編集部の「いい1日」リポート VOL.018

編集部の「いい1日」リポート

こんにちは。編集部のタキセです。自他ともに認めるオズマガジン編集部一の「カフェマニア」です。私タキセの担当回では、10年以上続くカフェの色あせない魅力を探っていこうと思っています。

更新日:2017/10/20

灯台の下の嬉しい出会い

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池袋駅から歩いて7分くらい。西池袋公園沿いの小道にあるzozoï。以前は青、今は赤いルーフが目印です

私は心惹かれるカフェの情報を得ると、普段なじみのないエリアでも行ってみようという気持ちになります。逆に、おなじみの街に新しいカフェができたことを知る嬉しさも、またあります。その街がこれまでとは違う光に照らされて、別の顔を見せてくれる気がするのです。

池袋のカフェzozoïは、私にとって後者のパターン。今でこそ住みたい街・新ナンバー1にも輝き、商業施設を中心にどんどんキレイになっている池袋ですが、ドラマにもなった小説『池袋ウエストゲートパーク』のような、少々のダークサイドは確かにありましたし、いまだにそのイメージを持ち続けている人も多いかと思います。

でも私の場合、子供の頃から、母やおばに連れられて駅前のデパートやサンシャインシティ、手芸店などによく訪れていたので、特定のイメージが固まるより前に、いちばんなじみのある東京の街になりました。

その後、中高時代は放課後によりみちしたり、西口の塾、東口の予備校に通った時期もあります。さらに大学~就職して最初の数年は、池袋から私鉄で10分のエリアに住んでいて、「地元」は言い過ぎですが、私にとって池袋はずっと日常の街でした。

カフェ巡りにハマり始めた頃は、代官山や青山などのキラキラタウンに心を奪われていました。そもそも都内有数の繁華街である池袋には、商業施設やビルばかりで、回転率重視のチェーン店こそたくさんありますが、こじんまりした個人経営の小さなカフェは枯渇地帯。池袋だけでなく、大きなターミナル駅の街にはよくある現象です。いつのまにか池袋に期待しなくなっていて、いいカフェなんてあるわけないと思い込んでいました。

灯台下暗しとはよく言ったもので、身近ゆえにそのよさに気付けなくなっていたように思います。なのでzozoïを知ったときは、いい意味でショック! 灯台の下で、鯛を釣ったような気分!

人生初のロータスティー

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ランチのオプションとして頼んだルイボスティーと、単品のレモンのチーズケーキ650円

1999年オープン。私が訪れたのはその後、間もなかったはずで、もう15年以上前になります。ガヤガヤした駅前を抜け、池袋ウエストゲートパーク(池袋西口公園)を通って到着したzozoïは、そこだけちょっとした奇跡みたいにゆるやかな空気が流れていました。

オーダーしたのは、人生初のロータスティーだったと思います。ティーといえばダージリンかジャスミン、くらいしか知らなかった頃ですから、苦みの中にほのかな甘みも感じられる新種のお茶の複雑なおいしさに驚きました。

「こんなステキなカフェがあるなんて、池袋、やるじゃん!」。たった1軒のカフェで、その街のことを見直したり、好きになったり。これもいいカフェがくれる嬉しい効果のひとつです。

ただ、見直したのもつかの間、あんなに身近だった池袋でしたが、いざ引っ越して離れると行動範囲からはずれ、すっかり縁遠くなってしまいました。なにかの折に池袋に降り立つと思い浮かぶのはzozoïでしたが、なかなかいつもは立ち寄れず、今回訪れたのは、とてもひさしぶりのことでした。

ルーフの色は私の記憶の中では青でしたが、現在は赤に変わっています。(その後、手元にある2002年発行のカフェ本での紹介記事で、やはりルーフはかつて青だったことを確認)でも、憧れだったアルミのガーデンテーブルもありましたし、なにより穏やかでぬくもりに満ちたゆるやかな空気感は、最初に訪れたあの頃のままでした。

知っているようで知らない地元

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お茶の後は、西池袋公園をおさんぽ。なんともゆるいパンダやラッコの遊具、和んじゃいます

窓からは、西池袋公園の緑が眺められます。せわしない池袋西口公園と違って、こちらは遊具や砂場もあり、低めの植栽が中心の緑がたっぷり。サボリーマンから親子までが自由に過ごし、全体的にのんびりとしています。zozoïの空気の半分くらいはこの公園が作っているのかもしれません。

懐かしのロータスティー・・・は残念ながらありませんでしたが、ルイボスティーをいただきました。今では、紅茶専門店で茶葉の違いに納得したり、スパイスの利いたくせのあるお茶など、珍しいものも好むようになりましたが、私に未知のお茶にチャレンジする喜びを最初に教えてくれたのは、やっぱりzozoïのロータスティーだなと思い返しました。また食事やおやつも、どのメニューもこちらならではのひと工夫があり、来るたびに新しい味覚の扉を開けてくれたように思います。それにしても長い時を経て、同じカフェで同じ公園を眺めながらお茶を飲める幸せ・・・なんていい1日!

みなさんの地元や身近な街にも、10年続くカフェがきっとあるはずです。もし初めて訪れるなら、知りつくしたはずの街の新しい一面が知れるかもしれないですし、久しぶりに訪ねてみれば、変わらないよさも変わるよさも、両方味わえるはずです。

ではまた次回、このページで。別の編集部員がリポートをお届けしますので、どうぞお楽しみに。

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※記事は2017年10月20日(金)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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