「銀座の歩き方」特集のサイドストーリーその1
このページでは、毎号のオズマガジン制作の編集後記のような、こぼれ話のような、誌面に載せきれなかったサイドストーリーを編集部員が少しずつご紹介しています。今回は、フクヘンのイノウエがお届けします。
更新日:2017/09/13
秋の人気企画、銀座特集が発売中です
銀座特集は、毎年楽しみにしている号です。なぜなら街に動きがあり続け、新しいお店が次々と登場するから。なんだかんだ新しもの好きな僕は、ニューオープンを見るとわくわくしますが、銀座となればどんな素敵なお店だろうかと特に食指が動きます。そもそも、オズマガジン編集部は銀座の隣町の京橋にあるので、日頃から食事や飲み会で銀座に出ることも多く、満を持しての特集という感覚。
ところで、みなさんにとって銀座はどんな街でしょうか。年齢や、お住まい・職場の場所によっても大きく変わりそうです。なじみのある人、ない人。大好きな人、まったく興味のない人。きっとそれぞれでしょう。社内でも、30代後半以降は、銀座は特別な街という認識の人間が比較的多いです。もう少し若い世代は、ちょっと敷居を感じるという人がいれば、特になんの思い入れもないという人もいて、さまざま。
今は外国人旅行者も多いですし、いろんな意味で多様性のある街です。僕は、学生時代に汚いジーンズとTシャツ、そして変なサンバイザーというパッとしない格好でやってきて、まったく呼ばれてない街だ!と感じたことを思い出します(池袋在住でした)。時は流れ、39歳になった今ではそれなりに銀座経験値もあがってきました。相変わらずチノパンにジャックパーセルと恰好はボサッとしてるんですけどね・・・。
この街には、ふたつの顔がある!がテーマです
話は変わって今年の4月、銀座1丁目にある森岡書店(ご存知、週替わりで1冊の本を売る、いつ行っても素敵な本屋さんです!)で、コムラマレフミさんというアーティストの展示がありました。銀座をテーマにした街並みや道行く人々のモノクロのスケッチが並んでいて、描かれるのは断片的なモチーフなのですが、全体を眺めているうちに銀座の情景が立ち上ってくるという不思議な余韻のある作品でした。
ちょうどお店にいたコムラさんに話を聞くと、「最初はなにを描くべきかわからなかったのですが、毎日銀座にスケッチをしに来る中で、だんだん街の二面性が見えてきたんですよ。昼と夜、男と女、表通りと路地裏、日本人と外国人。同じ銀座に対になる側面が見えてくると、どんどん筆が進んでいきました」とおっしゃっていました。
そう言われてみると、確かに銀座には二面的な顔があります。GINZA SIXのような最新の商業施設が次々できながらも、その近くには100年続く老舗もちゃんと残っている。高級店も多いけれど、気軽に入れる食堂やカフェも実はある。紳士なイメージがある一方で、同じくらいご婦人の街というイメージもある。こういういくつもの両義性を含んだ街は、日本中で銀座だけかもしれませんね。
今回の銀座特集には、そんな街の二面性を浮かび上がらせてみたいという裏テーマがあります。そこで、特集の前半は、新しい銀座。そして後半を、銀座のスタンダードにしました。シンプルな分け方ですが、結局これがいちばん銀座らしい切り口かな、と思っていますが、さてどうでしょうか。
私的イチオシは、東銀座~新富町の”奥銀座”!
ちなみに、僕は今回、東銀座から新富町のエリアを特集したページを作りました。ちょっと強引ですがこのエリアを”奥銀座”と名付けて。このあたりは、銀座の中心街に比べると落ち着いた雰囲気で、高層ビルではなく小さなお店が軒を連ねています。ここもまた、銀座の二面性を表しているのではないでしょうか。そしてこのエリアにこの数年でレベルの高い飲食店が続々と増えていて、食通のお客さんも足しげく通われているとか。ぜひ誌面でチェックしてほしいと思います。
決まったお店に何度も通うのはもちろん楽しいですし、新しいお気に入りを発掘するのも街の楽しみ方のひとつ。ハレの日も、ケの日も、銀座は待っています。ぜひみなさんも、いろんな形で銀座という街を楽しんでいただければ。オズマガジンがそのお役に立てれば、なお嬉しく思います。
作り終えたばかりですが、もうすでに来年の銀座特集ではなにをやろうか、ということも頭の片隅で考えはじめながら、また銀座に足が向いています。どこかですれ違っているかもしれませんね。
それでは、いい1日を。
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