「週末ひとり旅」特集の中のこと3

このページでは、毎号のオズマガジン制作の編集後記のような、こぼれ話のような、誌面に載せきれなかったサイドストーリーを編集部員が少しずつご紹介しています。今回はタキセがお届けします。

更新日:2017/10/25

ドタバタロケハン日記 in 新潟

↑誌面に掲載したメインカットは町のシンボル「萬代橋」と、新潟みやげにぴったりのおやつ「浮き星」

今回の「ひとり旅特集」でご紹介したエリアは、北は八戸から南は宮古島まで、全国津々浦々。ほかにも候補地はたくさんありましたが、編集部全員で検討を重ねて絞った選抜組です。その途中では、私が担当したエリアのひとつ「新潟」は、入るかどうかのギリギリラインでした。

新潟市の古い商店街が盛り上がっているらしいということは、メディアのほか、新潟市出身の友人やお仕事の関係者を通じて知っていました。また、数か月前に都内で開催されたとある展示会で、地元のデザイン集団「hickory03travelers」方の話を聞いたこともあり、私の中では新潟熱がフツフツとしていました。

とはいえ、これまで新潟市を旅目線で巡ったことがなく、本当に旅先としておすすめしてよいかどうか確証が持てず・・・。「これは現地にロケハンに行くしかない!」と、その週末、ひとりで旅立ってみることに。

小雨がぱらつく午前10時の新潟駅。まずは駅からいちばん近い「にいがたレンタサイクル」のステーションへ。相棒チャリを手に入れ、レインコートを羽織ったら雨も平気そうだし、なんだかどこまでも行けそうなフリーダムな気分!(しかし、この思い上がりが、後で小さな失敗につながります)

まずは「沼垂(ぬったり)テラス商店街」や「今代司酒造」など、チェックしていた注目スポットが集まる沼垂エリアへ。そして雄大な信濃川にかかる萬代橋を渡って、今度は「上古町商店街」などがある古町エリアへ。こちらは歴史ある商店街ですが、一時の勢いを失いシャッター街になりかけた時期もあったそう。でもここ数年は前出の「hickory03travelers」をはじめ若い世代がユニークなショップを構え始め、新旧の共存が楽しい商店街になっています。

ここでのんびりしすぎてランチの時間がなくなってしまったので、あわてて商店街の中の「むすびや百」でおむすびをテイクアウトして、次の目的地へ。

予想外のサイクリング

↑エフスタイルの店内。高い天井と広々とした店内に、オリジナルからセレクトまで、さまざまなアイテムが行儀よく並びます

特集のエリアとして新潟市を推したかったもうひとつの大きな理由に、「エフスタイル」の存在があります。地場産業にデザインの力を掛け算し、現代のライフスタイルに沿わせてものづくりを行うデザインチームです。

そのショールーム兼ショップは郊外にあり、検索すると上古町商店街から約5km。起伏もないし、単純計算で20分もこげば着くはず。自転車を別のステーションに返しバスで向かうという方法もあったのですが、旅のスタート時の思い上がりに加え、商店街でさらに上機嫌になっていた私は、そのまま自転車で向かいました。

雨はすっかり上がり、逆に容赦なく厳しい残暑の日差しが降り注ぎます。最初の5分くらいで、もうめげそうでした。炎天下のギアなしチャリ×日頃の運動不足は、想像を超えたマイナス方程式。とはいえ途中で相棒チャリを放り出すわけにもいかず、残りの道のりは気力でこぎきりました・・・。結局30分以上かかってしまったと思います。エフスタイルの目の前の公園でしばしのクールダウン。おむすびのおいしさと塩気がしみました。

エフスタイルでは、代表のおひとりである星野さんにお話しを聞くことができ、その姿勢やプロダクトにますます惹かれました。さっそく靴下と弁当包みを自分のおみやげに。ご自身のお仕事のことだけでなく、「勝手に観光案内所だと思っているの」と、新潟市内のおすすめスポットをたくさん教えてもらいました。一角には、星野さんたちのお気に入りのお店たちのショップカードもずらりと並んでいます。

突然ですが私には、いわゆる霊感みたいなものはまったくないですし、スピリチュアルなものも信じない方です。そんな私でも、なんとなく「いい“気”が流れているな」と感じることがたまにあります。エフスタイルで感じたのはそれでした。絶対にその場に行かないとわからないこと。これからも、なるべくたくさんの“気”を感じに、現場に足を運びたいなと思います。

帰りも、行きとほぼ同じ距離を汗だくでこいで、新潟駅へ。エフスタイルへはぜひ、バスかレンタカーで向かってください。これも、現場で体験したからこそお伝えできることです。

ロケハン&取材の旅はまだまだ続く

↑こちらは取材で訪れた大分県日田市で食べたお弁当「きこりめし」です。中心の丸太(ごぼう)を、のこぎりで切っていただきます

新潟市のロケハン話がすっかり長くなってしまいましたが、実は新潟市のあとに、お隣の三条市にも立ち寄りました。「三条鍛冶道場」では、最終受付時間を過ぎていたのにもかかわらず、職人さんのご厚意で鍛冶体験をさせていただき、ペーパーナイフを作りました。隣接する「三条スパイス研究所」のカレーも絶品でした。こちらはたてものも、まるで神殿のようで見応えがあります。

今回のロケハンは、本当にドタバタでしたが盛りだくさんで実りも多い、いい1日になりました。全体を通じて「ハッピーフィーバー」というより、お楽しみが少しずつじわじわやってきて、ひとり旅にちょうどいいと確信。こうして新潟市(+三条市)の旅は、無事、特集のラインナップに加わることに。あの汗だくのチャリ移動が報われてよかったです。

そのほかにも、大分県日田市や名古屋市にも行ってきました。こんなふうに「ひとり旅特集」は、私だけでなく編集部みんなの現場の声が詰まった1冊です。きっと、いい旅のお役に立てるはずです。

OZmagazine 11月号「週末ひとり旅」特集

OZmagazine 11月号「週末ひとり旅」特集

発売日/2017年10月12日(木)
価格/593円+税
販売場所/全国の書店、コンビニエンスストア、駅売店などで発売

雑誌OZmagazineは、日々の小さなよりみち推奨中。今日を少し楽しくする、よりみちのきっかけを配信していきます。

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※記事は2017年10月25日(水)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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