おいしいだけにとどまらない、心も体もほっこり温まるやさしい想いを持つ店主たち。そんなぬくもりに出会える店をクローズアップしてお届け。今回はブレッド&ミールズというスタイルにこだわった「TENERA BREAD & MEALS」をご紹介。パン+αの最高においしくて幸せな味を満喫して。
パンと料理が生みだす、最大多数の幸福の味
「子供の頃から“最大多数の最大幸福”について考えてきました」と哲学的な言葉を選ぶ店主の田中さん。ファッションデザイナーからパン職人に転身したのも、生活全体から幸せを提案したいという想いが高まり、生きる根幹である食の世界を選んだという。
TENERAのパンは信頼を寄せる生産者が育てた無農薬栽培の小麦を原料に、店内の石臼で好みの粗さに自家製粉。挽きたての粉は香り高く、粗い粉・細かい粉のテクスチャーの違いも楽しいし、かむほどに小麦の甘さが心地よく押し寄せる。
例えば全粒粉のクロワッサンは空気を食べるようなものとは一線を画す、小麦の生命力を形にしたかのような力強くも深い味わい。そんなパンだけでも十分魅力的なのだが、選んだのはブレッド&ミールズというスタイル。
「料理家として活躍するアリスさんと出会って、おいしいはもちろんのこと“+α=健康”を意識するように。できるだけ栄養価の高いパンを焼き、でもそれだけでは足りない栄養をパンと相性のいい料理と一緒に味わって欲しい」
田中さんのパンに呼応してアリスさんが作るカレーは、季節の無農薬野菜がたっぷり。秋は低温でじっくり甘さを引き出した焼きイモと発酵豚の具沢山カレーが登場し、うまみをぎゅっと閉じ込めたハード系のパンに見事にマッチ。白味噌が隠し味の卵サンドなど、料理とパンの異色でいて納得のコラボがいろいろ楽しめる。
さぞや味の趣味が似ているんですねと聞くと「好みは正反対!」とふたりから反論される。田中さんが自信満々に作った新作パンも、アリスさんの甘くない判定で舌触りや余韻など改善の提案が出る。その反対もしかり。でもだからこそ自己満足で終わらない、さらに高みをめざした“最高においしい味”に磨かれるのだ。真逆なふたりが納得した味をほおばれば、パン+αの幸せがほっこりと胸に届くはず。
※オズマガジン2021年1月号「しあわせのパン」の記事を一部転載
※掲載店舗などの情報は、取材時と変更になっている場合もございますので、ご了承ください
- スポット名
- TENERA BREAD&MEALS テネラ ブレッド アンド ミールズ
- 電話番号
- 0359819822 0359819822
- 住所
- 東京都文京区白山4-37-37
- 営業時間
- 10:00-19:00 ※売り切れしだい終了
- 定休日
- 水(不定休あり)
- 交通アクセス
- 白山駅・千石駅より徒歩7分
オズマガジン2021年1月号は「しあわせのパン」特集
お腹も心もあたたかく満たす、身近な小さな幸せの最たるものであるパンが盛り上がっています。素材やシェフのクオリティも高まり、専門化・多様化した新店も続々。アレンジレシピやバターやジャムとの相性で、可能性は無限大に。今行きたいパン屋さんガイドと、パンのおともや道具、グッズまで、広がるパンの楽しみ方をまとめてお届けします。
発売日/2020年12月11日(金) 価格/700円
※新型コロナウイルスの国内状況により、店舗・施設の営業時間の短縮や臨時休業、座席数の変更などがある場合がございます。最新の情報は、各店舗・施設にご確認ください。
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PHOTO/MASAHIRO SHIMAZAKI、WRITING/KAORI MINETSUKI