ベーカリー。この冬の注目は、生地をバゲッドへとアップデートさせた九州の明太フランス(280円)。ザクっとした歯切れがやみつきに。おつまみにも最適な鹿のミートグラタン(450円)もぜひ。
BEVER BREAD
住所/東京都中央区東日本橋3-4-3 1F
営業時間/8:00~19:00 土・日・祝日~18:00
定休日/月・火曜
アクセス/馬喰横山駅より徒歩3分
パティスリー「ease」の姉妹店が誕生
都内の名店で腕を磨いた新進気鋭のショコラティエとパティシエによるチョコレートとアイスクリームの店。濃厚でフルーティな酸味のチョコレートクリームが入ったアマゾンカカオのドーナツ(500円)は、ふわふわもっちりの生地で最後のひと口までおいしい。
teal
住所/東京都中央区日本橋兜町1-10 日証館1F
営業時間/11:00~18:00
定休日/水曜
席数/8
アクセス/茅場町駅より徒歩5分
※オズマガジン2022年2月号「東京パンさんぽ」の記事を一部転載
※掲載店舗などの情報は、取材時と変更になっている場合もあります。最新の情報は公式HPにてご確認ください
オズマガジン2022年2月号は「東京パンさんぽ」特集
変わり続ける東京のパンの世界。今号では、今年のパンの潮流がわかるキーワードと共に、注目のベーカリーがある6つの町をご案内します。またさんぽmagazineでは人気の町「蔵前~浅草橋」を、歴史から最旬情報まで網羅。保存版の1冊。
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PHOTO/AYA MORIMOTO、WRITING/MAKI FUNABASHI