おいしいだけにとどまらない、心も体もほっこり温まるやさしい想いを持つ店主たち。そんなぬくもりに出会える店をクローズアップしてお届け。今回は光に包まれ気持ちよさそうにパンが並ぶ「かいじゅう屋」。葛西駅からバスに乗車し、最寄のバス停からは徒歩5分。そこには、わざわざ通いたくなるパンが待っている。
家族一丸となって生み出したパンの世界
土手の芝草がそよそよと風にゆれ、抜けるような青空にときおり鴨やカモメが飛び交う。そんなほのぼのとした川のほとりに新しく根をおろした「かいじゅう屋」。
「約20年ぶりに帰ってきた江戸川は僕にとって“居るべき場所”だと感じています。そして、パン屋としてスタートラインにやっと立てた気がします」と話す店主の宣之さん。創業の地・目白も移転先の立川も、発酵に時間をかけるため週3〜4日のみの営業だが、いずれも熱烈なファンを集めた。そんな人気店が、故郷である江戸川に移転したのは2020年の秋のこと。これまではカンパーニュなどハード系の、小麦と酵母をとことん突き詰めたシンプルなパンを焼き続けてきた。そんな食事パンに加え、新天地ではふんわり甘くやさしげな菓子パンも並んでいる。
そんな人気店が、故郷である江戸川に移転したのは2020年の秋のこと。これまではカンパーニュなどハード系の、小麦と酵母をとことん突き詰めたシンプルなパンを焼き続けてきた。そんな食事パンに加え、新天地ではふんわり甘くやさしげな菓子パンも並んでいる。
「環境が変わって執着や力みが消え、食べ手に寄り添ってパンの幅も広がりました。パン好きの方はもちろん、誰もがまた食べたいと思えるパンを今は焼きたい」。
その象徴とも言えるのがメロンぱん。娘のはなちゃんが「お店の名物を作らないと!」とメロンパンの理想の皮のレシピを探し出し、自分でも実際にパンを焼いてプレゼンしてくれたそう。はなちゃんはなんと、まだ小学6年生。
「どうやったらお客さんが喜ぶかもっと考えなきゃだめ!って、お父さんのお尻を叩くの」と笑って話すパートナーの美香さん。宣之さんは苦笑いしつつも、はなちゃんの作ったアレンジなしの素直なパンにおもしろさを感じたり、新しい発見があったり。はなちゃんのレシピを夫婦ふたりでブラッシュアップし、試行錯誤して名物のメロンぱんが誕生したのだ。ニッキが鮮烈に香るシナモンロールも親子コラボで生まれたヒット作。
家族一丸、食べる人の喜ぶ顔を思い作られたパンたちは、これからもどんどん種類を増やし、きっとこの町で長く愛されていくのだろう。家族とともに成長を続けるかいじゅう屋のパンは、ふんわりやさしくてどこか幸せな味がした。
OZmallからのお願い
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※オズマガジン2021年1月号「しあわせのパン」の記事を一部転載
※掲載店舗などの情報は、取材時と変更になっている場合もございますので、ご了承ください
オズマガジン2021年1月号は「しあわせのパン」特集
お腹も心もあたたかく満たす、身近な小さな幸せの最たるものであるパンが盛り上がっています。素材やシェフのクオリティも高まり、専門化・多様化した新店も続々。アレンジレシピやバターやジャムとの相性で、可能性は無限大に。今行きたいパン屋さんガイドと、パンのおともや道具、グッズまで、広がるパンの楽しみ方をまとめてお届けします。
発売日/2020年12月11日(金) 価格/700円
※新型コロナウイルスの国内状況により、店舗・施設の営業時間の短縮や臨時休業、座席数の変更などがある場合がございます。最新の情報は、各店舗・施設にご確認ください。
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PHOTO/MASAHIRO SHIMAZAKI、WRITING/KAORI MINETSUKI