「週末ひとり旅」特集のサイドストーリーその1
このページでは、毎号のオズマガジン制作の編集後記のような、こぼれ話のような、誌面に載せきれなかったサイドストーリーを編集部員が少しずつご紹介しています。今回はクマダがお届けします。
更新日:2017/10/11
今週末は、ひとりで旅へ
明日、10月12日に発売するオズマガジン最新号は「週末ひとり旅」。今号は、“最近なんだかいいことがないな”という人にこそ読んでほしい特集です。
悩みや不安の原因は人それぞれですが、思い切ってひとりで旅へ出てみると、モヤモヤをひととき忘れられたり、頭の中や自分の気持ちをなんとなく整理できたり…。すべてきれいに解決とはいかなくとも、風向きが案外いい方向へ変わるもの。そんなひとり旅におすすめの旅先を、各編集部員がエリアごとに担当して一冊にまとめました。
私が担当したのは、伝統のデザインから最先端のものまでアートにあふれる金沢。私の場合、悩みごとがあるとずっと頭の片隅から消えず、モヤモヤをずっと抱えてしまいます(普段の雰囲気からはすぐ忘れそうと言われますが笑)。“考えるのをやめる”ことを実行したくともなかなかできないものですが、そんな人には金沢がとってもおすすめなんです。
アートスポットが町のあちこちに
金沢は町中にアートやデザインがあふれていて、住宅の並びに突如写真のような文化施設が現われたりします。こちらは金沢出身の仏教哲学者、鈴木大拙の思想を体感できる「鈴木大拙館」。建築家の谷口吉生が設計した本施設では、展示作品のそばに解説がありません。自分の気の向くままに作品を眺め、自由に時間を過ごすことができます。
私のお気に入りは「水鏡の庭」。畳の椅子がある静かな空間で、一定時間おきに水面に発生する波紋を眺めていると、まさに“無”になります。水面を綺麗に撮影できるまで何度も波紋を待ち続けたため、片足で20カ所近く蚊にさされましたが(水鏡の庭の外側にある茂みの中から撮影)、それでも水面を見続けていたいと思うほど。
悩みを忘れようとしたのでも、モヤモヤする気持ちがきれいに消えたわけでもありません。でも確かに、「水鏡の庭」では水面をただ眺めているだけの自分が居ました。アートやこうした文化施設、ギャラリーなどで感性の赴くままに身をまかせていると、不安な気持ちを感性が飛び越える瞬間がきっとあります。その瞬間を積み重ね振り返るうちに、漠然とした不安やモヤモヤがくっきりとしてきて、自分で咀嚼できるようになってくるのではないでしょうか。
ひとりでも、おいしいものはおいしい
鈴木大拙館をはじめ、心がうごく美術館やギャラリー、ショップがたくさんある金沢ですが、食べ物も逸品揃い。海鮮や茶屋街の和菓子はもちろん、中でもおすすめがこちらのフレンチトースト。ブックカフェ「OH LIFE」は、本のセレクトも素敵なのですが、ごはんやスイーツが本当においしいんです。ふわっふわの自家製食パン&レモンカードは、今でも味を思い出してうっとり。
本の世界に浸り、口いっぱいに幸せを味わっていると、頭の片隅にあった不安や悩みごとの存在はいつのまにかどこかへ。そんな自分に気付き、“なんだ、結構大丈夫だ”と改めて元気になったりして。おいしいものは正義だなあとしみじみ思います。
美しいアートやデザインがあふれる金沢は、頭で考えている悩みよりも、もっと大きな感動が迎えてくれる町です。ほかにも、今号ではひとり旅におすすめの町をたくさん紹介しています。私自身、自分が担当していないエリアに今すぐ旅へ出たいほど(笑)。
なんだかうまくいかないとき、モヤモヤしているとき、そんなときにはぜひひとり旅を。旅を通して、みなさんがいい1日を過ごせますように。
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