懐かしい町、海の匂い、素朴なパンが誘う物語
海をさんぽしたいなと思い立ったら、江ノ電に乗って腰越に直行しよう。できれば、鎌倉ではなく藤沢駅方面から乗ってみて。実は江ノ島〜腰越駅の間だけ、電車が路面を走るのだ。歩く人や商店すれすれに、歩くようにゆっくり進む江ノ電から町を眺めれば、まるで昭和時代のような、レトロな異国にプチトリップしたかのような気分になれるはず。
駅に着いたら観光客はあまり足を向けない海とは反対側へ。地元っ子気分で歩くこと数分で「KOMOPAN」へたどり着く。パカ(=バター)のサンドに、子供のお腹のようにぷっくりふくれたオプ(=お腹)というフォカッチャなどハワイ語のパンもあり、どれも夏のロコのように色よくこんがり焼けておいしそう。
「ハワイの小さな田舎町を舞台にした『ホノカアボーイ』という映画が大好きで、お店はその中に出てくる映画館をイメージして作りました」と話す店主の小森夫妻。
ドーナツみたいなマラサダも映画の中で出てくるアイテムだ。砂糖をまぶした揚げパンの中にクリームがたっぷり。でも重くないし甘すぎない。素朴だけれど懐かしいような、なんだか胸に残る小麦の風味。
小森さんの焼くパンは国産小麦をパンに合わせて何種もブレンド。香りも味も甘く、もっちりした食感で、かめばかむほどおいしい。「国産小麦は個性が豊か。毎年味が微妙に変わるけれど、そこがおもしろい。仕込みを変えたり工夫をしたり、職人冥利につきる」と小森さん。アメリカっぽく大きく焼いているのも生地にしっかりと風味を閉じ込められるからだそう。
汐風に誘われるまま、揚げ立てのマラサダをほおばりビーチを気ままにおさんぽしよう。いい意味で田舎っぽさが残る町だからこそ、潮騒と甘いパンの香りが映画のような世界へ誘ってくれるのだ。
腰越/ベーカリー KOMOPAN コモパン
電話番号/0467555142
住所/神奈川県鎌倉市腰越4-9-4ケイ湘南Ⅲ103
営業時間/8:30~17:00(売り切れしだい終了)
定休日/日・月曜(月祝の場合翌休)
アクセス/腰越駅より徒歩7分
【腰越~江ノ島周辺】あわせてよりたいおすすめスポット3選
「腰越はシラスの町、ビーチの目の前から江の島が見えます。『ホノカアボーイ』の舞台のようなほのぼのした港町で、いまだに江ノ電が町の真ん中を走るのを見るたびにワクワクします」と店主の小森さんご夫婦。
お蕎麦 結
「すぐご近所の、ご夫婦でやっているお蕎麦屋さん。コシがあって風味がよく、おいしいですよ」。
小籠包 千
「家族でよく食べに行く飲茶の店です。小籠包はもちろん、なにを食べてもほっとする手作りの味」。
イグル氷菓
「フルーツそのものの味が楽しめるかわいいアイスキャンディ屋さん。素材の味が活きています」。
OZmallからのお願い
新型コロナウイルスの影響により、イベントの中止・変更、ならびに施設の休業、営業時間の変更、提供内容の変更が発生しております。日々状況が変化しておりますので、ご不明点がございましたら各施設・店舗へお問い合わせください。
外出時は、ご自身の体調と向き合いマスク着用のうえ、各施設の3密対策・ソーシャルディスタンス確保などの衛生対策にご協力のうえ、思いやりを持った行動をお願いします。
※オズマガジン2021年5月号「やっぱり鎌倉が好き」の記事を一部転載
※掲載店舗などの情報は、取材時と変更になっている場合もございますので、ご了承ください。
オズマガジン2021年5月号は「やっぱり鎌倉が好き」特集
山も海もほど近く、歩いて巡れる古刹も残る鎌倉。加えてこの町のお店や暮らす人々には、自分のスタイルを大事にする人が多く、お手本にしたい豊かな時間のヒントがそこかしこに。丁寧に作られたごはんやおやつに日々を彩る雑貨…。おうち時間が楽しい今だからこそ、あらためて鎌倉の魅力を再確認。小さな幸せを確かめ歩く、春の鎌倉さんぽへいざ。
※新型コロナウイルスの国内状況により、店舗・施設の営業時間の短縮や臨時休業、座席数の変更などがある場合がございます。最新の情報は、各店舗・施設にご確認ください
オズマガジン掲載の関連記事を見る
PHOTO/SAORI KOJIMA WRITING/KAORI MINETSUKI