ここ数年でイタリアのパンを販売するお店が東京に続々とオープン。そこで今回は、祖師ヶ谷大蔵エリアのイタリア料理店が手がける注目のベーカリーを2軒ご紹介します。ほかでは見かけない珍しいイタリアパンをぜひ味わって。
【REGINA】至高のイタリアパンを生み出すブーランジェと料理長のタッグ
イタリアのパン文化をおいしく楽しく提案
イタリアレストランを展開する企業のオーナーが、本場のパンの楽しみ方を提案するパン屋をオープン。ひときわ目を引くのが、絵本に出てきそうな丸くて大きなパン。これぞまさにイタリアパンを象徴している。
「イタリアでは大きなパンを丸ごと買って、時間をかけて少しずつ食べるんです。大きく焼くことでしっかりと味のある皮に仕上がり、パリッとした皮としっとりとした中の弾力とのコントラストが出て、よりおいしくなるんです」とは、無類のパン好きであるオーナーの藏野隆朗さん。
国内のパンを食べ歩き、理想の味わいをシェフブーランジェの永井智和さんが再現。皮の弾力ともちもち食感を楽しめるプリエーゼや、全粒粉とライ麦を配合したカンパーニュは、試作を何度も繰り返した渾身の逸品だ。もうひとつの魅力がサンドイッチ。具材は系列店の「ボガマリ・クチーナ・マリナーラ」の料理長、佐藤亮平さんが担当。永井さんが作るパンとの相性を探りながら、レストランで仕入れる魚やポルケッタなどが合わさる。うまみが凝縮した天然酵母のパンに極上の具材が相乗の美味を奏でて、口いっぱいに幸せがじんわり。おいしく楽しいイタリアパンの世界に、きっと魅了されるはず。
おいしい“イタリア”POINT
【POINT.1】ホールで買うのが本場のスタイル
1個を大きく焼きあげるのがイタリアパンの特徴。なかでもセモリナ粉を使用したプーリア州の田舎パン「プリエーゼ」は本場の気分を味わえる1品。食事との相性がいいので、ホールで買ってパスタやスープと一緒に召し上がれ。
【POINT.2】イタリアンの絶品料理が、サンドの具材に!
サンドイッチの具材は、イタリアレストラン「ボガマリ」の料理長・佐藤さんが監修。ポルケッタをはじめチーズカツレツや自家製ローストポーク、スモークサーモンなどスペシャリテ級の具材を挟んだ贅沢なサンドイッチを味わえる。
【POINT.3】天然酵母で追熟。味わいの変化を楽しめる
自家製のりんごの酵母やプラムの酵母をパンの種類によって使い分け。天然酵母で作るから、日にちが経つに連れ酸味が増すなど味わいの変化を楽しめる。それも、時間をかけて大きいパンを食べる楽しみでありおいしさにつながる。
DATA
住所/東京都世田谷区砧3-4-4
営業時間/9:00~20:00
定休日/火・第2、4月曜
アクセス/祖師ヶ谷大蔵駅より徒歩15分
【La porta di Fiocchi】イタリア郷土料理店による絶品パニーニサンドをめざして
本場の食文化を伝える小麦香るイタリア郷土パン
祖師ヶ谷大蔵の「Fiocchi」といえば食通たちも遠方から足を運ぶイタリア料理の名店。そのエントランスに2021年10月、惣菜とパンを販売する「La porta di Fiocchi」が誕生した。以前からパネットーネを売る場所が欲しかったこと、コロナ禍でのテイクアウト需要、そして「昔からパン職人になりたかった」というオーナーシェフ堀川亮さんの夢を重ねて、創業20年目に新たな魅力が加わった。
堀川さんが焼きあげるのはフォカッチャやチャバッタをはじめ、セモリナ粉を使ったシチリアパンや、国産全粒粉を用いて作るパンなどイタリアを代表する郷土パンの数々。「フランスのリッチなパンと違ってイタリアのパンは素朴さが魅力。軽やかで食事によく合い、一緒に食べることでパンのおいしさが発揮されます」。1個を大きく焼きあげ、甘さ控えめで小麦の香りやおいしさを楽しめるのも特徴だ。店にはレストラン仕込みの具材がのるオープンパニーニやグラタン、トリッパのトマト煮込みなどの惣菜が並ぶ。パンをきっかけに、レストランにも行きたくなる逸品づくしだ。「今後はスタンディングバルも展開予定」と堀川さん。祖師谷で小さなイタリアを楽しめる日が待ち遠しい。
おいしい“イタリア”POINT
【POINT.1】セモリナ粉や全粒粉など小麦粉を使い分け
シチリアパンには、小麦の香りがしっかりとしたイタリア産のセモリナ粉を。北イタリアの田舎パン・ルスティコには、茨城にある安部農園の全粒粉を使用。種類によって小麦を使い分け現地の味や風味を再現している。
【POINT.2】パン生地に適したオリーブオイルを使用
フォカッチャやグリッシーニなど、生地にオリーブオイルを練り込んだパンが多いのもイタリアパンならではの特徴。小麦の風味や求める食感に合わせ、酸が強すぎずバランスがいいバージンオリーブオイルを厳選して使用している。
【POINT.3】パンは大きく焼いて数日かけて食べる
毎日の食事に欠かせないパンは、大きく焼いて数日かけて食べるのが現地のスタイル。フォカッチャは高加水でどっしりモチッと、ルスティコはふんわりもちっと食感に。時間が経ってもおいしく食べられるレシピで焼きあげる。
DATA
住所/東京都世田谷区祖師谷3-4-9
営業時間/11:00~16:00
定休日/水・木曜
アクセス/祖師ヶ谷大蔵駅より徒歩5分
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※オズマガジン2022年2月号「東京パンさんぽ」の記事を一部転載
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PHOTO/YUKO CHIBA、WRITING/AYANO SAKAI