OZmagazineの中のこと

「新しい東京・日本橋」特集の中のこと5

更新日:2017/12/06

このページでは、毎号のオズマガジン制作の編集後記のような、こぼれ話のような、誌面に載せきれなかったサイドストーリーを編集部員が少しずつご紹介しています。今回の担当はタキセです。「新しい東京・日本橋特集」の舞台裏をお届けします。

今回私が担当したのは、巻頭の人形町・浜町エリア。東京駅からも徒歩圏内の都心で、タワーマンションや新しい店がどんどん増えていながら、川や公園など自然にも恵まれ、下町風情も漂う注目のエリアです。今日は、ページ制作中の忘れられない3つの思い出について、お話しさせてください。

大正時代に創業した文具店が2年前に雑貨店「MUCCO」としてリニューアル。犬張子からハンバーガーまで、人形町名物を刺繍した「人形町ハンカチ」各756円

思い出1:地元密着リサーチ編

取材先のお店の方や、読者の方によく聞かれるのが、「どうやって情報を探しているの?」という質問。お店やスポットの情報は大事な素材。その集め方は、本当にさまざまです。

ネットも駆使し、書籍や雑誌なども参考にしますし、外部の信頼できるスタッフさんに調べていただくこともあります。でもやっぱり、自分で直接聞いたり味わったり感じたりした生の情報がいちばん。わかったふりをせずに、なるべく現地に足を運んで体験して得た情報を大切にしていきたいと思っています。

例えば今回は、私の親友が浜町在住だったため、地元情報をたくさん聞きました。人形町の名物が刺繍された「人形町ハンカチ」もそのひとつ。ほかのメディアで紹介されていたのを知っていましたが、地元の彼女も実際にプレゼントなどに活用していることを聞き、これは間違いないと確信。

さらに紹介してもらった親友のママ友は、老舗のお好み焼き店に生まれ育った生粋の人形町っ子。ここ数年で増えた、新しいお店たちのことを、少々オフレコな裏事情もあわせて教えてくれました。

親友という強力な助っ人は例外としても、どんな特集でも現地の生の声をなるべくたくさん聞かねばと、気持ちを新たにしました。

ビビッドなカラーとデザインが光る「PAPIER TIGRE」のアイテム。封筒のように見えるのは代表的アイテム、プリポスタル3132円(セット)

思い出2:少年のまなざし感じた取材編

人形町・浜町エリアのトップバッターで紹介したのが、この夏浜町に誕生したブックカフェ&シェアオフィス「Hama House」とパリ発のプロダクトブランドのショップ「PAPIER TIGRE」。ともに、地元創業の安田不動産が手がける町づくりのプロジェクトの一貫で誕生しました。

今回は、Hama Houseをプロデュースしたgoodmornings代表の水代さんと、安田不動産のご担当者・平田さんとの対談取材をお願いしました。水代さんは、以前は中目黒にオフィスを構えていましたが、このプロジェクトを機に最近浜町に移転したばかり。

「だって今、東京は『イーストサイド(東側)』がアツいでしょ。ニューヨーク、ロンドン、パリ・・・世界中の都市がみんなそう」と、断言。

この人形町・浜町エリアも含め、ここ最近のイーストーキョーの盛り上がりは言わずもがな。とはいえ、実際に東に動いた水代さんに、目の前で高らかに宣言されたので、東京の西側に暮らす私とライターさんは動揺を隠しきれませんでした・・・。

水代さんのこのピュアなまっすぐさは、まるで少年のよう。さらに平田さんとおふたりで町づくりの未来を語るときは、やはり少年たちが秘密基地計画を企んでいるかのようなキラキラしたまなざしに。聞いているこちらまで、なんだかわくわくしてきました。新たな町づくりはまだスタートしたばかり。その原点とも言える「Hama House」と「PAPIER TIGRE」にぜひ足を運んでみてください。

戦後すぐに開業した「招福庵」はレトロな雰囲気。攻めの変わり種メニューは季節によって変わりますが、取材時はサーモンそば900円

思い出3:ほっこり人情出前編

グルメページで、浜町のそば店「招福庵」に取材をお願いしました。老舗らしからぬ攻めたメニューが特徴的で、中には具材にトマトやりんごを使ったそばも。メニューは、すべてご主人の村田さん(推定70代)のオリジナル。

ライターさん経由で、電話で取材のアポイントを入れてもらいました。すぐにお返事がもらえなかったので、お店に直接行ってお願いしてみようかなと思ったころでした。ある朝出社してみると、デスクに編集部のスドウからのメモが。「先ほど招福庵のご主人が編集部にいらっしゃいました。取材OKだそうです」

!?!?

なんと、ご主人の村田さんみずからご来社! オズマガジンをご存じでなかったとのことで、書店で「銀座特集」を購入してまず本の存在を確認し、さらに編集部に挨拶するためにいらしたとのこと。私は直接お目にかかれませんでしたが、その話を聞いてまず恐縮し、また村田さんの率直さと行動力に心を打たれました。

迎えた取材当日。私も同行し、ご来社いただいたことを丁寧にお礼することからスタートし、スムーズに終わりました(サーモンそばも美味でした)。そして最後は原稿の確認。通常はメールやFAXでお送りするのですが、郵送をご希望でした。数日後、またしても編集部にお客様が・・・。

ご主人! アゲイン!

私は今回もタイミング悪くお目にかかれず、別の部署の人間が対応してくれました。結果的に修正もなしでしたし、電話1本ですむところを、わざわざ編集部まで原稿の出前に来てくださったご主人、本当に頭が下がります。

進化を続ける浜町・人形町エリアのなかでも、変わらない下町人情と温かさがここにはあります。「招福庵」のご主人は、改めてそれを教えてくれました。


思い出話にお付き合いいただきありがとうございました。こんなふうに、小さな記事にも実はドラマがいっぱい詰まった「新しい東京・日本橋特集」。これを持って町をたくさん巡っていただいたら、新たなドラマに出会えるかもしれません。

OZmagazine 12月号「週末ひとり旅」特集

OZmagazine 12月号「新しい東京・日本橋」特集

発売日
2017年11月10日(金)
価格
593円+税
販売場所
全国の書店、コンビニエンスストア、駅売店などで発売
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※記事は2017年12月6日(水)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります