編集部の「いい1日」リポート VOL.013
こんにちは。編集部のタキセです。自他ともに認めるオズマガジン編集部一の「カフェマニア」です。私タキセの担当回では、10年以上続くカフェの色あせない魅力を探っていこうと思っています。
更新日:2017/09/15
シモキタは今も昔もカルチャーの町
長く続くカフェに数年ぶりに再訪するよさは、遠方に暮らす親友と、久しぶりに再会する喜びに似ています。会えなかった時間を埋めるように近況を話し、お互いに変わったところ、変わらないところを見つけては、嬉しくなったり、せつなくなったり。
相手が親友ではなくカフェの場合は、壁紙変わったなとか、あの店員さんこの前もいらしたなとか、もっぱら片思い。語り合う相手といえば、かつてここを訪れた時の自分くらい。でもそれが、おもしろいところ。普段は思い出せないほどとるに足らない、でも、いとおしい記憶たちが少しずつよみがえってきます。
「サンデーブランチ下北沢店」を初めて訪れた時の記憶は、実は少し曖昧。というのも最初は、ただ通り過ぎただけだったからです。
それは私が中学3年生の時。同じクラスのユキちゃんが、彼女の地元・下北沢を案内してくれることになりました。初めての憧れのシモキタに、心が躍りました。ユキちゃんに、隣のクラスの友達も誘っていいかと聞かれたのですが、私はやんわりと断りました。初対面のニューキャラを気遣いながらでは、憧れのシモキタに集中できそうになかったから。今思えば、なんて不器用で子供だったのかとあきれます。
ユキちゃんと、スニーカーショップや古着屋を巡って、評判のカレーパンを食べました。今まで訪れたどの町とも違った、サブカルの匂いとほのかなアングラ感にわくわく。いちばん覚えているのは「ザ・スタディールーム」という雑貨店。理科室にある本物の人体模型やビーカーなどが雑貨として爽やかに並んでいて、「シモキタ、オシャレ!」と心の中で叫びました。
今は駅前も再開発が進み、だいぶマイルドになった下北沢ですが、相変わらず劇場やライブハウスは集まっていて、カルチャーの町として健在です。ザ・スタディールームはもうありませんが、同じ下北沢の中で場所を移してリニューアルし、「ダーウィンルーム」という名前でパワーアップしています。
ザ・スタディールームの近くに、サンデーブランチ下北沢店はありました。・・・といっても、先ほどお伝えした通り、そのときは通り過ぎただけ。中学生には、「カフェ」という存在自体になじみがなかったので、いつか大人になったらこんなところで優雅にランチを食べるのかしら、くらいにぽぉーっと見ていました。実際に初めてこちらで食事をしたのは大学生になってからです。
毎日でもサンデーブランチを
「サンデーブランチ」という言葉は、口にするだけでも多幸感に包まれるハッピーワード。日曜日のブランチといえば、寝坊したけどまあいいか、さて午後はなにをしようか、なんて考えながら、朝昼兼用なのを言い訳にたっぷりゆっくり食べる至福の食事。そんな幸せなサンデーブランチが、マンデーでもサタデーでもいつでも食べられるのが、「サンデーブランチ下北沢店」です。1993年にオープンした古株ですが、コンクリート打ちっぱなしのクールな空間に対して、ガーリーなインテリアや雑貨、メニューとのギャップがなぜか心地よく、オープンから20年以上たった今も、古びません。
ワンプレートに思い出までのせて
この日は、サラダとフレンチトーストのセットをいただきました。そのほかのメニューも、パスタ&ドリア&サラダなど、ひと皿に数品がのったボリュームのあるプレートメニューが中心で、理想のサンデーブランチがかないます。
甘いフレンチトーストをほおばりながら、ふと、ほろ苦くて甘酸っぱい小さな記憶がまたよみがえりました。シモキタ初上陸から2年後。そうとは知らず仲よくなった同級生が、実はあのとき一緒に行くことを拒んでしまったユキちゃんの友達で、「そういえば」と言われて背筋がひんやりしたこと。ああ思春期っておそろしい。(でも、その後も引き続き仲よくしてもらえました)
酸いも甘いもしょっぱいも、いろんな記憶も思い出も、全部をひとつのプレートに詰め込んだ久しぶりのサンデーブランチは、おいしさとカロリー以上に私を満たしてくれる気がしました。
あなたが10年後もまた行きたいと思うカフェはどこですか?
ではまた次回、このページで。別の編集部員がリポートをお届けしますので、お楽しみに。
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